運転中に後続車などからクラクションを鳴らされると、いやな気分になりませんか。クラクションを鳴らすことでいざこざが起きるケースもあり、すこし前のことですが2020年3月には、兵庫県伊丹市内でバスからクラクションを鳴らされたことに激怒した男性が、バスの営業所に乗り込んで勤務する会社員の男性ら2人に暴行を加えたというようなニュースもありました。
クラクションは、特定の場合を除いて鳴らさないのが原則です。鳴らされた側も不快感を覚え、更なる危険を助長する可能性もあります。一方、クラクションを鳴らさなければいけない場合もあります。状況別でのクラクションの使用可否や違反時の罰則についてまとめてみました。
クラクションの使用可否をまとめてみると
まずは、「どのような状況でクラクションを鳴らして良いのか」を一覧で確認しましょう。
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1:「警笛鳴らせ」の標識がある場所を通行→〇
2:衝突しそうな状況での危険回避のための警告(相手車両などが自車に気づいていない時)→〇
3:道で知人とすれ違った時の挨拶→×
4:道を譲ってもらった時のお礼→×
5:青信号で発進しない前車への警告→×
6:突然割り込んできた車両への抗議→×
7:道路を横断する歩行者への注意喚起→×
◇ ◇
…こうして見てみると、実は「クラクションを鳴らして良い場面」は非常に限られていることが分かります。
クラクションは原則「鳴らさない」
道路交通法では、クラクション(警音器)の使用について、以下のように定めています。
◇ ◇
車両等の運転者は、法令の規定により警音器を鳴らさなければならないこととされている場合を除き、警音器を鳴らしてはならない。ただし、危険を防止するためやむを得ないときは、この限りでない。
※出典:道路交通法(54条2項)
https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=335AC0000000105
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…つまりクラクションは、法令の規定で定められている場合を除いて、「鳴らさない」のが原則です。
ただし後半の内容にあるように、「危険を防止するため」の使用は認められます。むしろ、相手車両や自転車などが自車の接近に気づいておらず、衝突しそうな場合はクラクションで危険を知らせる必要があります。
なぜ鳴らしてはいけないのか
クラクションは、あくまで事故予防のための装備です。「抗議」など個人の感情を伝えるために使った場合、かえって事故やトラブルのリスクが増加します。相手ドライバーが驚いて思わぬ方向にハンドルを切ったり、逆恨みで暴行されたりするケースも少なくありません。
またクラクションは音量が大きいため、場所や使い方次第では騒音の原因にもなります。
「鳴らさなければいけない」ケースも
先述の道路交通法54条2項には、法令の規定により「鳴らさなければならない」ケースがあることも書かれています。具体的には、以下のケースです。
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車両等(自転車以外の軽車両を除く。以下この条において同じ。)の運転者は、次の各号に掲げる場合においては、警音器を鳴らさなければならない。
一 左右の見とおしのきかない交差点、見とおしのきかない道路のまがりかど又は見とおしのきかない上り坂の頂上で道路標識等により指定された場所を通行しようとするとき。
二 山地部の道路その他曲折が多い道路について道路標識等により指定された区間における左右の見とおしのきかない交差点、見とおしのきかない道路のまがりかど又は見とおしのきかない上り坂の頂上を通行しようとするとき。
※出典:道路交通法(54条2項)
https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=335AC0000000105
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…大まかにまとめると、「見通しが悪く、"警笛鳴らせ"の標識がある場合」にはクラクションを鳴らさなければいけません。