年末年始や、春休みでの旅、卒業旅行を企画するなか、物価高で旅費がかさむとあって、少しでも宿泊費の予算を抑えたい方も多いのではないでしょうか。そのなかで値段という面からも有力候補となりやすいのがゲストハウスです。
調査(注1)によると、コロナ前のゲストハウスを利用したことがある60代以上は29%、10・20代は69.3%。若い世代にとってはおなじみの存在に。利用した理由も、全世代で「安いから」が53.5%となっています。スタイリッシュでおしゃれな空間も増えつつあり、ホテル・旅館と並ぶ選択肢のひとつとなっていますが、宿泊する上で同じように考えてはいけません。
ゲスト側と宿側の認識のギャップが生じている面も少なくなく、思わぬトラブルも。そこで、現在のゲストの状況、予約する際の注意点、過ごし方など、京都でゲストハウスを約10年運営しているオーナーAさんにお伺いしました。
「ゲストハウス」は何が違うの?
ゲストハウスは相部屋が多く、プライベート性や個室性の高いホテルとは異なり、交流空間やバス・トイレなどが共用スペースに。素泊まりが基本で、ホテルのようなアメニティの設置やサービスがほとんど無いため、安価に宿泊することが可能です。また、初対面同士のゲストが集える環境があることも特徴です。
Aさんは旅好きな元バックパッカーで、世界中あちこちのゲストハウスに滞在した経験を活かしながら運営。最大13人までと小規模であることから基本的には一人で業務を行っています。フロントが開いている時間が8時~11時&16時~21時で、11時~16時は清掃や買い出し等のため玄関はクローズしているそう。16時~21時がチェックイン可能時間となっており、ホームページや予約時のメールにも明記しています。
ゲストハウスを知らない人からクレームが…
――日本人に「ゲストハウス」が浸透している印象は?
10年ほど前までは、日本では「ゲストハウス」という形式がそこまでメジャーなスタイルではありませんでした。繁忙期で他のホテルなどに空きがないから仕方なく予約したという人が比較的多く、設備の不備や相部屋などに対してクレームが多かったです。その反面、ゲストハウスの魅力を知ってリピーターになってくれたり、他の地域のゲストハウスに泊まりに行ったりという方もいらっしゃいました。
――クレームが多かったのですね。
オープンして1年くらいはバスタオルが有料レンタル制だったのですが、あまりにも「バスタオルがない」「有料だった~」など悪いレビューを書かれるので少し宿泊料金をあげて無料にしました。通常、世界の安宿はそれが当たり前だったので、そういった部分を省いて宿泊料を安く提供するのがゲストハウスの姿だと私は思っていたのですが…。同様にロッカーを新しく備え付けたりもしましたね。「ゲストからの要望に対して、こちらが歩み寄る形にしてきた」と言う方が正しいのかもしれません。
現在は、ゲストハウスが一般化して宿のバリエーションや供給量が増えたので、こんなはずじゃなかったと嘆くようなミスマッチな人は少なくなった気がします。とはいえ、提示しているルールをきちんと確認していない方や、ゲストハウスならではの予約時のトラブル、滞在時のクレームなどはまだよくあります。
――例えばどんなトラブルが?
ドミトリーを予約してるのに相部屋だと思わなかった、もしくは畳の部屋(敷布団で寝ることができる)だと思ったと揉めたりも。また、これは本当に運なのですが、他のゲストのいびきで眠れなかったといったクレームもあります。