「相部屋と思ってなかった」「チェックインに間に合わず」ホテル感覚でトラブルも…安価なゲストハウス、守るべきルールとは?

太田 真弓 太田 真弓

宿泊では、どういったところに気をつけたら?

――お互いにトラブルを避けるため、どういったことに留意して予約をすべきでしょうか?

ゲストハウスは相部屋であったり、トイレ・シャワーを共用にすることで宿泊料を安く提供できる形式なので、多少不便さがあってもその点を理解して来てほしいと思います。例えば、アメニティにばらつきがあったり、バスタオル有料の場合があったり、シーツを自分でセッティングしないといけないなど宿によって様々です。

スタッフが受付時間が終わると自宅に帰って無人になってしまう宿や、お昼の掃除時間の間はロックされ、連泊のゲストでも部屋に入れないという宿もあります。ホームページや予約サイトで規定などの細かい記載事項、写真で設備面などを、事前によく確認してから予約することをおすすめします。

――ホテル泊とは大幅に異なってくる部分ですね。

そのなかで、大事なことのひとつが「チェックイン可能時間」です。予約時にはそれをチェックし、その時間に自分が行けないなら他の宿にする。行けるなら、当日再確認してその時間に到着するように行動する。もしどうしても行けないようでしたら宿へ連絡することが必須です。

大きなホテルであれば、人員に比較的余裕があるのである程度の融通は利くと思いますが、当宿のような個人のゲストハウスだと時間的に制限を設けないと運営できません。

――Aさんの宿のチェックインは21時までとのことですが、遅れる場合、ゲスト側からの連絡は?

21時以降になるゲストさんの中で、事前に連絡をくれて遅れる方と、何の連絡もないままの方の割合は半々くらいです。事前連絡してくれた方には「22時くらいまでは待ちますよ」と伝えます。当日なんらかの事情でどうしても遅れることもあるでしょうから、仕方がないので待ちますね。連絡なしでいつ来るか分からない状態でずっと待ち続けるよりは気持ちが楽です。

――連絡がないままの場合は?

ゲストが日本人の場合なら、携帯に電話します。23時以降になりそうなら、電話口での状況によっては、キャンセル料のこともふまえながらこちらから断ることもあります。断る理由としては、当宿は結構物音が響くので遅くにチェックインして、他のゲストを起こしたりするのを避けたいというのも大いにあります。

――他のゲストの方への配慮も必要ですもんね。外国人ゲストの場合は?

予約サイトのメッセージ機能を使ってメッセージを送ります。メッセージを送って反応が返ってくるのは3割くらいでしょうか。返事がない場合は、もう待つしかないです。

――待つしか…。苦労が伝わってきます。

23時半くらいまでフロントでひたすら待ち、そこから寝床に行きますが、スマホでメッセージが来ていないか何度も確認したり、玄関のチャイムが鳴るのを待ちます。結局来ない場合は、ノーショー(無断キャンセル)に。翌朝、誰も使われてない綺麗なベッドをみるのは非常に悲しくなります。

――少人数で運営するゲストハウスだからこその大変さですね。

それぞれの宿で、スタッフ数の問題などで時間制限や対応にばらつきがあり、様々な独自ルールが存在すると思います。特に比較的安い料金設定のゲストハウスなどは、この独自ルールが多いかと。自分の希望に合わないようであれば別の宿を探したり、もう少し予算を追加してホテルへの変更をお願いします。

接客業をやっている人は、ほとんどが「ゲストさんに喜んでもらいたい、来て良かったと思って帰ってもらいたい」という思いでやっています。チェックインという最初のスタート地点から「つまずく」とお互い不幸なことになりかねません。その旅がつまらなくなることもあるでしょう。宿側はゲストさんにはそうなってほしくはありません。ですので、ぜひ事前にしっかりとルールの確認をしていただきたいです。

――最後に、ゲストハウス滞在をより楽しいものにするためのコツなどあれば教えてください。

他ゲストさんとの交流を期待される方は、ぜひ共用ルームで過ごしてみてはいかがでしょうか? 無料のお茶などの用意があるところもありますし、誰かが入ってきた時に挨拶したり、「どこから来ましたか?」「今日どこに行ってきたの?」と話しかけると、ひょっとすると会話が弾み、友達になれるかもしれません。

とはいえ、必ずしも交流できるというわけではなく、運やタイミング、他ゲストさん各々のパーソナリティにもよります。過度に期待するとがっかりということもありますので、その点はご留意いただきたいです。

また、もし交流ができなくても、本棚にオーナーの趣味の本や現地のガイドブック、雑誌などが置いてあるところも。滞在時はスマホを控えめにして、そういった本をあれこれ手に取ってみたりするのもいいかなと。自分が普段読まない本に出合ったり、その本の内容をネタにオーナーと会話してみるのもありです。共用ルームに座っていることで、様々なコミュニケーションのきっかけが生まれやすかったりしますよ。

◇ ◇

今回、取材させていただいたゲストハウスでの外国人と日本人の割合は、日本10、欧米豪50、アジア35、中東など5くらいだそう。京都という立地がら、欧米豪が多くなりやすいのかもしれません。ちなみに日本人は週末で1泊の人が多いですが、海外の観光客は2〜4泊と長めの滞在で利用する傾向に。また、Aさん曰く「アジア系の方は帰ってきてもすぐに部屋に入ってしまう人が多く、欧米系の方は共用ルームに誰かがいると声をかける人が多い傾向がありますね」と、欧米の方々の方がゲストハウス慣れしていることを感じさせます。

最近の宿泊予約サイトでは、ホテルとゲストハウスが混合して並ぶなど、宿をセレクトする際の垣根はなくなってきています。そのときに、つい値段だけ見て選ぶかもしれませんが、ゲストハウスにはそれぞれのルールがあることにご理解を。マナーを守り、節度を保って滞在を満喫すれば、そこでしか体験できない非日常の楽しさがきっと待っているはずです。

(注1)調査タイトル:「ゲストハウス」に関するアンケート調査 調査対象:「DeNAトラベル」のメール会員計2,570名 調査期間:2016年4月3日(日)~4月5日(火) 調査方法:インターネット調査 調査主体:株式会社DeNAトラベル

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