「書店用の紙製雑誌袋、いよいよ絶滅寸前です」ーーある古書店のTwitter投稿が注目を集めています。
個人店向けの紙袋…入手困難に
投稿したのは栃木県でネット通販と即売会専門の古書店を営む「かぴぱら堂」。同店店主によると今夏、会計時に使用していた雑誌サイズの紙袋が突然、入手困難になりました。販売元から「製造元の機械が故障し復旧の見通しがないため、在庫限りで販売を中止します。今後の再販予定は未定です」という連絡が入ったのです。
店主は個人店向けに販売を行う紙袋メーカーを探しましたが「なかなか見つからず」。やっとのことで1社を見つけ、当面の在庫は確保しましたが、その企業からも「紙の雑誌、本などの売り上げが減少、書店数も減って行くこともあり、弊社雑誌袋を増刷する予定がありません」と告げられました。
ここでも新規製造はないと知った店主は「当方も雑誌袋はいつでも入手できるものと思っていたので正直驚きました」としつつも、「ただ冷静に考えれば、いわゆる街の書店は減少する一方で、チェーン店はプラ系の袋にシフトしているので、今ではこんなものなのかなと思っています」。
今後については「現在の仕入先の在庫がなくなったらそれで終わりです。将来的には入手不可能になるでしょう。その場合は汎用のレジ袋で代用するしかないでしょう」と話しました。
メーカー「撤退することにいたしました」
大量ロットでの発注が可能な大手書店チェーンの多くは店名入り無料紙袋を用意していますが、個人経営の古書店ではそうはいきません。
前出の古書店店主の嘆きに対し、「とても心苦しく感じております」と申し訳なさそうに話すのは関東にある紙製品メーカーの担当者です。匿名を条件にメーカーの現状を明かしてくれました。
「弊社は個人経営の書店向けに紙製雑誌袋を販売しておりますが、10数年前より書店の廃業が相次ぎ、雑誌袋の販売数も激減したために、今後の販売は在庫限りでやめて撤退することにいたしました。業界全体としては、販売先の個人経営の書店様が減ったために、販売会社及び製造工場も減少しているということになります」(担当者)
全盛期は雑誌のサイズに合わせて10種類の紙袋を展開していましたが、現在は6種に減り、再販の予定はないそうです。
SNS上では最近でも「駅前の本屋さんに行ったら昔ながらの紙袋に入れてくれた」「本屋の紙袋なつかしい」「本屋の紙袋、昭和だ」「この袋、まだあるんだ」など、個人書店で本を購入したユーザーたちの昭和をなつかしむような投稿がアップされています。しかし個人店向けの昔ながらの雑誌用紙袋は今後、減っていくのかもしれません。