たばこポイ捨てで魚が大量死、京都の「野外水槽」復活へ SNS投稿で支援の声続々「再開できることになり本当にうれしい」

京都新聞社 京都新聞社

 たばこの吸い殻が原因とみられる魚の大量死を受けて、野外水槽展示を中止していた京都市右京区の水族館が、再発防止策を取り入れた新しい水槽で野外展示の再開を目指す。魚の大量死に関する投稿がSNS(交流サイト)で反響を呼び、再開に力を貸したいという申し出もあった。新たな水槽は、泳ぐ魚を水槽の下からも観察できる構造にする計画で、設置や運営の資金をクラウドファンディング(CF)で募っている。

 入館無料の花園教会水族館で、土日の午後に開館している。野外水槽展示は2012年に同区の広沢池で採取したザリガニの展示をきっかけに10年以上続いていて、入館しなくても魚を観察できることから子どもたちから人気を集めていた。

  そんな「憩いの場」で魚の大量死が発生したのは6月中旬。野外に置いた水槽で飼育していた魚の9割が相次いで死に、水槽内からたばこの吸い殻が見つかった。たばこに含まれるニコチンは水溶性で、魚には少量でも毒性が強い。故意に入れられたのだとすれば対策の施しようがなく、館長の篠澤俊一郎さん(43)は7月1日に水槽を撤去した。

 一連の出来事をX(旧ツイッター)に投稿したところ、予想を上回る反響があった。投稿の閲覧数は723万回に上り、ポイ捨てに対する憤りや展示の継続を求める声が届いた。展示の再開に力を貸したいという協力者も現れた。大型水槽を扱う奈良県の業者から水槽の寄贈の申し出があり、子育て支援をする名古屋市のNPO法人「ひだまりの丘」からもCFの運営に協力したいという連絡を受けた。

 支援の輪の広がりを実感し、篠澤さんは再開を決意。幅2・4メートルの新しい野外水槽は花園キリスト教会に通じる階段横に置くことにした。ポイ捨て防止のため高さ175センチの水槽台を設置し、教会の階段を上れば横から眺められるほか、水槽の下からも魚を観察できるようになる。

 篠澤さんは「応援だけでなく、具体策を考えてくれる人たちの存在に救われた。やめるつもりで撤去した野外水槽を再開できることになり本当にうれしい」と前を向く。

 CFでは運営費を含む水槽の設置費用150万円を募る。返礼品として、「ひだまりの丘」副理事長の絵本作家なるかわしんごさんが書き下ろしたイラスト入りグッズを贈る。10月28日まで。申し込みは同館ホームページの特設サイトから。

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