繁殖業者からレスキューされた犬
ニコちゃん(8歳・メス)は、2019年、廃業した繁殖業者から、保護団体によって保護された繁殖犬だった。
兵庫県在住のMさんは、2018年秋に先代犬さくらちゃんを亡くし、あまりにも深い悲しみに、 もう二度と犬は飼えないと思っていた。しかし、さくらちゃんの初七日に、いつも一緒にお散歩していた道の桜の木に季節外れの花が咲いたり 、図書館で借りた本の中に「未来、夢で逢いましょう」 と花言葉が書かれたニゲラの花の絵葉書が挟まっていたりと、不思議な出来事が立て続けに起こった。
「これはきっとさくらからの『姿は見えなくなってしまったけれど、ずっとそばに居るよ、悲しまないで』というメッセージだと感じました。さくらに心配かけてばかりではいけない、 また命を預かってみようと思うようになりました。そして、保護犬を迎えようと、インターネットで里親募集をしているわんちゃんを検索するようになり、2019年8月に保護団体さんのブログに掲載されていたニコの記事を見つけたのです」
そこには「人の愛情をあまり知りません。この子達に生きる喜びを一緒に教えてやってください」と書かれていた。
ごはんだけはガツガツ食べた…過酷な繁殖犬生活
ネットの写真で見ると、ニコちゃんは先代犬のさくらちゃんによく似ていた。
「『この子を家族に迎えたい!』と思いました。会う前から写真を眺めては、さくらの妹だから名前は同じ花の名前で、すみれがいいかな? などと考えたりしていました。でも、なぜか突然ニコニコの『ニコ』 がいい! とひらめいたのです。不思議だったのですが、譲渡会当日、ニコに会いに行くと、ニコニコマークの服を着ていて驚きました(笑)。きっとこれも、さくらからの『この子が家族になる子』というメッセージだと思いました」
譲渡会場でニコニコマークの服を着た子を抱っこした時、「小さくて、とてもはかなげで、頑張って生きてきてくれて有難う。これからは絶対に幸せになってね。」と、Mさんは心から思ったそうだ。
他にも里親希望の方がいたが、後日、保護主さんから「里親お願いします」との連絡があり、 晴れて家族になった。
「さくらがニコを迎えるように導いてくれたのだと思います」
ニコちゃんは、繁殖犬として4年間ずっとケージの中で過ごしてきたため人に甘えることを知らないようで、側に寄って来てくれず、 ひとりでいる方が落ち着くようだった。
「環境が変わって、すごく戸惑っていたと思います。でも、ごはんはがっついて食べてくれたのでホッとしました。あまりのがっつきようにびっくりしましたが。保護施設では、誰よりも早く食べ終わり、 他の子の分まで食べようとするほどだったそうです」
保護主が「ガリガリなのでパピー用のフードを食べさせてやってください」と、指定のフードを一袋渡してくれたが、Mさんは、「繁殖犬の生活は過酷だったんだなと、胸が痛んだという。
かあしゃん以外には懐かない
性格はいまだに人見知りが激しく、かあしゃん以外には懐かない。とうしゃんにも未だ懐かず抱っこもできないという。
「でも、おやつは貰いに行きます(笑)。おもちゃでは遊びません。特に音の鳴るおもちゃは苦手です。ですが、ノーズワークとなると一生懸命おやつ探しを頑張ります(笑)」
そんなニコちゃん。食べることが大好きで、ごはんの用意を始めると、とにかく喜んで走り回ったり、くるくる回転したり、華麗に舞う。
「スイカ帽や果物ネットなど被り物をさせると、 モデルさんのようにじっとして被ってくれて面白いです!」
ニコちゃんを迎えて、Mさん一家の暮らしは、「愛犬への愛で溢れている」という。
「一緒に楽しく過ごせて幸せです。とんでもなく癒されています。たくさんの幸せをくれる愛犬たちの素晴らしさに感動しています」