「オタクだ!異常者だ!」自分たちの迫害の歴史についてオタクが激白 今は良い時代になった…と言い切れる?

竹中  友一(RinToris) 竹中 友一(RinToris)

「マジこんな感じでしたわ」

ナイニー(オタク)さん(@nainicut)が、かつて自分たちが置かれていた境遇についてTwitterで激白。その内容に共感の声が続出しています。

中学生「オタクです」
周り「オタクだ!異常者だ!!弱者だ!!叩け!!叩け!!叩け!!叩かれるのがいやならアニメやゲームを卒業して真っ当な人になれ!!!!」

アニメやゲームなどの趣味がある――いわゆる“オタク”であると公言しただけで、周囲からフルボッコに。過激な内容ですが、ナイニー(オタク)さんによると、実際これは当時のオタクの人たちに対する、世間からの仕打ちだったといいます。

オタクという固定観念で、その人のパーソナリティがゆがめられていた

ツイートのリプ欄にも、共感の声が続出しました。

「あの頃は本当に『サッカーとかが趣味に生まれついて来ればよかったな』とか思ってました」
「アチキは、それで2年間フルシカトをクラスメイトと先生にされてた」
「ゲーム、アニメに走るのは現実楽しくないやつとか言われましたねー」
「私の父親がこれですー」
「昔は口に出すと魔女狩りみたいな扱いされてたんですよねぇ…」

ぶっちゃけると筆者もオタクなのですが、思い返してみると同じような目には何度も遭ってきました。

筆者がアニメ等にハマったきっかけは、中学生の頃に某アニメ作品を知ったことでした。今でこそ国民的アニメとして多くの人から愛されている同作ですが、当時はその作品を好きだと言っただけで、突然「ヤバい奴」などとみなされるようになってしまいました。

また、知人から「オタクはモテない、オタク趣味があると言っただけで周囲は引く」、「現実にいるアイドルとかはともかく、二次元のキャラにハマるような奴は精神が異常」といった、心ない言葉を浴びせられたこともあります。

このように、いわれのない“迫害”を受けてきたオタクたち。なぜここまでひどい目に遭わなければならなかったのでしょうか?

ナイニー(オタク)さんにお話を聞きました。

――当時はどんな作品が流行っていましたか?また、ご自身がハマっていたものは?

ナイニー(オタク)さん:『機動戦士ガンダムSEED』や『鋼の錬金術師』といったアニメが流行っていました。私はガンダムなどのロボットアニメが大好きでしたので、『ガンダムSEED』にはどっぷりハマり、プラモデルも沢山買いました。

――具体的にオタクは周囲からはどのような対応をされていたのですか?

ナイニー(オタク)さん:オタク趣味がばれると「オタク」という固定観念がついて、その人のパーソナリティをゆがめられていた記憶があります。例えば、「オタクだから太っている/痩せている」、「オタクだから勉強できる」、「オタクなのに運動ができる」など、趣味がアニメやゲームというだけで正当な評価を得難かった記憶です。

――ご自身が誰かから言われたことで、印象に残っていることは?

ナイニー(オタク)さん:友人から「これで趣味がまともだったらなあ」と言われたことがありました。友人としては褒めているつもりだったのでしょう。

――周囲はなぜオタクに対して、そんな反応をされていたのだと思われますか?

ナイニー(オタク)さん:私の親世代がオタクに対してネガティブな印象を持っていて、わが子はそんな風にさせまいと教育していた人が多かったためだと思います。「アニメやゲームなんか早く卒業しろ」と言う人も多く、必然的にそのような趣味をもつ人は下に見られていたのでは?と思います。

――当時のそのような迫害のような風潮に対して、どのように感じていましたか?

ナイニー(オタク)さん:サッカーや野球が好きな人がいるように、アニメやゲームが好きな人がいてもいいはずなのに、なぜこうも不当な扱いを受けるのか憤る気持ちがありました。一方で、当時の世間は、オタクは恥ずかしいものだと当たり前にみなしていたので、半ば仕方ないことと諦めてもいました。

今は良い時代になった?

「20年前はオタクが不当に扱われていた」と語るナイニー(オタク)さん。しかし、一方では、当時のことについてこのようにも話されています。

「『鋼の錬金術師』は、普段アニメを観ない運動部の友達も視聴して、原作漫画も買うくらいの流行りようでした」

オタク文化が否定されがちな当時であっても、一般層から絶大な支持を受けた人気作品も存在していたのですね。さらに今では、アニメやゲームはより広く受け入れられるようになった印象もあります。実際に、ツイートのリプ欄には、このようなコメントも。

「ワイのクラスの陽キャはオタクの方がモテると思ってるらしい」
「日本語学校通ったことなく、アニメと漫画だけで日本語能力試験1級取った外国人です。今は『オタクだからこそ』と胸張って言えます」

オタクも世間に受け入れられるようになってきたようです。その意味では、今は良い時代になったといえるのでしょうか…?

しかしながら、リプ欄にはこのような声もありました。

「今も大して状況は変わってねえような気がするんだよね、ヲタを公言して受け入れられるのはしょこたんだけだ(;´Д`)」
「でもそうやっていじめてくるやつらと同じような奴らが、今ステータスとしてオタクを名乗ってると思うとオタクってこんな軽いものだったのかってなります」
「結局日本ってオタク文化に擦り寄ってる」
「今や金になるからという理由でオールドメディアは手のひらをかえしてCOOL JAPANとかいってるの滑稽ですよね」

偏見をもたれているのは以前と大して変わっていないという指摘や、流行などを理由にオタクに迎合しはじめる世間への疑問の声、商魂でアニメ文化をもてはやす風潮を嘆く人――。

そのような意見もふまえると、「今がオタクにとって良い時代である」とは単純には言い切れないのかもしれません。

この件について、ナイニー(オタク)さんにもご意見を聞きました。

――現在のオタクやその文化に対して、周囲の反応は変化しましたか?また、その理由についてはどう考えられますか?

ナイニー(オタク)さん:今の若い子たちはオタク趣味にオープンな印象です。デジタルネイティブ世代(※生まれた時からインターネットやデジタル機器の使える環境で育った世代)はネットが身近にあり、ネットにはアニメやゲームなどのコンテンツへの入口がたくさんありますよね。そうやってアニメやゲームを親しむ人が増えて、『みんなアニメ見るしゲームもするよ?何もおかしくないよ?』と、マイノリティからマジョリティに立ち位置が変わったからと思います。

――世間のオタクに対する見方は良くなったといえるでしょうか?

ナイニー(オタク)さん:私より上の世代は未だに「オタクは変だ」という認識の人が多いです。当たり前ですが我々オタクに辛い物言いをしていた人たちは、私たちと同じように社会に存在しますし、彼らのオタクに対する認識がいい意味で大きく変わるような出来事もありませんでしたしね…。

  ◇  ◇

「好きなもので偏見をもたれる時代は間違っていたというメッセージを発信してもらえると嬉しいです」インタビューを受けていただくにあたり、ナイニー(オタク)さんはこのように話されました。

本来、どのような趣味趣向をもつかはその人の自由。相手の趣味を、偏見や思い込みでむやみに否定しないことが大切ですね。

■ナイニー(オタク)さんのTwitterはこちら
 →https://twitter.com/nainicut

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