発達障害者や精神疾患がある人をナマケモノやサルに分類し、「障害者を動物扱い」「差別を助長する」と批判が寄せられている新刊「職場の『困った人』をうまく動かす心理術」(三笠書房)について、書籍内で動物などを描いたイラストレーター芦野公平さんが16日、「深くお詫び申し上げます」と謝罪した。
4月22日発売予定の新刊「職場の『困った人』をうまく動かす心理術」では、ASD(自閉症スペクトラム)はナマケモノ、ADHD(注意欠如・多動症)はサル、トラウマ障害はヒツジなど、発達障害者や疾患に苦しむ人を「職場にはびこる『困った人』」として動物イラストで擬人化し、「『戦わずして勝つ』ためのテクニックが満載!」と謳(うた)っている。表紙には、スーツ姿の男性の前で申し訳なさそうにうつむくヒツジや、会社の外壁にぶらさがるナマケモノが描かれている。
芦野さんはnoteに「装画に関するご報告と経緯のご説明」と題して、「まず、当該装画について差別的な印象を受けたというご意見があることを、真摯に受け止めております」「ご不快な思いをされた方がいらっしゃること、それ自体が大きな問題であり、表現に関わった一人として深くお詫び申し上げます」と投稿した。
「制作にあたっては依頼元からの明確なディレクションに沿って進めており、当初は社会的な背景を持つ登場人物をいきいきと、肯定的に描くという指示と方向性でラフを提出しておりました」と説明し、当初は「職場で働くさまざまな人たち、シーン、アイテムが並ぶ」「トラブル感は特に演出せず、言葉の力のおかげで、皆が個性を発揮しイキイキと働いている感じにしたい」といった指示を受けて、さまざまに働く人物キャラクターが描かれた当初案のラフイラストを公開した。