今や「ナートゥ!!」と聞けば、踊り出す人も多いのでないだろうか。インド映画『RRR』の快進撃が止まらない。日本での興収も本日(5月16日)、ついに20億円を突破したという。
2023年のGWは『名探偵コナン』の劇場版や『ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー』などのヒットにより、コロナ禍では考えられなかったほど映画館が潤ったそうだ。各劇場のTwitterを見ると「コナンすごい」「お客様の動員が戻ってきた」など、明るい兆しを感じさせる声も目立った。
実は『RRR』(監督・脚本:S.S.ラージャマウリ)もその盛り上がりに一役買った作品だ。通常の上映はもちろん、GW期間中はマサラ上映会(インド映画を歓声や拍手でにぎやかに楽しむ鑑賞形態)を含め、各劇場で「満席」の回が相次いだという。
本作が特徴的なのは、複数のスクリーンを備えたシネコンだけではなく、単館系(ミニシアター)でも盛んに上映されたことだ。普段は客入りが厳しい劇場も多いが、『RRR』では満席が続出。コロナ禍で苦しんだミニシアターにとっては嬉しい悲鳴だろう。
「自信はあったが、まさかここまでとは…」
本作を配給した映画配給会社ツインの古田さんはそう語る。
2022年10月21日のロードショー時は210館、9週目には55館と減少したが、23年1月に発表された「第80回ゴールデングローブ賞」にて、劇中のダンスバトル曲「ナートゥ・ナートゥ」がオリジナル歌曲賞を受賞。3月のアカデミー賞でも賞を受けてさらに注目が集まったことで、再び上映館が増えてきた。
古田さんは「社内でも本作の可能性を見込み、ヒットを目指していこうと考えていましたが、ここまで大きな反響になるとは予想外でした。お客さま同士の口コミのおかげだと思います。本当に感謝しかありません」と語る。『RRR』は異例のロングランを続け、再びランキング上位に返り咲いた。
独自企画で挑戦する映画館も
そんな『RRR』は、全国の映画館にとって救世主と言えるかもしれない。
『RRR』の勢いに乗り、独自の上映企画に挑戦する映画館も現れている。「パルシネマしんこうえん」(神戸市)では5月27日に「新開地印度化計画」と題して、インド映画のオールナイト上映を計画。当日はマサラ上映に加えて、事前予約で近隣の飲食店の協力でカレー弁当販売も行うという。
『RRR』のヒットで進む日本印度化計画。近くの映画館で「ナートゥ!」の声が聞こえたら、それはあなたがインド映画や映画館を好きになるキッカケかもしれない。