岡山県倉敷市を拠点に活動するダンスグループ「ズンチャチャ」のパフォーマンスを収録した映像が、商業動画や報道番組を対象にしたフランスの映画祭「カンヌ・コーポレートメディア&テレビ大賞」の2部門で金賞に輝いた。日本勢唯一の入賞で、メンバーは「私たちの努力が海外でも評価されて光栄」と喜んでいる。
ズンチャチャは国内外で活躍してきたダンサー須原由光(よしみ)代表=同市中央=が1996年に結成し、現在は同市などの男女11人が所属。「一生青春」を信条に、型にとらわれない身体表現を追求している。
映画祭は2010年から毎年開催。今年は52カ国の企業や団体、放送局から61部門に約900作品の応募があり、部門ごとに金、銀賞などが選ばれた。ズンチャチャの金賞2部門は「ウェブドキュメンタリー」「ライフスタイル・芸術・音楽・文化」だった。
受賞作品のタイトルは前進を表す「PROCESSION(プロセッション)」(5分7秒)。風が吹き荒れる砂地でメンバー9人が歩いたりジャンプしたりする様子をモノトーンで捉えており、地面に倒れ込むシーンが繰り返し登場する。
須原代表は「立ち上げから多くの挫折を味わってきた。それでも自分たちの信念を貫いた30年を表現したかった」と語る。
昨年5月に鳥取砂丘で収録。不安定な砂上でのパフォーマンスに慣れるため、倉敷市の沙美海岸で半年間練習して臨んだという。撮影、編集、監督は写真家の木村琢磨さん=岡山市=に依頼。映画祭も木村さんの提案で出品した。
授賞式が今年9月末にフランスであり、須原代表らが出席。金賞作品から選ばれる最高賞グランプリは逃したものの、他の受賞者から「純粋な映像美に感銘を受けた」と称賛されたという。須原代表は「受賞は通過点。活躍の幅をさらに広げたい」と話している。
受賞作品は来年2月6~8日、ディレクターズカット版などとともに倉敷市芸文館(同市中央)で上映される。問い合わせは主催の市文化振興財団(086―434―0505)。