12月は、ふたご座流星群に続いて、まもなくこぐま座流星群が極大を迎えます。流星数は1時間に数個程度と多くないものの、ピーク時はまずまずの観察しやすい条件に。おすすめの時間帯や観察時のポイント、こぐま座にまつわる物語などをお伝えします。
こぐま座流星群とは
「こぐま座流星群」とは、北極星を含む“こぐま座”の背中の辺りにある放射点から、1時間に数個程度の流星がみられる小規模な流星群です。
三大流星群のひとつである「ふたご座流星群」に比べると、規模は劣りますが、こぐま座流星群の活動は年によって大きく変わり、ピーク時になっても出現しないと思ったら、突如出現が活発になることがあります。かなり昔ですが、1945年や1986年には流星数が増加しており、1981年には明るい火玉が多く流れていることが確認されました。また、近年では2014年や2016年、2017年と立て続けに活発な活動を観測しています。
そもそも、流星(流れ星)とは何かというと、宇宙空間にある直径1mmから数cm程度のチリの粒が、地球の大気に飛び込んで大気と激しく衝突し、大気や、高温によって気化したチリの成分が光を放つ現象です。
毎年この時期になると、地球がタットル彗星の通り道を通過します。こぐま座流星群は、その通り道に残されていたチリの粒が地球の大気に飛び込むことで起こるものです。
おすすめは22日(日)午後7時~11時過ぎ その理由は
こぐま座流星群は、毎年12月22日ごろの極大前後、数日間に見ることができます。
今年の極大時刻は22日(日)午後7時ごろ。観察の条件を左右するのは、次の月明りと放射点(※)の高さです。
〇月明り
22日(日)の各地の月の出時刻は下記の通りです。
札幌 午後11時17分
仙台 午後11時19分
東京 午後11時24分
名古屋 午後11時36分
大阪 午後11時42分
松山 午後11時54分
広島 午後11時55分
福岡 (翌23日)午前0時3分
那覇 (翌23日)午前0時15分
月の出時刻までは、月明りの影響が小さいでしょう。
〇放射点の高さ
こぐま座流星群の放射点は北極星に近いため、流星群を一晩中見ることができます。ただ、放射点の高さがより高く、流星群が見やすくなるのは深夜0時以降です。
今年の観察は、極大と月明り、放射点の高さのすべての条件がそろうことは難しいですが、おすすめの時間帯は月明かりの条件が好い、「22日午後7時~11時過ぎ」です。放射点の高さはまだそれほど高くないものの、比較的観察しやすいでしょう。また、月が昇る深夜0時以降は、放射点の高さがどんどんと高くなっていきます。月明りの影響が小さくなるよう、月を背にしてみると流星を見るチャンスがあるかもしれません。
なお、流星群は、放射点のあるところだけに出現するわけではなく、夜空のどこにでも現れます。 空を広く見渡しているほうが、流星を捉えられる可能性が高くなります。木々に囲まれた山の上より、できるだけ空が大きく見渡せる開放的な場所がいいでしょう。
※放射点とは…流星の軌跡を逆向きに延長したときに通る点のこと
クリスマス直前 さまざまな星が輝く
こぐま座流星群が極大を迎える時間帯は、さまざまな星が輝いています。
午後7時ごろの東京の空には…
南西の空に宵の明星、金星が明るく輝き、その近くには白く輝く土星が見えています。また、東の空には木星が金色に輝き、オリオン座のベテルギウスなど冬の明るい星が数多く輝いています。
午後11時ごろにかけて、冬の大三角形と言われるオリオン座のベテルギウス、こいぬ座のプロキオン、おおいぬ座のシリウスが南の空へのぼっていくでしょう。
こぐま座流星群を待ちながら、にぎやかな星空を楽しむこともできそうです。
こぐま座にまつわる神話 切ないストーリー
夜空を彩る星座の多くはギリシャ神話と結びつけられ、こぐま座は、おおぐま座と同じ物語として次のように伝えられています。
森に住む妖精・カリストという美しい娘がいました。
そんなカリストに、空から見ていた大神・ゼウスが恋心を抱き、自分のものにしようとだまして近づきます。そしてカリストはゼウスの子供を身ごもり、ひとりで息子・アルカスを産みました。
すると、そのことがゼウスの妻・ヘラの耳に届いてとても怒り、カリストは呪いをかけられて熊の姿に変えられてしまいました。カリストは仕方なく息子のアルカスと別れ、森の中に身を隠しました。
息子・アルカスは、ほかの親切な人に育てられ、やがて立派な狩人に成長します。あるとき、森の中で獲物を追っていると、熊の姿となった母・カリストに出会いました。
カリストは愛しい息子を抱きしめようと駆け寄ろうとします。ところが、アルカスには、大きな熊が襲ってくるようにしか見えません。まさか熊の姿に変えられた母だとは思いもせず…アルカスは弓をつがえて熊の姿となったカリストを仕留めようと目掛けます。
それを見た大神・ゼウスが慌てて2人を天空へと舞い上げ、アルカスも熊の姿に変えて、星にしてしまいました。
こうして、息子のアルカスはこぐま座に、母のカリストはおおぐま座になったのです。
また、こぐま座もおおぐま座も熊なのに尻尾が長いのは、大神・ゼウスが天空へと舞いあげる時に慌ててしっぽをつかんで投げたせいで伸びてしまった、と言われています。
少し切ないストーリーですが、星座にまつわる神話を知ると、星空の見え方もずいぶんと奥深いものになりそうですね。
※こぐま座とおおぐま座のギリシャ神話は、詳細な部分にはさまざまな説があります。
まとめ
一年を締めくくる、こぐま座流星群。1時間に数個程度しか見られませんが、だからこそ見られたら幸運という気持ちで、気楽に眺めてみるとよさそうです。クリスマス直前の夜空はさまざまな星が輝いているでしょう。
寒さ対策をしっかりとして、楽しんでくださいね。