日本ではまもなくゴールデンウィークが始まりますが、GWや夏休みに台湾を訪れる予定の方も多いのではないでしょうか。台湾旅行を計画中の方に、台湾在住10年目の筆者が呼びかけたいのは、台湾の交通マナーの悪さです。在台外国人は「台湾は住むにはいい国だけど交通マナーは最悪」と口をそろえます。注意点を解説します。
青の横断歩道なのに「車が止まった!感動!」
日本に住んでいると信じられないかもしれませんが、台湾では歩行者の立場が圧倒的に弱いのです。
台湾の車は右側通行。歩行者用横断歩道が青でも歩行者に道を譲らず、右折をしようとする車やバイクが非常に多いのが現状です。筆者も台湾生活10年の間、道を歩いていて命の危険を感じたことは数知れず。タクシーにひかれてけがをした友人もいます。他にも、歩道を走るバイクや、細い道を猛スピードで走る小型トラックなどをよく目にします。
台湾は2022年10月、コロナの規制を廃止し観光を再開しました。その直後の12月、アメリカのメディアCNNが台湾に観光に行く際には交通マナーに注意するよう報じ、台湾でも話題になりました。内容は、「台湾の多くの運転手は歩行者の優先権を尊重していないため、道路を横断するときは注意するよう米国国務省が警告している」というもの。2021年の台湾の交通事故死亡者数が2962人いること(10万人に12.67人の計算)や、Facebookページ「台灣是個行人地獄 Taiwan is a living hell for pedestrians(台湾は歩行者地獄)」にフォロワー数が15000人いることなども伝えられ、注目されました。アメリカの媒体が報道したことに対し、台湾では「自国の恥」という感情を持った方が多かった印象です。
CNNの影響もあってか、今年3月から横断歩道の右折に対する罰金が大幅に値上がりしました。今までは小型車と大型車で分けられていた罰金が一律で3600元(約15714円)に、白い杖の方や盲導犬を連れた方に譲らなかった場合の罰金が一律7200元(約31430円)になりました。
筆者の体感では罰金強化以降、右折時に歩行者に道を譲ってくれる車が圧倒的に増えたように思います。以前はぐいぐいと右折してくるバイクや車に負けて、青なのにこちらが止まって道を譲り不快な気分になることが日常でしたが、それが徐々に減りました。最初のうちは「車が止まった!感動!」という反応をしたことも。今回の罰金強化は、1回の違反で払う額としては高額なこともあり、効果があったように感じられます。
改善の兆しがあるとはいえ、まだまだ交通ルール無視は多く、「台湾人は普段は温厚なのに、乗り物に乗ると性格が変わる」とも言われます。台湾は日本から距離も近く、親日家も多い観光地ですが、所詮は外国。遊びに来られる方は気を抜かずに「車は必ずしも止まってくれない」ということを肝に銘じ、青信号でもいったん確認してから渡るなど、注意されることをおすすめします。