福岡市南区にある「街の小さな絵本やさん Books cyan(ブックス シアン)」は、ライターで店主のユウミ ハイフィールドさんが現在、毎週土曜日のみ営業を行なっている。広さ3坪のこじんまりした店ながら、バラエティに富んだ絵本が並び、茶トラの愛猫「あお」(オス、3歳)が絵本選びに寄り添ってくれる。「絵本&猫で癒される」とひそかな人気店だ。あおとの出会いや店のことなどについてユウミさんに話を聞いた。
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昔から猫が好きで、ずっと飼いたいと思っていたんですけど、猫飼育不可物件に住んでいたため飼えずにいました。でも3年前、猫が飼えるマンションへ引っ越すことに。保護猫団体の譲渡会で探すという選択肢もありましたが、たくさんいる中から1匹を選ぶのが難しく感じて…。縁のある子がいればきっと出会えるだろうとなんとなく思っていて、いつそんな子と遭遇してもいいようにと、保護グッズ(洗濯ネット、猫じゃらし、おやつ)を玄関の横に準備していたんですよ。
引っ越して2カ月が過ぎたころ、いつものように店を閉め(当時は週5日営業)、スーパーに寄って家に帰る途中、停めてあった車の下から「ニャン、ニャン」という大きな声が聞こえました。覗き込むと、母猫とはぐれたのか、生後3カ月くらいの子猫が1匹、鳴いていました。そこは普段は通らない道。その日のその時間、たまたま通った場所でした。
私はその子に「ちょっと待っててね」と言って、慌てて家に帰り、保護グッズを抱えてその場に戻りました。おやつを差し出しておびきよせようとしましたが、警戒してなかなか捕まえられず、真夏の夕方、1時間くらい路上に這いつくばって格闘しました。すると、通りがかりの女性が「猫ですか?うちには4匹保護猫がいてもう引き取れないけど、あなたが保護するなら手伝うわ」と、その方も家から猫が好きそうな食べ物などをわざわざ持ってきてくれて。それで一緒になんとか捕まえることができたんです。けっこう嫌がってたのに、洗濯ネットに入れた瞬間、「グルグルグル」と愛おしい声を出して鳴いたのを覚えています(笑)。
翌日、動物病院へ行き、店にも連れていきました。それまで店には私一人しかいませんでしたが、新たにあおが加わったことで、「猫ちゃんがいる!」と場が和み、絵本を選ぶお客さんとの会話がとても弾むようになりました。今ではあおは、絵本やさんに欠かせない、大切なパートナーです。