救急車が来ない問題…救急安心センター事業「#7119」を知っていますか? 本当に必要な人に救急車が行き届くよう活用を

渡辺 陽 渡辺 陽

日頃あまり呼ぶことがない救急車。しかし、いざという時は一刻も早く来てくれないと困ります。ところが、東京や大阪では、救急車がなかなか来ないという問題が起こっています。

そんな中、せりざわれおん(応急手当普及員)さん(@reong_mmy)がX(旧ツイッター)に投稿したポストが注目されています。

「実はきょう、頭部外傷の傷病者(つまずいて頭を強打し出血)を発見し、包帯による止血と救急隊に引き継ぐまでの一連の動作を行ったのですが、とにかく救急車が来ません。消防に電話が繋がりません。警察が先着で消防に通報を試みたそうですが繋がりません。結局、救急車が来たのは、40分後のことでした。」

投稿には「頭部外傷で、致命的な、、、地域の救急事情が見えますね。救急初期対応お疲れ様でした!!!」というリプライも。頭部外傷以外にも、脳梗塞や心筋梗塞など一刻の猶予も許さない病気ならどうなっていたでしょうか。せりざわれおん(応急手当普及員)さんにお話を聞きました。

ーー応急手当普及員になったきっかけは?

「小学3年生の時に、剣友(剣道の友達)が交通事故で亡くなったことです。死というものを実感し、死を防ぐ手段がなかったのか調べていくうちに、『心停止』と『外傷性』のものは応急手当てによって防ぐことができることを知りました。その後、中学1年生の時に普通救命技能認定(東京消防庁)、高校1年生の時に応急手当普及員(東京消防庁)、高校2年生の時に上級救命技能認定(東京消防庁)を取得しました。」

ーー投稿の状況をご説明いただけますか。

「自宅で入試準備をしていると、窓越しに『救急車呼んで!』という声を耳にしました。三角巾と包帯、人工呼吸用マウスピースをもって駆け下りると、自治会長さんが焦って救急車を要請するために119番をしてくれていました。私はその時、傷病者の出血量がひどかったので包帯と三角巾による止血を行い、傷病者を安静な状態(回復体位)にして救急車を待ちました。ここでいう初期対応は、救急車の到着までを指します」

ーー救急車がなかなか来なかったのですね。

「119番に何度かけても繋がらない状況でした。傷病者の出血量がひどかったので救急車を呼ぶしかありませんでしたが、先に110番に繋がったため、警察が先に来ました。その後、警察本部を通じて119番が繋がり、要請が完了したと報告がありました。この時、私が傷病者のところに来てからすでに20分ほどが経過していました」

ーー軽傷の方の救急車利用も問題になっています。

「軽傷の場合は#7119で救急車が必要かどうかの程度を確認してほしいと強く思います。心停止や外傷性ショック、またその他、命の関わる病状の患者さんに救急車が届かないのが最悪の状況で、それだけは避ける必要があります。タクシーの利用に関してもまずは#7119に電話をして案内に従うのが良いと思います」

ーー課題と解決策は?

「初期対応開始から40分もかかっていては救急車の意味がなくなってしまいます。今の課題は、本当に救急車を必要としている方のところへ救急車が行き届かないことです。解決策としては、#7119を普及させ、遠慮なく利用してもらうこと。#7119から優先度が分かり次第、救急車を要請してくれます。さらには、救命講習などでシナリオトレーニングを積んで、もしもの時に体が勝手に動く人を増やすことです」

重症の場合は119番。軽症や救急車を呼ぶかどうか迷った時は#7119番。使い分けて、必要な人が救急車を速やかに利用できるようにしましょう。

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