「ブクブク」と「ガラガラ」 口臭予防でうがいするなら、どっちがいい? 歯科医に聞いた

山本 智行 山本 智行

 コロナ禍によるマスク生活で、口臭が気になっている人は多いことでしょう。マスク着用により口呼吸が増え、口腔内が渇くことが悪臭メカニズムの主な原因。その対策として、どうすればいいか。ガムをかんだり、うがいをしたり。歯科医芸人の”パンヂー陳”こと陳明裕さんが解説してくれました。手軽な方法もあるので、参考にされてはいかがでしょうか。(聞き手・山本 智行)

--コロナ禍でのマスク生活はいつまで続くんですかね。お口の臭いも気になります。

陳明裕(以下陳):山本さんのお口の臭いは私が知る限り、コロナ前からですから逆に周りの人はマスクのお陰で助かってると思いますよ。

--失礼な!でも、気のせいかもしれませんが、マスクをつけるようになってから口臭が酷くなった気がするんですけど…。

陳:鋭い!さすが、山本さん。お金とお口の臭いには敏感ですね。確かに、コロナ禍で緊張やストレスが増えることで唾液が減ったり、マスクをすることで口呼吸が増えて口腔内が渇くことで、口腔内の嫌気性菌の割合が増えて、これが硫化水素やメチルメルカプタンを産出するので口臭が増悪するともいわれています。 

--何か対策は?

陳:ありきたりですが、ガムをかんだり、うがいをしたりするのはどうでしょうか?日本歯科医師会のホームぺージ「テーマパーク8020」によりますと、砂糖入りチューインガムは口臭原因物質を90%以上も減らすそうです。でも、一方で虫歯のリスクがあるので、歯科医としては、口臭原因物質を直接減らす効果はないですが、キシリトールなどのシュガーレスチューインガムをお薦めします。

--車の芳香剤みたいに、ガムの香料で臭いをカモフラージュするんですね!?

陳:ま、一般にはその効果も期待できますが、肥溜めに芳香剤を置いてもあまり効果がないように、ひどい場合は、香料では臭いを隠しきれないかも知れません。それよりもガムをかむことで、唾液の分泌が促進されますので、その効果が期待できます。あとは、口腔内を乾燥させないように乾いたらうがいをするなどしても効果があります。

--うがいなら手軽ですね。もう少しお聞かせください?

陳:1回のうがいでお口の中の細菌数を2割減らすことができると言われていて、殺菌成分を含んだ洗口剤を用いれば80%近く減らすことができます。

--ってことは、水でするよりも殺菌成分を含んだ洗口剤でうがいした方が口臭もマシになるんですね。やり方は?

陳:うがいには、喉元の奥でする「ガラガラうがい」と、口の中でする「ブクブクうがい」がありますが、口臭対策として行うなら「ブクブク」です。うがいで口臭の原因菌や、その餌となる食べカスなどを洗い流すつもりで行ってください。

--口いっぱいに水を含んだ方がいいんですか?

陳:山本さんは、おとぎ話「舌切り雀」に出て来るお婆さんと一緒で、大きいつづらを持って帰るタイプですね。オススメはお爺さんが選んだ小さいつづらと同じで、含む水の量は少なめにして水を含んだら、頬を膨らませたり窄めたりして、口の中でブクブクした時に水流で歯の間の汚れを落とす感じが大切です。含んだ水が多過ぎると、つづらのように妖怪は出ませんが、ブクブクしにくいので、歯の間の汚れも出てきません。あと、口臭の原因菌は舌の表面に多く生息しているので、うがいの際はついでに舌を上あごにこすりつけるようにして汚れを落とす事も推奨されています。

--なるほど。

陳:次に洗口剤ですが、こと口臭予防に特化するなら十分な効果が報告されているものは、塩化亜鉛入りの洗口液です。前述の日本歯科医師会のホームページによると、0.1%塩化亜鉛入り洗口液の使用後洗口後90分でも、口臭原因物質の濃度が9割近く減少しているそうです。

--じゃ、塩化亜鉛入りの洗口液を頻繁にしたら私も、北アルプスの山々の空気のような澄んだ吐息になるんですね。

陳:殺菌効果の強い洗口液を頻回に使って、口腔内細菌を大量に殺してしまうと、菌交代現象が起こってしまい、病原性細菌が増えるリスクもありますし、何より「口臭原因物質が減っても、実は嗅覚の特殊性のため実際の臭いは約半分しか減らない」そうですので、山々の澄み切った空気のようになることはありません。

--ところで、塩化亜鉛入り洗口剤なんて見たこともないですよ。

重曹や緑茶でのうがいもおすすめ

陳:じゃ、重曹はどうでしょう?

--確かに十三は身近ですね。安く飲める店も多いですしね。

陳:そうそう、ネギ焼も美味しいですしね、って。それは大阪の十三。私が言ってるのは炭酸水素ナトリウム、クッキーとかパンケーキを焼く時なんかにも使う方の重曹です。重曹は水に溶かすとアルカリ性になるので、細菌が産生する酸を中和させ、虫歯予防や口臭予防に良いという先生もいらっしゃいます。ただ、注意点としては、必ず食用の重曹を使ってください。間違っても消火器の粉や入浴剤を使って、うがいしないで下さいね。

--くれぐれも注意しないと。

陳:さらに重曹の濃度が濃すぎると、歯ぐきや粘膜を傷めてしまう恐れもあるので、500mlくらいの水にスプーン1杯の食用重曹をしっかり溶かして使用して下さい。安価でしかも簡単に作れる洗口剤なので試してみても損はないと思います。

--他には?

陳:緑茶はどうですか。緑茶には、茶カテキンが含まれていて、茶カテキンには殺菌効果があるとされていますが、消臭効果もあるようですので、緑茶でのうがいも良いかもしれません。

--あっ、それやったら私、食べた後にお茶でブクブクしてゴックンしてましたけど。

陳:ブー。それは汚いだけじゃなく、口臭予防に限って言えば、多分逆効果かも知れません。緑茶にはカフェインも含まれていますから、飲んじゃったら唾液の分泌を抑える上に、利尿作用もあるので、恐らく口腔乾燥を助長してしまう可能性があります。そんなずぼらをせず、きっちり歯磨きして口腔衛生状態を良好にして口臭の原因物質を作る嫌気性菌を増やさないことが一番です。そう、「オチ」が大切です。

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