秋は気候が安定し、睡眠改善にはぴったりな季節です。そこで「何故睡眠が必要なのか」、「睡眠を取らないとどうなるのか」、「睡眠の質を向上させるにはどうしたらいいのか」、睡眠の重要性について紹介していきます。
日本人の睡眠事情
みなさん、日本人の睡眠事情はご存じでしょうか。今年7月に医療品メーカーが発表した睡眠に関する調査によると、20~60代の働く男女の約8割以上の方が「睡眠に関しての悩み」を抱えていることが明らかになりました。さらに、厚生労働省の調査では、1日の平均睡眠時間が6時間未満の割合は、男性が37.5%、女性は40.6%と推奨される7~9時間の睡眠を、多くの人が取れていないことも浮き彫りになりました。
何故睡眠が必要なのか
私たちにとって何故睡眠が必要なのでしょうか。睡眠の効果は、一体何なのでしょうか。
2013年にアメリカのロチェスター大学のネーデルガード教授が発表した論文では、睡眠時にだけ脳の活動によって作られた老廃物が排出されている(脳の清掃活動をしている)ことが明らかになりました。
脳が起きている時には消費するエネルギーが多いため、脳の清掃活動を同時並行で行いにくい、というのが脳の清掃活動が睡眠時にしか起こらない原因です。そのため、脳は起きているか、眠って掃除をしているか、どちらかの状態しか選べないとネーデルガード教授は語っています。
(参考:Nedergaard M. Garbage truck of the brain. Science. 2013; 340: 1529-30.)
さらに、睡眠には、体力を回復・向上するという大きな役割があります。風邪などに罹りにくくする免疫機能も高めてくれるため、私たちにとって睡眠は必要不可欠な行動なのです。
睡眠を取らないとどうなるのか
では、睡眠をとらないと一体人間はどうなってしまうのでしょうか。
1964年、当時高校生だったランディ・ガードナーさんが睡眠を何時間我慢できるか挑戦しました。記録はなんと264時間12分(11日と12分)。不眠状態を続けた世界記録としてギネスブックにも記載されている正式な記録です。
記録によると、このときランディさんは、実験開始から3日で記憶力が大幅に低下し、4~5日目には幻覚を見たり、極度のいらいら状態になり、感情のコントロールが難しくなってしまったそうです。
このように、睡眠を我慢すると脳に激しいダメージを与えてしまうことが分かります。
睡眠の質を向上させる7つの習慣
1. 夕方以降は家全体を少し暗めにする
2. 寝る3~4時間前に夕食を取る
3. カフェイン・アルコールは控える
4. 就寝1~2時間前に体を芯からあっためる
5. 部屋を静かにして室温も整える
6. 自分にあったナイトルーティンをみつける
7. 起きたら朝日を浴びて、1時間以内に朝食をとる
睡眠に悩みがある方は、今回ご紹介した習慣を生活に取り入れてみて下さい。
出典:厚生労働省『令和4年度 健康実態調査の結果』
第一三共ヘルスケア『働く世代の「睡眠」に関する意識調査』
動画解説:小野寺那智