法人団体代表「習い事での性被害は多い」 ”先生”という立場を利用した性犯罪に警鐘
今年7月だけでも、60代の学習塾経営者が生徒の女子高生にわいせつ容疑で、また30代の塾講師が教え子に淫行容疑で逮捕と相次ぎました。いまだ、塾経営者や塾講師、また学校教師らの性犯罪報道が絶えません。そんな状況に「習い事での性被害は多い。…」とSNSに投稿し警鐘を鳴らしているのが、北海道を拠点に生理用品無料配布プロジェクトや中高生の居場所づくりなどの活動に取り組む「一般社団法人JOY」(@joy_seiri)代表の佐々木絵美さん(@MinaMina_h_h)です。
「習い事での性犯罪は想像しているより多いと思います。性暴力と認識できていない子どもたちもたくさんいます。それこそ、グルーミング(※)で近寄ってきて、先生と言う立場の人を信頼しているからこそ、これは私(僕)にだけしてくれている特別なことと思ってしまいます。またこれが性暴力だと分かったとしても、誰に相談して良いのか、相談して『汚らわしい』などの言葉を言われる可能性もあったり。そうなると、性別関係なく性被害にあった方は、自分が悪いと思い込んでしまい、誰にも話せなかったり、記憶をなくそうとする子もいるんです。
例えば、進学に悩み、親からの期待などもあり、知らず知らずのうちに精神的に追い詰められている時に、優しい言葉をかけてくれたら、この人は自分の悩みを理解してくれる特別な人なんだと思い込んでしまったり、触られることや嫌なことと認識していても、自分ができないからされているんだと思ってしまったりすることもあります。先生と言う立場は、性犯罪を起こしやすい環境だと思います」
※大人が性的な目的で子どもに近づき、親しくなって信頼を得る行為。
性被害から子どもたちを守るには、親はどうする?
さらに、今回のDBSの義務化から学習塾やスポーツクラブなど習い事全般が外れる見通しとの報道にはこう意見を言います。
「DBSついては、習い事に携わる人たちも全て対象とすべきだと思います。学習塾については、それこそ学校教師から塾講師になる方も多いからです。ただ、個々に塾やスポーツクラブがこの制度を利用できる認証制度も政府が検討しているようなので、任意だとしても塾やスポーツクラブなどの事業者が積極的に利用していただきたいと願っています」
一方、こうした制度だけに頼るだけではなく、性被害から子どもたちを守るために親ができることがあるとのこと。それは…。
「まずは、保護者が性教育を学ぶべきだと思います。性教育は恥ずかしいという方が少なくないかもしれません。性教育を学んでこなかったからこそ、何が性暴力なのか、どう相談したらいいのかを子どもたちに伝えられない、分からない人が多いんです。性教育を学んでいくうちに、自分が過去の性被害だと気がつく方もいたり。今はたくさんの本がでていたり、YouTubeなどでも情報があるので、自分が空いた時間に少しずつ学んでもらいたいですね。また性被害にあった場合は、すぐに性犯罪・性暴力被害者のための相談窓口『ワンストップ支援センター』(#8891)に相談し、病院受診を勧めています」
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佐々木さんが代表を務める「一般社団法人JOY」は、過去に性被害を受けた当事者が集う団体とのこと。性暴力を受けたという佐々木さんは「性暴力にあったと認識はしていたけれど、誰に話して良いのか分からず、そのうち私が悪いと思い込んでしまって、忘れようとしていました」と振り返ります。さらに、団体の活動を始めてから「性暴力のことを学ぶうちに、同じように苦しんでいる人たちがたくさんいることを知りました。同じような被害に遭ってしまった子どもたちのため、被害にあわないよう啓発活動に取り組んでいます。私たちの活動や存在をたくさんの方に知っていただけたらと思います」と話してくれました。
「一般社団法人JOY|生理用品無料配布プロジェクト」(@joy_seiri)