一糸乱れぬ独自の体操は「青春の思い出」 京都の高校で脈々と受け継がれる「謎」の演技 卒業生の結婚式で披露も、その魅力は

京都新聞社 京都新聞社

 心地よい秋晴れの体育祭シーズンが過ぎた。京都府城陽市にある城陽高で体育祭の風物詩となっているのが、全校生徒が息の合った演技を見せる「城陽体操」だ。毎年、体育の授業で厳しいテストに苦戦する生徒がいる一方、何度も練習した青春時代を懐かしみ、卒業生同士の結婚式で披露されたこともあるとか。50年近く、在校生に脈々と受け継がれる自校体操の魅力を探った。

 城陽体操は、ゆるやかなリズムの音楽に合わせ、約4分間、腕をY字にぴんと伸ばしたり、体を大きくひねったりする。体育祭では全校生徒が長方形に並び、腕の高さや動くタイミングをそろえてまとまりのある演技を見せる。

 同高によると、城陽体操は開校4年目の1975年、心臓に負担なく▽生徒が興味を持てるように▽そろいやすく見栄えがよい―との方針のもと、当時の体育教員が考案した。体操の内容を示した紙などはなく、教員が実演して生徒に教えてきた。

 10月上旬、1年の体育の授業。チャーン、チャッチャチャララーン。独特の音楽に合わせて演技する生徒たちに、「足幅をそろえて」「集団の演技の意識を持って!」と教員の指導が入る。夏休み中に動画で動きを覚える宿題が出され、2学期から本格的に練習が始まった。合否が分かれるテストもある。

 1年の女子生徒(15)は「4歳上の姉が卒業生で、家に遊びに来た友達と踊っていた。全校で合わせる本番が楽しみ」と話す。サッカー部は朝練習でも城陽体操を取り入れているといい、部員の男子生徒(18)は「城陽体操のテストに落ちると放課後に補修があって練習に影響するので。最初は厳しくてびっくりしたが、3年目の今は自信が付いた」と笑う。

 繰り返しの練習で体に染み込んだ体操に親しみを持ち続ける人もいる。昨年、卒業生たちが「城陽体操の音楽を貸してほしい」と学校を訪ねてきた。卒業生カップルの結婚式の余興で演出に使うためだった。

 京都府内では他にも、体育の授業や体育祭の準備体操で自校体操を取り入れる高校がある。

 京都八幡高(八幡市)の「京都八幡体操」は、2007年に府立高2校が統合した際、旧南八幡高の伝統を残そうと受け継いだ。丹後緑風高網野学舎(京丹後市)の「AMIKO体操」は、体操ができた当時のヒット曲「ダンシング・シスター」(1979年、ノーランズ)に合わせて行う。鴨沂高(京都市上京区)には66年の歴史を誇る「鴨沂体操」があり、生徒の体力づくりを目的に長年続いている。

 城陽高の畑中正文校長も同高の卒業生で、城陽体操を経験した。「『集団の体操は時代遅れ』と言う人もいるかもしれないが、一つのことを皆で達成する経験が減る中、貴重な取り組み。皆が練習を乗り越え今年もいいものが出来上がるはず」と期待を込めた。

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