綺麗な毛並みのメスのラグドール、めいちゃん。人間と目を合わさず、隅に隠れて引きこもってしまいます。
シャイなのか警戒心が強いのか、心情は分かりません。なでたり抱っこされたりしても、抵抗するわけでもありません。「私は今、何をされているニャ?」とばかりに体を硬直させます。
元繁殖猫で人間を極度に怖がっていた
めいちゃんが、ここまで人馴れしていないのには理由がありました。実は繁殖場で過酷な生活を強いられていた元繁殖猫だったのです。
めいちゃんを繁殖場から保護したのは、福岡県のボランティアチーム、わんにゃんレスキューはぴねす。めいちゃんは団体メンバーの「仮の家」でお世話を受けながら、「本当の家族」「本当の家」を探すことにしました。
保護当初のめいちゃんは、冒頭の通りの引きこもりで、人間がいるときはケージの奥のほうで過ごしていました。人間の姿が見えなくなると、そーっとケージから出てきてトイレだけを済ます日々で、エサも満足に口にせず、ガリガリに痩せていっていました。
メンバーは痩せていくめいちゃんを心配し、「動物病院で点滴を打ってもらったほうが良いのではないか」と考えました。やがてめいちゃんは「この人(メンバー)は悪い人じゃない」と悟ってくれ、少しずつエサを口にするようになりました。
この上なくピッタリの里親規模者さんが現れた
めいちゃんはとにかくおとなしいので「飼いやすい」と言えなくはありません。しかし、ここまで引きこもりがちだと、譲渡先の人が放っておけばまたガリガリに痩せてしまうかもしれません。
そのため団体では「引きこもりがちなめいちゃんの性格に、優しく寄り添ってくれる里親さんでなければ譲渡できない」と考えていましたが、程なくして、この上なくピッタリの里親希望者さんが現れました。
東京に暮らすMさんという方で、家にはラグドールの先住猫を飼っていました。また、団体とも以前からお付き合いがあり、かつては保護猫を幸せに繋ぐお手伝いもしてくれた方。「めいちゃんにとって、この上ない環境だ」として、団体はMさんにめいちゃんの「本当の家族」になってもらうことにしました。
めでたく福岡から東京へ。しかし、それでもなかなか心を開かず
Mさんはめいちゃんを迎えに、東京から福岡まで来てくれました。
めいちゃんは、相変わらずのビビりぶりで、Mさんに目線を合わせることはありませんでしたが、東京の家に迎えられてからも相変わらずの引きこもりぶり。
ケージの中のエサと柵の間に身を隠すなどの徹底した引きこもりで、夜間はめいちゃんのためにケージにカバーをかけてあげるなど、Mさんは試行錯誤を繰り返しました。
ついにケージから出てきてくれた
しかし、Mさんの旦那さん、息子さんは大の猫好き。「めいちゃんを放っておけない」と、カバーを外してコミュニケーションを取ると、めいちゃんは次第に「この人たちも悪い人じゃない」と思ってくれたのか、ケージの外に出てきてくれるようになりました。
めいちゃんをなでてあげればゴロゴロと喉を慣らすようにもなり、エサもうれしそうにバクバク。さらに、めいちゃんは先住猫のことが大好きになり、「遊んで遊んで」とアピール。先住猫が嫌がると、「どうして私と遊んでくれニャイの?」とさらに追いかけるようにもなりました。
保護メンバーの家でも見せなかっためいちゃんの変貌ぶり。繁殖場では全くなかったであろう「人間との触れ合い」を経験し、「甘えて良いんだ」「人間は怖い人ばかりじゃないんだ」とめいちゃんが感じてくれたようにも映ります。
「人間の道具」としての日々を過ごした繁殖猫から人間から愛される家庭猫へと巣立って行っためいちゃんの様子を前に、「本当に良かった」と心が癒されました。
わんにゃんレスキューはぴねす
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