仕事を持つ女性が、商談や現場視察などで宿泊を伴う出張に赴く姿も当たり前になっています。しかし、夜の食事・ホテルなどで取引先の人や同じ職場の上司などからセクハラ・パワハラされるケースも。出張先で不快な経験をした女性Aさんに取材しました。
出張先のホテルで部屋を突きとめられた
Aさんが不安な思いに陥ったのは、長期出張のときのこと。「そのホテルには、部署は異なりますが、お互い顔と名前は一致している年上の男性社員も泊まっていました。会話の流れで“部屋はどこ?”と聞かれて、なんとなく、嫌な感じがしたので“3階ですかね、部屋番号は憶えてないんです”とその場はごまかしました」。
数日後、仕事から帰ってきたときに、Aさんが泊まる部屋のあるフロアで年上の男性社員がうろうろしているところに遭遇。「あれ?降りる階、間違ったかも」と言いながら年上の男性社員は去っていったので、Aさんは苦笑いしながら入室。
しばらく時間を置いたタイミングで、年上の男性社員から「わかりました」と書いたメッセージが送られてきました。業務についてのやり取りのようにも思える(実際は、仕事で関わることはほとんどないそうです)ひとことですが、Aさんは直感で「おまえの部屋番号はわかったぞ」という意味だと察知。
「ゾッとしました。彼が部屋にやってくることはなかったのですが、ドアを開けて外出するのが怖くて…。部屋に閉じこもっていました」。
慣れない土地での仕事で業務外のストレスを抱えたことをSNSで訴えたところ、「ホテルに事情を説明して部屋を変えてもらって」「総務と人事と部長etcに通報 〜スクショを添えて〜」「できれば、ホテルを移動した方がいい」などの助言がありました。
また、「私も会社のおじさんに、部屋どこ?と聞かれたことがある」「早く会社に報告した方がいいです。友達は報告しないでいたら、抱きつかれ、キスされそうに。会社に報告したら、相手が左遷になり逆恨みされました」「海外社員旅行の幹事をやった時、定年間近のオジサンに、とある女のひとの部屋番号を教えろ、と凄まれた。あんなジジイにはなりたくない」「妻も同じ会社の人から出張先のホテルで性行為を求められた」と被害経験について明かす人も。
「元ホテル業ですが、ホテルの人に言えば部屋変えてもらえますよ。その際その男性がホテル側にあなたの部屋番号を聞いてきても教えないでくださいと言えば、ちゃんと対応してくれるはずです」「ホテルフロント勤務ですが、そういった場合のルームチェンジであれば、キーはスタッフが部屋まで伺ってお渡しします」との関係者からのアドバイスもありました。
その後も年上の男性社員がAさんに対して不審な行動を起こすことはなし。Aさんもその件には触れない状態が続いています。「会社とは関係のない友人には相談しましたが、会社にはしていません。相談しにくいなと思っています。部屋も変えずに利用していますが、同じようなことがあれば会社に報告するつもりです」。
SNSでの反響には、「同じような経験をされたことがある方もいらっしゃるのだとわかりました。こういったことは、誰にでも起こりうる。注意喚起として、多くの方に広まって欲しいです」。
出張先では、日中の業務後に会食があるなど、仕事とプライベートの時間があいまいになることが多々あります。また、限られた人数で行動を共にするようなシチュエーションもあり、通常の業務とは異なる距離感になることも。
「会社や上司に報告すればいい」はもっともなことですが、「今後の業務に支障があるかもしれない」と悩む人もいるでしょう。しかし、ひとりで抱え込まないことが大切です。会社に相談しにくい、相談を取り合ってくれないなど会社への報告相談に躊躇する人に向けて、法務省や厚生労働省は公式サイトで外部相談窓口を紹介しています。
■法務省 女性の人権ホットライン https://www.moj.go.jp/JINKEN/jinken108.html
■厚生労働省 あかるい職場応援団 https://www.no-harassment.mhlw.go.jp/inquiry-counter