ーーこういったことはキャンプあるあるなのでしょうか
私自身は直接迷惑行為を受けたことはありませんが、近年のキャンプブームやYouTube・SNSの発達を鑑みると、珍しくない話だと感じます。撮影をされている方をキャンプ場で見かける機会も増えましたし、配信しているような声が聞こえてきたことは何度もありますね。
ーーこのような時、なにか対応策はあるのでしょうか
今回のケースだと出くわしてしまったら対策のしようがないのが難しいですよね…。できることとしたら後でYouTubeのアカウントを探して通報するくらいでしょうか…。なので、まずはそのような状況に遭遇しないように注意するしかありません。
バランスが難しいところですが、無料のキャンプ場や低価格のキャンプ場は避けて、管理人が常駐している高規格なキャンプ場を選ぶのもひとつの方法です。不審に感じたら、すぐに管理人に通報しましょう。迷惑行為が増えていることや、ソロキャンプなどで静かな時間を楽しむ人が増えたことを受けて、厳格なルールを定めているキャンプ場も増えています。あえてそういったキャンプ場を選ぶのも良いかもしれませんね。
また、キャンプ用品の盗難なども増えています。写真映えするようなおしゃれなレイアウトを楽しむのもキャンプの楽しみのひとつですが、目を付けられやすいのもまた事実です。フリーサイトでキャンプを楽しむときは最小限のギアを使って自分のスキルを試してみる、しっかり区画されているサイトでは存分に自分好みのアイテムを持ち込んで楽しむ…という風に、サイトの状況によって楽しみ方の軸を変えてみるのもアリですよ。
ーー同じようにプライバシー面の問題などで隣のテントから迷惑に感じられるような行為はありますか
よくあるのはやはり音の問題ですね。大きな声で話をしたり、音楽を流したり。日中はあまり気になりませんが、夜焚き火をゆっくり楽しみたい時にはやはりノイズになります。あとは異様にランタンの明かりが明るかったり、後から来た人に真正面にテントを張られたりすると気になりますね。焚き火の火が強すぎると「大丈夫かな」と心配にもなります。
意外と気になるので注意してほしいのが、車のドアを開け閉めする音です。早朝にバタンという音が聴こえてきて目が覚めてしまうこともよくあります。
ーーお互いに迷惑をかけないように心がけることはありますか
まずはゴミを持ち帰る、夜は静かにするなどの当たり前のルールを守りましょう。あとはキャンプ場のルールに従うこと。22時以降は消灯などのルールのキャンプ場は多いので注意です。
それからキャンプ場に来ている人それぞれに楽しみ方があることを理解してほしいですね。自分はわいわい楽しみたい派でも、他のキャンパーはしっとりとした時間を楽しみたくてキャンプ場を訪れているのかもしれない。自分は静かに過ごしたいけれど、子どもに自然の魅力を伝えたくてキャンプをしている人もいる。それぞれが他のキャンパーの過ごし方の邪魔にならないように少しずつ配慮すれば、大きなストレスにはならないように思います。スペースに余裕があれば、できるだけ離れた場所にテントを張り、近くに張らざるを得ない場合も角度をつけてテントを張り、真正面にこないようにするなど工夫しましょう。一声「すいません」と声をかけるだけでお互いに気持ちよく過ごせますよ。
子どもの声がうるさい、と感じる人もいるかもしれませんが、個人的にはそこはある程度許容してほしいかなとも思います。日中にはしゃいでいる子どもの声は微笑ましいものです。せっかくのことなので、小さなことにストレスを溜めず、大らかな気持ちで過ごすのも大切です。
どうしても耐えられないなら、ソロキャンプ専用のキャンプ場を選ぶ、林間サイトなどサイト間の距離があるキャンプ場を選ぶなど、自分の過ごし方にマッチしたキャンプ場を選ぶと良いでしょう。
◆田中颯(キャンプインストラクター)
県庁を退職し、フリーランスのWebライター・デザイナーとして活動中。幼い頃よりアウトドアに慣れ親しみ、キャンプインストラクターとしても活動している。大学時代は子ども向けのキャンプイベントを企画運営し、現在は干し野菜や発酵食材を活用したキャンプ料理なども考案している。
https://www.instagram.com/tanaso_yokutaberu/