手に入れるのも、使い続けるのも、お金がかかるのが「家」というものですが、家族の間で「家」をめぐるお金のトラブルに直面する人も少なくありません。Aさん(関東在住、40代、会社員)は、夫の実家のリフォームや建て替え話で、“我慢の限界”を超えてしまった経験があるといいます。数年に及ぶ戦いの顛末を聞きました。
学生時代から「家賃」を納めさせられていた夫
Aさんが夫となるA夫さんと出会ったのは大学時代のアルバイト先でした。
いつシフトに入っても必ず一緒に働いていたA夫さん。「何のためにそんなに一生懸命働いているの?」と気になって聞いてみたところ、A夫さんが、携帯電話代や交通費、交際費などの「お小遣い」はもちろん、大学の学費も奨学金を借りながらアルバイト代でまかなっていることを知りました。しかも実家暮らしにも関わらず「高校を卒業したし、これからは家にお金を入れなさい」と毎月3万円の「家賃」を徴収されていることも聞いて衝撃を受けます。
まだ友人関係だった大学当時は「厳しい教育方針のおうちなのだな」程度の感想だったそうなのですが…それが義実家とお金にまつわる最初のビックリした話となりました。
社会人1年目…夫の名前で義実家のリフォームローンを組む
AさんもA夫さんも無事に大学を卒業、それぞれ社会人としてキャリアをスタートします。大卒とはいえ、新卒の給与は何不自由ない金額とはいきません。
しかしそんなA夫さんに、両親は「家を建ててもう25年以上経っている。その間何もメンテナンスをしていないからリフォームが必要。お父さんはもうすぐ定年で老後のお金も必要だし、A夫が水回りや屋根や外壁をリフォームしなさい」と要求。全額「A夫さん名義」のリフォームローンを迫りました。
優しい性格のA夫さん。しかも成績優秀だったこともあり、大学3・4年生の間は「返済不要の奨学金」に切り替わっていて、気持ちに余裕があったこともあり、両親に言われるがまま承諾したそうです。
A夫さんが「10年で600万円のリフォームローン」を抱えていることをAさんが知ったのは、結婚後のことでした。
定年が近いとはいえ、社会人1年目の息子にリフォームローンを肩代わりさせる義両親。その時、大学時代もアルバイト代から「家賃」まで入れさせていたことを思い出し、Aさんは「ひょっとしたら、これで終らないかもしれない…」と危機感を覚えたそうです。
結婚時点でリフォームローンは残り半分。当時Aさんは会社の社宅に住んでおり、最低限の家賃で済んだこともあり、生活に大きな支障はなく、残り5年分のリフォームローンを支払うことができました。しかしAさん夫婦にまた災難が襲いかかります。
やっと支払いが終わったと思ったのに!?
やっとリフォームローンを完済したAさん夫婦は、マイホームを検討することになりました。
候補となる土地を探しはじめ、「よい土地が見つかったら戸建てを建てる計画だ」と、A夫さんが両親に報告したところ、驚愕の一言を言われたそうです。
「そんな予算があるならちょうどいい、この家もだいぶ古いし、この土地に2世帯住宅を立て直して同居しなさい」
絶句するA夫さんを横目に、Aさんは即座に切り返しました。
「申し訳ありませんが、こちらの土地は私たちの通勤には不便で生活できません。そもそも2世帯にするには土地が狭すぎません?」
「それから、今までそちらのリフォームローンを返済してきたせいで、A夫さんの貯金はほぼないです。今ある貯金は、リフォームローンのせいでほとんど全額、『私名義の貯金』ですから。あと、私の実家の両親からは、新居をかまえるなら頭金相当を援助してくれると言われているんですよ。いずれにせよ、こちらの建て替えに使えるお金なんて1円もありませんので、そのお話は一切検討できません!」
実は、結婚以来「いつか家を建て直して同居しろ」と言われるのでは…と警戒してイメトレに励んできたそう。心の中で何度も練習してきた効果で、一気に言い返せたAさんに、義両親も不機嫌そうに黙り込むしかなかったそうで…。
「図々しい人はどこまでも図々しいです。突然思いもしないことを言われるとビックリして反撃できませんけど、予想していたから即座に反撃できました!!」
あれ以来何も言われることなく、無事に念願の新築戸建てを手に入れたという、Aさんの「ひそかなイメトレ」…。とても参考になりました!