塾に行きたい中学生息子が放った「ママがやっていることは岸田首相と同じだ」 所得制限で圧迫される家計「これって子育て罰なのか」

宮前 晶子 宮前 晶子

「昨日長男とケンカした。勉強で高みを目指したい長男に塾に行きたいとずっと懇願されてる。でも単身赴任で本当にお金がないのに高校無償化も児童手当も所得制限…でも次男の底上げをどうしても今しなきゃならないから次男の通塾を決めた!ママがやってることは岸田首相と同じだ!って怒られた…わかる…

だから本当は出してあげたい。でも我が家の家計は国の財政とは違う。国はその財源を私達から奪ってる。なのに私達には回してくれない。同じようで同じじゃない。税で差を設けてるのだから支援は一律にしてくれ!お願いだからやる気のある子にもお金をかけさせてくれ!」

子育て世帯への所得制限で、学びの機会を奪われている子どもたちがいます。ひなままさん(@hahihiphga)も、そのような現実に直面し、苦しんでいる母親。中学生の長男、小学生の次男ふたり同時の通塾は家計的に厳しいことをツイッターで吐露した思いについて話を聞きました。

次男の通塾を優先し、長男の通塾を断念させるしかないことにやるせなさをにじませた投稿には
「わかりすぎて辛い どの子も愛しい存在で、それぞれ塾なり習い事なり支えてあげたい」
「出せるものなら我が子のためならどうにかしてあげたいのが親心…でも捻出しようにも税金で取られまくって手元に残るお金も子供がいればあれにこれに出て行くし物価高。50年前とは話にならんレベルの差」
「子供が大きくなるにつれ教育費は増大。少子化対策は教育費重視にして欲しい」
という共感や
「息子さん1人で黙々とやってるからこそ不安なんでしょうね」
と長男に寄り添う声などが多く寄せられました。

また、金をかけずに勉強を…という声もあり、
「教科書はもちろん、無料で見られるYoutube学習系動画だってあるんだし… 有料でも塾に比べればタダ同然の教材…探せば良いのはたくさんあるよ 金をかければ良いってものでもない」
「カフェなどの場所を借りて、大学生などが塾に通えない子供たちに無償で勉強を教えている団体が増えてきています。地域の団体を探してみては?」
など自習を中心に据える学習方法の提案や自主学習のメリットを挙げる人も。ただ、無償のSNSでの発信に関しては、ミスなどがあることも否めませんし、地域によってサポート体制が整っているかどうかは千差万別ということも忘れてはいけません。

さまざまな意見が飛び交った投稿について、ひなままさんに取材しました。

「成績を上げるため塾へ行きたい」と願う長男の希望に応えられない…

「16歳未満の年少扶養控除は児童手当拡充のために廃止されたにも関わらず所得制限が付きました。また、今春進学する長男の高校無償化も所得制限で対象外になります」とひなままさん。年収が上がると、税負担が重くなる上、子育て支援が打ち切られることに“働き罰”“子育て罰”を感じるようになり、約1年前から子どもの支援に関する所得制限撤廃を発信し続けてきました。

そんな状況で勃発した通塾問題。職の選択肢が増えるので、大学進学をサポートしたいと考えていますが、「大学の進学費用は桁が違います。けれども、大学の奨学金は所得制限によって借りることができないことが発覚しました。となると、家計を切り詰めなくてはいけない状況が続きます。でも、長男はもっと上を目指したいと塾での勉強を希望していて…。その思いに応えられないことに不甲斐なさを感じました。同時に、子育て世代のみ過度な平等を求められ、子育て支援の拡充をせず、子育て世代間だけで支援の付け回しをしている制度の歪みを知って欲しくて」とツイートの理由を話します。

現在、中学3年生の長男は私立の中高一貫校に在籍。「公立中進学での通塾&クラブチームでのスポーツ活動と私立中高一貫校での勉強&部活を天秤にかけたところ、後者の方がコスパが良いという考えに至ったから」だそう。

小学6年生の次男も兄と同じ学校への進学を希望しています。しかし、勉強に向き合う姿勢が甘い様子で、長男が母であるひなままさんに「塾でサポートを受けた方がいいよ」と働きかけていたことも。その際は、通塾にお金がかかるため踏ん切りがつかなかったものの、小学校の勉強での取りこぼしが多いことが発覚。それを解消し、中学で幸先の良いスタートを切れるように次男の通塾を決めたところ、冒頭のツイートの諍いとなりました。

「塾代も込みでの私立進学だということは長男本人も理解しています。でも、テストで点を取るためのアドバイスや今後の進路についてサポートしてくれる塾に行きたいという気持ちがあることも長男本人から聞いていました。自分が進言した時は弟の通塾を決めなかったのに、自分が塾に行きたいと話している時に自分はダメで弟は行かせるの?と。そういう怒りもあったと思います」。

その後、長男に説明を重ね、理解を得たことを報告。投稿へのさまざまなアドバイスに感謝の意を述べ、「冬期講習を無料で受けられる塾に申し込みをして、塾の先生に今後のことも相談いたしました。進路に対して方向性も見えてきたようです」。

また、兄が弟に勉強を教えればいいのではないか?というリプライが多かったことに触れ、「既に家庭内ではその方法を採用していたのですが、まぁ、家族に言われると受け入れないんですよね。喧嘩になるし、甘えも出る。小6では習わない方法での解き方を教えると、小学校でダメだと言われることもありました。そういったことを踏まえて、やはり第三者のプロの指導を仰いだ方が良いと考えたのです」と説明。

岸田総理は年頭会見で異次元の少子化対策への挑戦を表明しましたが、その全容がわかるのはこれから。

「子育て支援は貧困支援ではありません。また、物価や教育費が上がっている中で、年収1000万円=高所得というマークが変わらないことに日本の成長がないような気がしています。子育て支援に力を入れることは今後の日本の発展のためにも必須事項です。親の所得に関係なく、過ごしやすく学びやすい世の中になって欲しい。少子化に歯止めがかかり、明るい未来が想像できるような制度に変わることを願っています」

■ひなままさん Twitter @hahihiphga

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