日本から、北米など海外への求人検索が急増…。Indeed Japan株式会社(東京都港区 以下、Indeed)は、そんな調査結果を発表しました。渡航制限の緩和に加え、国内のインフレーションの加速による実質賃金の低下や急激な円安の進行に伴い、通貨が強い地域へ求職者の就業関心が高まっていることが分かったといいます。
調査は、2019年1月~2022年10月の期間にIndeed上において日本在住者が検索した海外求人を対象に実施されました。
まず、「日本在住者の全求人検索に対する海外求人検索の割合」をみると、新型コロナウイルスの感染が広がり始めた2020年のはじめから減少に転じた一方で、水際対策の緩和が検討され始めると海外求人の検索割合は上昇に転じ、2021年10月以降から増加傾向となり、さらに円安が進行した2022年6月から急激に増加していることが分かりました。
同社は、「2022年6月以降は、日本の移動制限の緩和や、インフレーションによる実質賃金の低下、急激な円安の進行などに伴い、より高い給与を期待して海外での仕事を探す人も増えていると考えられます」と説明。
さらに、「今後も国内の賃金成長率が停滞し、引き続き円安の状況が続くのであれば、更に海外での仕事を探す人が増えてくると予想されます」とコメントしています。
また、「海外求人の検索数全体に占めるTop8関心先別検索数の割合」については、特に「米国」「カナダ」の求人検索が増加していることが判明。その一方で、アジア各国の求人検索は2022年以降顕著に減少しており、コロナ禍よりも低水準となっていることも分かったそうです。
同社は、「アジア圏が相対的に減少しているのは、求職者がドル高に魅力を感じることや、アジア圏でパンデミックによる規制が未だ強いこと、情勢の不安定化などに起因していると考えられます」と分析しています。
次に、「海外求人の検索数全体に占めるTop8関心先別パートタイム検索数の割合」をみると、特に英語圏の「米国」「カナダ」「英国」「オーストラリア」が直近3カ月程度で急激に増加していることが分かりました。
一方、アジア圏では、求人検索全体の傾向と同様にパートタイム求人の検索においても、22年から減少がみられたといいます。
同社は、「フルタイムより門戸が広いパートタイムの仕事検索では、求職者はより広い範囲の海外対象地域に関心をもつ傾向があり、かつ日本語以外で最も身近な言語である英語が話されている地域で顕著であることが示唆されます」と説明しています。
最後に、オーストラリアへの「ワーキングホリデーの検索割合」をみると、新型コロナウイルスの感染拡大とともに減少傾向となったものの、2021年12月頃から上昇し、2022年10月はパンデミック前を上回る水準に増加していることが分かったそうです。
同社は「直近の検索上昇においては急激な円安の進行が大きく影響していると考えられます」とコメント。さらに、「ワーキングホリデーが可能な国として認知が高く地理的にも渡航しやすいオーストラリアは、日本と比較して給与水準も高く、ワーキングホリデーを活用した就労により、高収入を得ることを期待している求職者が増加している可能性を示唆しています」と述べています。