「私がきこえないことを知っている宅配便のお兄ちゃんの話なんだけど。インターホン鳴らす時はマスクを外して口が見えるように、玄関に来てくれた時は伝票を見せて確認してくれたりと対応がありがたかったお兄ちゃんがいた。でもそのお兄ちゃんを最近見ない。代わりに新しいお兄ちゃんが来るようになったんだけど、伝票を見せて確認してくれた。前のお兄ちゃんがしっかり引き継ぎをしてくれたのかな。ありがとう、とても助かってます」
配送の担当地域が変わったようで、会えなくなった宅配便の担当者と新しい担当者に向けての感謝のメッセージがX(旧Twitter)で反響を呼びました。
「ギスギスした世の中にこんな素敵なことあるんですね。全ての人が優しさに溢れますように」
「引き継ぎ完璧、去り際まで素晴らしいですね。多分、新しい環境でも活躍してるはず!」
「素敵なココロの引継ぎ」
「自分がいなくなった後のことまで配慮していて素敵of素敵」
「個人情報も大事だが、それ同様に個人を大切にしてほしい」
「プロ意識を持って仕事するって大切だし、思いやりがプラスされたら最強」
投稿には、あたたかなコメントがあふれました。
また、「これが美談じゃなくて『当たり前のこと』の世の中にしなきゃね」という人や、「こちらこそ、いつも笑顔で出迎えて頂きありがとうございます。うさささんだけでなく、全てのお客様が気分良くご利用頂けますよう今後も努力してまいります」という同業者の声も。
12.3万件のいいねがついたポストについて、投稿主のうささ(@usasa21)さんに取材しました。
インターホンでは読唇ができないから…
生まれつき耳がきこえないうさささん。以前の担当者が配送で訪れた際、インターホンでは読唇ができないため、「耳がきこえないので、お兄さんが言っていることがわからず、すみません」と伝えました。このやりとりを数回交わした後、配送で訪れるときには、マスクを外して口の動きがわかりやすいようにしてくれたり、伝票をインターホンのモニター越しに見せてくれたりするように。荷物の受け取りをスムーズに行えるようになったそうです。
ところが、ある時、担当者が初めて見る人に。「きこえないことを伝えなければ、と思っていたのですが、伝えることもなく、スムーズに荷物を受け取ることができたんです。このお兄さんも、前のお兄さんと同じで伝票を見せてくれるのありがたいな〜って思ったところで、“あれ?最近前のお兄さんを見ないな? その代わりこの人が来るようになったな?”と気付きました」。
うさささんは新しい担当者に、耳がきこえていないことを伝えていないため、「こんなにやり取りがスムーズにできるのは、もしかしたら前のお兄さんが引き継ぎをしてくれたのかな」という考えに至りました。
「お二人の間で引き継ぎ業務があったのかどうかは定かではないのですが、きこえないことを理解した上での対応がとてもありがたかったです。その気持ちを伝えたいです。宅配便のお兄さんに良いことが起こりますように」とうさささん。
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うさささんは育児や耳のきこえない日常などのエッセイ漫画を、X(旧ツイッター)やインスラグラムなどで発信しているほか、kodomoe web(白泉社)でも連載。これらをまとめた『耳がきこえないママときこえるムスメのおはなし。』(白泉社)を11月1日に発売します。「きこえない」「きこえる」が交わったとき、見えてきたことを描いています。