バカを相手にするのはコスパが悪い アンチに400戦無敗 元祖クズ芸人クロちゃんの金言集 担当編集者を直撃

松田 義人 松田 義人

 

TBS系人気バラエティー『水曜日のダウンタウン』で、日頃から息を吐くように嘘を付いている姿が暴かれたクロちゃん(安田大サーカス)。同番組をきっかけに「国民的ヒール」「稀代の嫌われ者」「炎上の魔術師」「日本一バッシングを浴びる男」といった、本来なら不名誉な呼び名を欲しいままにしています。

これだけ嫌われバッシングを受けると、一般人なら耐えきれませんが、クロちゃんは毎日、もってひょうひょうと暮らしています。そんな「モンスターメンタル術」や思考を、実用的にとらえ紹介する書籍が登場しました。『日本中から嫌われている僕が、絶対に病まない理由 今すぐ真似できる! クロちゃん流モンスターメンタル術30』クロちゃん・著(徳間書店)です。

バカを相手にするのはコスパが悪い

 

同書は、芸能人やお笑い芸人の本にあるような軽いタッチではなく、文字量も多めの読み応えのある本格的な一冊です。タイトルやビジュアルこそ既存の実用書や自己啓発書のパロディ的な印象を与えつつも、本文はふざけたトーンはなく極めて真剣です。「モンスターメンタル」をお手本に、特に他者とのコミュニケーションに悩む人の心を軽くしたいという、著者と編集者の強い熱意が伝わってきます。

「嫌われ者」クロちゃんによる「バカを相手にするのはコスパが悪い メンタル管理術」という章から始まります。この中から2つの名文を抜粋します。

 【他人の評価は秒で豹変するからまともに付き合うな】

笑われるかもしれませんが、僕、自分のことは繊細な人間だと考えているんです。裏切られたりするたびにショックを受けてきたし、男なのにメソメソ泣いてきました。<中略>

……ビビリだから、いろんなことを勝手に想像して心配してしまう。自分の文章で相手が気分を害さないか何度も読み返したりしますね。常に一番ひどい状況のことを想定するので、本当に最悪な事態には陥らないという言い方もできます。

臆病な自分が嫌いな時期もあったけど、ガラスのメンタルだったからこそ、なんとか今まで 生き残ってこれたという面も確実にあるでしょう。

メンタル防御術を身につけるうえで覚えておいてほしいのは、「人の評価はすぐに覆る」ということ。<中略>

普通の会社員や学生でも上司や先輩や先生から怒られることはありますよね。そのとき、自分に向かってくる批判の声を真正面から受け止めるから病んでしまう。

だから、そんな声は受け流せばいいんです。もしくは逆転の発想で相手を心の中でバカにする。「この人は説明スキルがないから、こうして怒鳴り散らすしかないんだな。上に立つ器じゃない。憐れな奴だ」って、自分よりも人間性能が低いという認識に切り替え、見下してやるんです。そうしたら腹も立たないでしょ?

 【バカを相手にするほどコスパが悪いことはない…すぐ使える「上から目線」術】

「クロちゃんって常に上から目線だよね」と指摘されることがよくあります。「なんでそんな偉そうにしているの?」「自分は悪くないっていう一貫した態度はなに?」と呆れられることも多いです。

でも、これには理由がありまして。「相手の意見を真摯に聞く」というのは誠実な行為かもしれないけど、自分の精神面が弱っているときにキツい意見をもらうと、立ち直れないくらい傷ついたりもするんです。なにしろ僕はガラスのメンタルですから。そういうときは、強引に自分の考え方を変えるしかない。相手は自分よりも劣る人間なんだと思い込むようにするんです。精神的に相手の上に立つと、心に余裕が生まれますからね。<中略>

「死ね!」とか「お前なんて生きている価値がない」と僕に向かって言ってくる人がいるとして、僕が本当に生きている価値がない人間だとしたら、そんな奴に対して貴重な自分の時間を費やしてネットで攻撃しているお前自身の生きる価値はどこにあるのか? そういう話になるじゃないですか。文句を言ってくるネットのアンチは、先に手の内を見せているということですから、こっちとしては、冷静に心の中でカウンターを狙えばいいだけなんです。ヒクソン・グレイシーじゃないけど、僕の中ではアンチに400戦無敗。<中略>実際の話、世の中には怒りたいだけの人もいるわけですよ。怒ることで自分が気持ちよくなっているだけで。

実は策略的だったクロちゃん?

 

著者には申し訳ないですが、嫌われ者・クロちゃんの「モンスターメンタル術」とあって、筆者は「トンデモ的なものかお笑いに寄った内容だろう」と考えていました、しかし読後、筋が通ってこの2つのコラムに納得しました。同書には多くの「クロちゃん流メンタルケア」「クロちゃん流思考術」が収録されていますが、いずれも「この本で紹介されている思考をお手本にすれば、前向きに生きられるようになる人は多いだろう」と思いました。

担当編集者に聞いた

刊行に至った経緯は? アイドル雑誌『月刊エンタメ』(徳間書店)でクロちゃんの連載を数年担当中の編集者が、本書を企画したといいます。担当編集者に聞いてみました。

「雑誌連載のために、クロちゃんから話を聞けば聞くほど『クズ芸人』『炎上芸人』といった世間からのイメージとはかけ離れた、大変クレバーな方だと実感するようになりました。また、どれだけ炎上しても一切病むことがない、クロちゃんのハガネのメンタルの保ち方は、ストレス社会で誰かの役に立つはずだと確信しました。

『お笑い一切なし、心が弱っている人たちや生きづらさを抱えている人たちに向けて、役に立つ実用書を作りましょう』とクロちゃんに提案して、半年以上かけて実現したのが本書です。

バラエティ番組などメディアでのクロちゃんの振る舞いは、『プロ』としての芸人そのもの。『クロちゃん』というキャラクターを自ら裏切ることは絶対にありませんが、今回、まずチャレンジしたのはそのキャラクターを壊すこと。ギャグを封印してもらい、しつこく『本音』に迫りました。結果どこにもないメンタルケア本が完成したと思います。ただ、実は策略家な一面も浮き彫りになり、芸風的には営業妨害になってしまったかもしれませんが(笑)」(担当編集者)

悩める人はもちろん、アンチにも

 

担当編集者が言うように、クロちゃんが「芸」として普段見せている以外のところもうかがえる内容ですが、体裁はあくまでも実用書。多くの悩める人を勇気づける内容であり、あるいはクロちゃんが嫌いな人、クロちゃんをバッシングする人にとっても首肯できる内容と思いました。

「『ドッキリ芸人のメンタル術なんて、一般の人が真似できるわけない』……そんな風に感じる方もいるかもしれません。制作サイドも最初は不安でした。だけど、“クロちゃんだからできたこと”では本を出す意味がないと本人に伝え、どんな人でも実践できるテクニックを詰め込みました。

完成してみると『嫌な上司とどう付き合えばいいか』『自己肯定感が低くておどおどしてしまう』『SNSで叩かれるのが怖い』など、現代社会を生きる誰もが抱える心の悩みへのアンサーがつまった1冊になりました。人間関係に悩んでいる方や、心が疲れている方への処方箋になると思いますので、ぜひ手にとってみていただけるとと嬉しいです!」(担当編集者)

 

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