絵画や写真の引き立て役? いいえ、額縁がアート作品です 岡山の職人吉田さん、初個展に挑戦

山陽新聞社 山陽新聞社

 アンティークな雰囲気の金や銀、むらを出した和紙張り、五角形や六角形…。多彩な額縁をアート作品として紹介する珍しい展覧会が岡山市北区撫川のギャラリー「ゆくり」で開かれている。額縁職人吉田麻代さん(35)=同市=の初個展。絵画や写真を引き立てるだけでなく、額縁そのものやアクセサリーとマッチさせたものをインテリアとして楽しめるよう提案している。

 約50センチ角から手のひらサイズまで75点を出品。欧州の伝統的なデザインを参考に彫刻を施したり、木枠に金箔(きんぱく)や銀箔を張って表面をすりだし、建築になじむよう仕上げたりした作品が並ぶ。和紙を墨やベンガラで染めてむらを付けた写真用、背面を布にしてアクセサリーやコサージュを飾りながら収納できるよう工夫したものは個展用の新作だ。

かっこよくて面白い存在

 「伝統があり、建物にも、中に入れる作品にも敬意を持って作られている。控えめだけど作品を保護しているかっこよくて面白い存在」と額縁を評する。

 幼い時から美術館の古い絵が好きで、高校生の頃には「絵の作者は広く知られているのに、絵のために額縁を作った職人は名前も分からない」と献身的な仕事に引かれていた。医療関係の仕事に就いていたが、額縁工場の門を何度もたたいて入社。基本技術を身に付けて退社した後、岡山県倉敷市の職人にも弟子入りし腕を磨いた。

 2021年に独立。ワークショップを開きながら、岡山県内外の画家らからオーダーメード品を受注制作している。個展は作品にほれ込んだギャラリーオーナー安田尚美さん(53)の声かけがきっかけ。「料理を引き立てる器に通じる額縁の魅力を広く知ってもらえたら」と挑戦した。

 2月から3カ月間、本場イタリアへ留学する。「日本と欧州の額縁の技法や違いを学んでまずは職人として技術を高める。将来的には自分ならではの作品を作りたい」

 個展は14日までの午前11時~午後5時。問い合わせはゆくり(090―2802―9786)か吉田さんのインスタグラム(kurogane_gaku)。

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