旅先や出張先で滞在するホテル。客室に入ると真っ先に目がいくのが美しく整えられたベッドではないでしょうか。大抵の場合、掛け布団がシーツごと、ベッドとマットレスの間に一寸の隙間もなくしっかりと挟み込まれています。
SNSでは、「シーツをはがす?orはがさない?」のテーマが話題となり、「ビッチリしたまま足先から入ります!」「すべてはがす」など意見が真っ二つ。また、「毎回引っ張りださないといけないのはフロントの人に言ったらいいのか?」「掛け布団取るの苦労するけど、どういう意図なんだろ?」といった疑問も散見されました。
筆者は挟み込まれたシーツをすべて引っ張り出して寝るタイプなのですが、いつも思うのが「なんでこんなに奥までぴっちり入ってるんだろう…?」ということ。もちろん、起きた時にはぐちゃぐちゃです。一体、どう寝るのが正解なのか?
ホテル側の見識を伺ってみようと「大阪マリオット都ホテル」(大阪市阿倍野区)客室部の森本和也さんにお話を聞きました。
挟みこまれたシーツはベッドの見栄えのため
――ホテルのベッド、就寝時はどのようにすれば?
お客様がリラックスして、朝までぐっすりとおやすみいただければ、お好みで自由なスタイルで良いと思います。いつも通りにリラックスしてお休みください。
――自由に使って良いのですね。安心しました。それにしてもなぜあのようにぴっちりと?
ベッドの見栄えをよくするために足元部分を入れ込んでおります。
――いたってシンプルな理由だったのですね。
当ホテルの場合、家庭用のボックスシーツとは異なる「デュベカバー」という掛け布団を入れる袋型のシーツを使用しています。掛け布団に対してジャストサイズではなく、掛け布団がシーツから飛び出ないように縦に大きくできており、ふわっとマットレスに置くだけでは見栄えがしません。そこで、余ったシーツ部分をマットレスに入れ込み固定することで美しい綺麗なベッドに仕上がります。
――デュベカバー!今回、ベッドメイクの方法を調べていると「デュベスタイル」「スプレッドスタイル」といった用語を見かけたのですがその「デュベ」ですね。
当ホテルの全てのお部屋では、ふわふわのデュベ(フランス語で羽毛布団)を袋型のシーツに入れて、足元を入れこんだ「デュベスタイル」を採用しております。スタイリッシュに見せることができ、ベッドの見栄えが良いです。シーツが完全に掛け布団を覆っているため清潔感があり、寝心地が良いのも特長です。
――では、「スプレッドスタイル」とは、「掛け布団とマットレスの間にシーツを1枚挟んだベッドメイク」という認識で合っていますか?
そうですね。その場合は掛け布団自体をそのまま利用されることが多いので、他人が触られたことを気にされる方もいるかもしれません。体を挟む上下のシーツのみを交換する「スプレッドスタイル」の方がベッドメイクは容易です。
――なるほど。高級ホテルは枕が2つ重なっていることが多いのも理由が?
「枕を多めに」というリクエストが多いので、多めにセッティングしております。お客様からのご要望をあらかじめ満たすために、異なる硬さの枕を事前に用意しています。リクエストをいただければ異なる素材の枕のご用意もございます。
――ベッドメイクには様々な工夫や配慮が施されているのですね。ちなみにチェックアウト時、使用後のベッドやリネン類はどのようにしておくのが良いでしょうか?
ありがとうございます。お気遣いは無用でございます。ご利用後はそのままにしていただけましたら、お掃除の際に回収いたします。
◇ ◇
ついつい使い終えた後はちゃんと畳んだり、はがした方が親切なのか悩むホテルでのベッド事情。使い方は自由であり、思うまま好きなスタイルで眠れば良いことがあらためてわかりました。ホテル側の高い美意識と「ゆっくりと自由にくつろいでほしい」というホスピタリティが込められたベッドで、思う存分快適な時間を過ごしたいですね。
■大阪マリオット都ホテル
日本一の高さを誇る超高層ビル「あべのハルカス」(大阪市阿倍野区)の上層部に位置する天空のホテル。世界水準の“ホスピタリティ”と日本の“おもてなし”を提供するホテルとして国内外問わず人気。客室はもちろん、レストラン&バーなどからも大阪の眺望を堪能することができる。季節ごとのレストランイベントや宿泊者限定のアクティビティなどホテルステイを満喫できる様々なプランも充実。
https://www.miyakohotels.ne.jp/osaka-m-miyako/