数年間手入れされておらず、まるでジャングルのようになった住宅の庭を、延べ12時間にわたって伐採し、見違えたように整えていく工程を収めた動画がYouTubeに投稿され、注目を集めています。投稿したのは、YouTubeチャンネル「市川の便利屋さん(@ichikawanobenriya)」。
「ジャングル大伐採」と名付けられた庭のビフォーアフターが話題となり、動画の再生回数は90万回を超えました。
依頼のきっかけは、投稿主さんがもともと趣味の草野球で関わりのあった知人からの相談を受けたことでした。
「お世話になっている方から『家の周りをスッキリさせられないか』とご相談を頂いたのがきっかけです。事前に写真は見ていましたが、実際に現場へ行くと想像以上で、ただただ驚きました」
伐採の経験は多くなかったものの、機材はそろっており、作業自体に不安はなかったといいます。
「それまで草抜き程度しかしたことがなく、伐採にどれだけ時間がかかるかも想像できませんでした。ただ、作業すること自体は嫌ではなく、むしろワクワクしていましたね」
庭がここまで生い茂った背景について、市川の便利屋さんは「当事者ほど変化に気づきにくい」と感じていたそうです。
「庭木は毎日目に入る風景なので、少しずつ伸びていく変化には気づきにくいものだと思います。久しぶりに会った親戚に『大きくなったね』と言われる感覚に近いのかもしれません」
外から見ると日差しを遮り、藪蚊を呼ぶ環境でも、住む人にとっては日常の一部になっていた可能性があると話します。一方で、同じ家でも受け止め方は異なっていたようです。
「ご依頼主の奥さんは以前から『家周りをスッキリさせてほしい』と感じていたそうで、気になる人にとっては息苦しい環境だったのかもしれません。結局、人それぞれなのだと思います」
作業で最も苦労したのは、硬く太い木の切断と時間配分だったそう。
「木が硬すぎて切断に時間がかかり、途中で機材の電池パックを充電しなければならなかったのは大変でした。充電に1時間ほどかかるので、その間に何をするか、事前の段取りが重要でしたね」
安全に伐採するためには、現場での工夫が欠かせません。伐採した枝葉や幹を下に敷いてフェンスやタイルの保護材として使うなど、試行錯誤を重ねたといいます。
「ほかにも、壁を傷つけないように壁側から外に向かって木を切るなどの工夫をしました。倒れる際に一気に落ちないよう、幹を最後まで切らず、木の皮1枚を残すようにしたのも工夫点です」
今回の伐採作業を進める中で特に時間を要したのは、フェンスに絡みついたツタの除去だったそう。
「年数が経ったツタはフェンスと一体化していて、素手では取れません。鎌や鋏でチョキチョキというよりゴリゴリ削るような作業でした」
その過程では、入り組んだツタの中から50個を超える数の植木鉢が発掘されるなど驚きの出来事も。また、投稿主さんが作業中に見つけたトカゲを自宅へ持ち帰ったところ、娘さんが喜んで飼い始めたという裏話も教えてくれました。
こうして伐採作業を終えて投稿主さんが強く実感したのは、「ビフォーの状態を記録しておくことの重要性」だったと話します。
「作業前の状態は、すぐに頭の中で薄れてしまいます。だからこそ、より変化をわかってもらうためにも、作業前に写真や動画をしっかり撮っておくことが大事だと思いました。作業後、同じアングルで撮影したビフォーアフターの写真を依頼主と見比べていたところ、『おお、こんな状態だったんだ』『すごくきれいになった』と言ってもらえ、たまらなく嬉しかったですね」
今回のように長年手入れされていない場所を整える仕事について、投稿主さんは「再生というより発掘に近い感覚」と語ります。
「ジャングル現場では、古代遺跡を発掘しているような気分になります。規模は違いますが、マチュ・ピチュも最初はジャングルだったわけですからね」
今回の動画は反響も大きく、特に印象に残っているコメントについては「動画内で、生い茂った木がなくなって家がすっきりして見える様を『濡れた猫みたいになりました』と何気なく言ったところ、そのナレーションにも反応があり嬉しかった」と話します。
「腰を痛めつつ作業し、目を痛めながら編集した動画を多くの方に見てもらえると励みになります。また、何十万回も再生される動画を届けられるよう、次はもっと激しいジャングル伐採の依頼をお待ちしています」