「出産間近で保護された犬」から生まれた子犬 いまでは国際救助犬を目指し、訓練する毎日

松田 義人 松田 義人

 

保護犬の譲渡活動を通じ、「殺処分ゼロ」の実現を目指すピースワンコ・ジャパン(以下、ピースワンコ)。同団体では、数多くのワンコの保護を行なっていますが、あるとき「出産間近」の身ごもった状態で保護されたワンコがいました。すぐに保護し犬舎で引き取ると、しばらくして数頭のワンコを無事に出産しました。

そのうちの1頭で、一際人懐っこく、明るく好奇心旺盛の茶色の丸っこいワンコがいました。「二リュム」というワンコです。

災害救助犬ハンドラーと寝食を共にする

ニリュムの性格の良さを感じ取った同団体のスタッフ・小池さん。彼女は2018年に入職したスタッフで、新米の災害救助犬ハンドラーです。日々保護犬たちの世話をしながら、国際的な災害救助犬を育てようと考えており、このニリュムを相棒に「一緒にがんばっていこう」と決意。そこから、小池さんとニリュムはまず絆を深めるために一緒に暮らすことにしました。

普段は小池さんがスタッフとして所属する犬舎に、小池さんの自宅からニリュムも一緒に出勤。小池さんの仕事が終わると、また一緒に帰宅します。

小池さんが仕事をしているときは、その業務を邪魔しないようニリュムもどこか遠慮気味ですが、小池さんのオフタイムのニリュムは、リラックスして超甘えん坊になると言います。

 

定期訓練・人慣れトレーニングなどを行い災害救助犬を目指す 

そんなニリュムですが、小池さんと一緒に参加する定期訓練では、持ち前の賢さと運動能力を発揮します。若くてパワフルなニリュムらしく、軽快にがれきや障害物を乗り越えて、救助を求める人を助けにいきます。無事、救助する人を見つけたときのニリュムは満足げにドヤ顔。この表情もまたかわいいと小池さんは言います。

ただし、そんなニリュムも、年齢を重ねるのと合わせて、生まれたばかりのような無邪気さが落ちつき、ときに人見知りをするようにもなりました。これは災害救助犬としてはネックです。このため初対面の人がいても訓練に集中できるよう、人慣れトレーニングも並行して行うようになりました。

 

結果は不合格。でも、新たな課題を胸に挑戦し続けるニリュム

 

こういった訓練の日々を続けること約2年半となった頃、「OPDES(犬の教育社会化推進機構)」による国際救助犬試験に、ニリュムと小池さんは初めてチャレンジすることにしました。

この日までに積み重ねてきたニリュムと小池さんの絆と捜索スキルが発揮できるチャンスでしたが、残念なことに結果は不合格。しかし、ここでまた新たな課題を見つけることができ、そしてニリュムと小池さんの信頼関係はより深まりました。

前後しますが、ニリュムを産んだ元保護犬のお母さんワンコは、この国際救助犬試験を受ける前年に天国へと旅立ちました。しかし、きっと天国からニリュムと小池さんの成長を見守り続け、そして、ワンコが社会に役立つことを心から願っていることでしょう。

ニリュムと小池さんの挑戦はまだまだ終わりません。今後のピースワンコの発表にも注目していきたいと思います。

ピースワンコ・ジャパン
https://peace-wanko.jp/

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