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本が読みたいのに…疲れて全然進まない そんなとき、どうすれば?提案が話題に「試してみます」

谷町 邦子 谷町 邦子

新しい知識に触れることで…

――精神的に辛いとき、児童書の図鑑などを読むことで、どんなふうに癒されたり、元気づけられたりしたのですか。

「これは児童書や図鑑に限らないことなのですが、『知らなかった知識』に触れるとき、世界が拡がるようなわくわくを感じます。特に、図鑑は知の集合体のような本なので、眺めていると、疲れて余裕のなくなった心が、少しだけ遠くに運ばれていくような心地よさがありました」

――児童書ならではの良さは?

「なかでも児童書のそれは、写真や絵が多く、文章もやさしいので、内容がスッと入ってきます。また、『小さな子供を家に置いて、ひとりで図書館に行く』『小さな子供を連れて、一般コーナーで自分用の本を吟味する』といったことが難しい頃でも、児童書であれば子供の絵本のついでに借りられるのもありがたかったです。

そして、『今度、子供を科学博物館に連れて行ってみようかな』といった、行動のきっかけにもなりました。そうやって実際に連れて行った水族館では、子供がすぐに飽きて帰りたがったり、色々とままならないものですが(笑)」

――実際に読んで記憶に残っている本は? それらは元気だったころ読めていたジャンルとは異なるものですか?

「ひとつは『絵本 世界の食事』(農文協)シリーズです。『インド、ほんとにこんなにカレーを食べてるんだ……』とか『トルコのお菓子は甘そう、でもお茶に合いそう』なんて、様々な発見と楽しさがありました。もともと、食事系の漫画(『孤独のグルメ』や『きのう何食べた?』、最近だと『鍋に弾丸を受けながら』など)が好きなのですが、各国の食事に焦点を当てた形式の本は、初めて手に取ったかもしれません。

もうひとつは、『たくさんのふしぎ 傑作集』(福音書書店)シリーズ。自分が小さい頃に好きだった『ぐにゃぐにゃ世界の冒険』や、新書版を買ったものの読む時間がなかった『絵とき ゾウの時間とネズミの時間』など、「再会の喜び」を感じながら読んだものもあります。ひとつ残念だったのは、私がよく行く図書館では、このシリーズが一箇所にまとまっていなくて、それぞれジャンル別に『歴史』『地球環境』『生物』などの棚にバラバラに置かれていることです。毎回、探すのが大変でした(笑)。

ほかには、ミステリー作家さんなどが書かれている絵本を見つけるのも嬉しかったです。例えば、恩田陸さんの作品は、絵本でもちゃんとゾクッとする感じがあったりして。それを読むことで、少しだけ『昔好きだった世界』と繋がれるような気持ちになりました」

――反対に、読むのが難しいと感じられたジャンルの本は?

「小説全般です。一時期は、漫画も無理でした。私は、在宅の仕事を多少請け負っている以外はほぼ専業主婦なので、子供たちが学校に行っている間、日によっては家事の合間に2、3時間ほどまとまった時間があります。そんなときでも、自分が『家事育児をさぼって好きなことをしようとしている』ように感じてしまって、小説や漫画を手に取るということができませんでした。

私は趣味で短歌をやっているのですが、歌集や歌評などについては、脳が『さぼっている』ではなく『勉強している』ものと判定してくれるようで、余程のことがない限り読むことができたのは助かりました。

それよりも前、乳幼児を抱えていた頃は、まとまった時間がとれない上に、慢性的な睡眠不足で頭がぼうっとしていたので、『どこからでも読めて、いつでも中断できる』児童書や図鑑、歌集などは、やはり読みやすかったです」

――投稿へ反響で、共感するものはありましたか。

「みなさんから寄せられた『自分もそんなとき、こんな本なら読めた』の多くには、『絵や写真が多いこと』『文章が短いこと』など共通する特徴がありました。小説については「読もうとしても目が滑る」「ストーリーや人物相関図が頭に入ってこない」とおっしゃっていて、そうですよね……と深く共感しました。

また、『元気なときに趣味だったジャンル(裁縫、旅行、料理……)のムックなどを眺めていた』『宝石や絶景、動植物などの、美しい写真集を眺めていた』といった声が多かったことも、私自身の数少ない読めた本のなかに『「青春18きっぷ」ポスター紀行』があったことから、やはり同じような思いを抱いている方が多いことを実感しました」

 ◇ ◇

精神的な辛さがあるときや家事・育児・仕事などに追われているときは、長く集中したり、複雑に展開する物語を追ったり、たくさんのキャラクターを把握するのが難しくなりがち。いつも楽しめていた本を読むだけの気力がなくなってしまった場合は、写真やイラストがメインの、短い文で構成された本を試してみるのが良いかもしれません。

普段は主にTwitterで、短歌や本、食べものなどの話をしているという本条さん。様々なジャンルの文芸サークルや同人誌、個人が作りの本などを販売するフリーマーケット、「文学フリマ東京37」(11月11日開催予定・入場無料)に、小学生以下の子どもを育てるお母さんたちの短歌サークル「たらちねmama」で参加されるとのことです。

■本条恵(@Singles_cafe)さんのTwitter https://twitter.com/Singles_cafe
■「文学フリマ 公式サイト」内『文学フリマ東京37』ページ https://bunfree.net/event/tokyo37/
■「たらちねmama」のTwitter https://twitter.com/tarachinemama
■BOOTH「本条の倉庫」 https://honjouzou.booth.pm/

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