就業が難しい障害者を対象にした就業準備や訓練の場を提供するのが就労支援施設。一般社団法人「Amour」が運営する就労継続支援A・B型事業「アムール尼崎」もその一つ。そして、ここで働く天野えりなさんはヘルパーや介護福祉士だけでなく、なんと巫女さんの資格まで有し「アムール尼崎」を愛や笑顔あふれる職場にしたいと奮闘中なのだ。なぜ、巫女さんの資格をとろうと思ったのか。
大阪・兵庫エリア初の「電話発信業務」を取り入れた就労継続支援
天野えりなさんは地元で病院勤めをしたこともあり、ヘルパーや介護士の資格も取得していた。またセラピストとして活躍していた時期もある。そんな天野さんならばと見込まれて「アムール尼崎」の立ち上げ時に「来てくれないか」と、グループの代表の山口徹さんから声がかかった。
2022年11月、オープンした「アムール尼崎」は就労継続支援A・B型(多機能型)として大阪・兵庫エリアで初めて「電話発信業務」を取り入れたことでも知られる。実は代表の山口さんは「株式会社スマートグループ」で通信事業をはじめ、コールセンターや全国テレワーク、不動産や物販など、様々な事業に取り組んできた人物。そこで培った人材育成のノウハウを利用者の就労に役立たせたいという思いから、この事業を立ち上げたという。
施設名ともなっているアムール(Amour)はフランス語の「愛の溢れた」の意味。その名の通り「愛があふれる職場」を目指している。
巫女さんになって職場をなごませたかった!
その「アムール尼崎」に就職する決心をした天野さんが次に目指したのは「巫女さん」の資格をとること。そこで巫女さんを養成する学校を見つけた。それが大阪にある一般社団法人「巫女文化伝承協会」(大阪市中央区森ノ宮中央1-6-9)が主催する「巫女さんスクールつむぎ」だった。
「本業の幅を広げるために巫女の精神や文化、所作を学ぶ人も多いと聞きました。巫女さんになれば、きっと仕事にも役立てることもできるだろうし、多くの人の気持ちも癒してあげることができるのではないかと考えました」と天野さん。
働きながら資格をとりたいと思っていたそうで、ここでは、短期間で巫女さんの所作や歴史なども学べるほか、巫女資格も得ることができることにも魅力を感じたそうだ。
時には巫女さんの姿で職場に出勤することも
就労支援施設というと、暗いイメージをもってやってくる人もいる。しかし、ここ「アムール尼崎」には暗いイメージは全くない。誰もが笑顔を絶やさず、働いているのだ。
「就労支援の利用者さんがリラックスして、働きたいと思えるような職場にするのも私たちスタッフの務めと考えています」
特に天野さんが巫女さんの姿で出社した日には1日中、「その姿だけで癒されます」と職場は笑顔で溢れているそうだ。違和感を感じるのは最初だけで、少したてば、みんなも自然になじんでくる感じなのだ。「巫女さんに見守られながら仕事ができる職場はそうないですよ。就労支援施設では、もしかしてうちだけ?」とスタッフの1人は笑った。
どうやら、巫女さんになって職場を明るくという天野さんの思いは的中したようだ。最後に天野さんは笑顔で「ただいま、アムール尼崎では利用者さんを募集しています。気軽に体験・見学に来てください」とアピールすることも忘れなかった。
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▽障害サービス就労継続支援A・B型(多機能型)
「アムール尼崎」
兵庫県尼崎市西御園町119番地3 第一寺町ビル2F(阪神尼崎駅徒歩2分)
TEL06-4950-9397
https://amour-amagasaki.com/service/support/