帝王切開後のお腹にはホチキスの針 繁殖犬として酷使されたアメリカン・コッカー・スパニエル もうつらい目には遭わせないからね

松田 義人 松田 義人

人間を前にお腹を出して甘えてくる、フワフワの柔らかい毛が綺麗なアメリカン・コッカー・スパニエルのアグちゃん。大好きな人の後を追いかけて、「なでて」「遊んで」「構って」と思いきり甘えてきます。

こんなにかわいいアグちゃんですが、悲しい過去を持っていました。

お腹に残っていたホチキスは帝王切開の跡だった

アグちゃんは九州のとある繁殖場出身。この世に生を受けてからずっと繁殖場の檻の中で過ごし、人間の道具として酷使されてきました。

2024年7月、繁殖場の主がアグちゃんを手放すことにしたわけですが、後にアグちゃんを保護することになった福岡県のボランティアチーム、わんにゃんレスキューはぴねすのメンバーは、その体を見てあ然。アグちゃんのお腹にはホチキスの針がつけられたままだったのでした。

「もしかして繁殖場で避妊手術をしようとしてくれたのかも」と一瞬よぎりましたが、犬を商売道具として考える彼らが、ワンコ個々の犬生を願う行動に出ることはありません。動物病院の診断では、アグちゃんのホチキスは帝王切開の跡で、術後、満足に動物病院にも連れて行かれず、そのままの状態であると推測されました。

アグちゃんと目線が合わない理由は…

それでもアグちゃんは冒頭の通り、保護メンバーの前ではとびきりの笑顔を見せて、思いっきり甘えてきます。その様子はまるで「大きな赤ちゃん」。

人間に全幅の信頼を寄せているようなアグちゃんの甘えぶりに目を細めるばかりでしたが、ここで少し不自然に思うこともありました。こんなに思い切り甘えてくれるアグちゃんですが、なぜだか目線が合わないのです。どうも視力が弱いようにも感じ、やはり動物病院で診てもらうと、両目とも失明。視力を失いながらも鼻や耳などで状況を見極め、人間に甘えていたことが後にわかりました。

繁殖場での過酷な過去を思わせる行動も

気の合う他のワンコとは仲良く遊ぶアグちゃんですが、そうでないワンコには容赦なく押さえつけて噛み付くような一面もあり、いくつもの持病を抱えながら、自分の身を守ろうと必死に生き抜いている様子も垣間見ました。

もしかしたら、繁殖場ではワンコ個々に満足なお世話をされず、「生きるか死ぬか」の日々を送っていたのかもしれません。こんな悲しい推測をすると、胸が苦しくなります。

さらに元気になって「安心できるお家」が見つかりますように

アグちゃんは全盲ではあるものの、ドッグランなどでは積極的に走り回り、そして大好きな人間の気配を感じ取ってはたっぷり甘えてきてくれるかわいいワンコです。

また、保護当初に見つかったいくつかの持病の治療を進め、日に日に明るく元気な姿を取り戻してくれています。

ひとしきり遊び、甘えた後は、フワフワの柔らかい毛をまとって安心して眠るアグちゃん。その姿はなんとも愛おしいですが、近い将来「本当の家族」と出会い、さらに幸せで安心できる環境を掴んでくれると良いなと思います。

わんにゃんレスキューはぴねす
http://happines-rescue.com/

まいどなの求人情報

求人情報一覧へ

おすすめニュース

気になるキーワード

新着ニュース