日本におけるドライアイの有病率は、40歳以上で男性が12.5%、女性が21.6%と報告されています。[注1]
ドライアイの症状が悪化すると日常生活にさまざまな影響が出てくる可能性がありますので、症状が気になる方は日頃から対策を行っておきましょう。
今回は、ドライアイの原因や主な症状、対策方法についてまとめました。
[注1]日本学科学会:ドライアイ診療ガイドライン p4[pdf]
ドライアイの原因はVDT作業や乾燥
ドライアイになる原因は、大きく分けて4つあります。
■1.VDT作業などによるまばたき回数の減少
人はまばたきをすることによって、目の表面のうるおいを維持しています。
しかし、パソコン、テレビゲーム、スマホなどを使ったVDT作業や読書などに没頭すると、画面や本に集中し、まばたきの回数が減少してしまいます。[注2]
その結果、目の表面が乾きやすくなり、ドライアイの症状が進む原因となります。
■2.涙の量の減少、成分の変化
年齢を重ねると、涙の分泌量が減少したり、涙の成分に変化が生じたりします。[注2]
これらの現象は加齢以外にも、涙腺の異常を引き起こすシェーグレン症候群などを代表とする病気や、一部薬剤の影響、不規則な生活など、さまざまな原因があります。
■3.乾燥による涙の蒸発
空気が乾燥していたり、エアコンの風をまともに浴びたりすると、涙が蒸発して目が乾きやすくなります。[注2]
特に目が大きい人は外的要因の影響を受けやすいため、空気が乾きやすい秋冬や、エアコンの稼働時間が長くなる夏場などはドライアイの症状に悩まさやすくなります。
■4.その他の影響
上記3つ以外にも、コンタクトレンズやアレルギー性結膜炎、紫外線などがドライアイの原因になることもあります。
特にコンタクトレンズに関しては、使用中に涙の量や成分が変化しやすいため、目の乾きを訴える人が多い傾向にあります。
さらにコンタクトレンズの装着が長期間に及ぶ場合、黒目が刺激を感じにくくなり、刺激への反射で生じる涙の分泌量が減少しやすくなると言われています。[注2]
実際、ソフトコンタクトレンズ使用者の約8割、ハードコンタクトレンズの約7割が目の乾きを感じているというデータもあるようです。
[注2]参天製薬:秋のドライアイ注意報!
ドライアイで起こりうる症状
ドライアイの症状は多岐に亘りますが、主に以下のような症状を感じるようになります。
・目が疲れやすい
・目が痛い
・目がゴロゴロする、不快感がある
・目やにが出る
・目がかすむ
・目にかゆみがある
・目が重い
・目が充血しやすい
・目が乾く
・光をまぶしく感じる
・わけもなく涙が出る
上記のうち、5つ以上の症状が長期間みられる場合はドライアイの可能性が高いと言われています。
ドライアイの対策方法
ドライアイの症状を予防または緩和させるために実践したい対策方法を4つご紹介します。
■1.VDT作業を控える
ドライアイの原因となるパソコンやテレビゲーム、スマホなどを使ったVDT作業はなるべく控えるようにしましょう。
どうしても使用しなければならない場合は、1時間につき15分は目を休ませるよう心がけてください。
目を休ませるときは、ただ目を閉じるだけでなく、遠くの景色を見たり、蒸しタオルを5~10分ほど目に当てたりすると効果的です。
■2.まばたきを意識する
画面や本を食い入るように見つめていると、ついまばたきを忘れてしまいがちになります。
意識的にまばたきを行うことが大切です。
なお、まばたきをしているつもりでも、完全に目が閉じていない「まばたき不全」の人もいます。
意識的にまばたきしているのに目の乾きが改善されない場合は、まばたきをする際、きちんとまぶたが閉じられているかどうかも確認してみましょう。
■3.ドライアイ用の目薬を使用する
ドラッグストアや薬局などには、涙液のバランスを整える成分が配合された目薬が販売されています。
涙液のバランスを調整する代表的な成分には、塩化ナトリウムや塩化カリウム、塩化カルシウム水和物、ヒアルロン酸Naなどが挙げられます。
製品によって配合されている成分が異なりますので、薬剤師に相談して適切な目薬を選ぶようにしましょう。
■4.眼科を受診する
ドライアイの症状が悪化すると、セルフケアだけでは対処できなくなる場合があります。
市販の目薬を差しても症状が緩和されない場合や、ドライアイの症状で日常生活に支障を来している場合は、眼科を受診して適切な治療を受けることが大切です。
眼科ではドライアイの診断を行うための検査を行った上で、軽症であればうるおいを保持する点眼液が処方されます。
点眼液で改善されない場合は、涙が排出される涙点を閉じる「涙点閉鎖」と呼ばれる治療が行われることもあります。[注3]
[注3]参天製薬:ドライアイの治療
空気が乾燥しやすい秋冬はドライアイ対策をきちんと行おう
ドライアイは、パソコンやテレビゲーム、スマートフォンなどを使ったVDT作業が原因になるケースが多いことから、現代病とも言われています。
さらに、空気が乾燥しやすい秋冬は涙が乾いてドライアイになる可能性が高くなると言われていますので、VDT作業を行うときは定期的に目を休ませる、市販または医師から処方された目薬を使用するなど、適切な対策を行ってドライアイの予防と緩和に努めましょう。
湿度が低くなる秋冬は目だけではなく、肌の乾燥も気になるようになります。肌の乾燥は、かゆみや痛みの原因になるため、乾燥対策を忘れずに行いましょう。保湿はもちろん、化学繊維を避けて天然素材でできた衣類を着用すると乾燥が起こりにくいです。
天気予報専門メディア「tenki.jp」では「服装指数」を公開しています。空気が乾燥するときは保湿効果のあるインナーを仕込むなど、お出かけ先で乾燥しない服装選びにお役立てください。