遠出する前にはタイヤの点検を―。今月11日から政府の「全国旅行支援」が始まり、紅葉シーズンも迫って車で出かける人の増加が予想される中、日本自動車連盟(JAF)京都支部などがタイヤのチェックを呼びかけている。実は、四輪のパンクなどタイヤトラブルでのJAFの出動件数は10年前から約10万件も増えており、高速道路に限ると出動理由別で1位となっている。なぜタイヤトラブルが増えているのか、どうすれば防げるのだろうか。
JAFによると、2021年度の救援要請は全体で約215万件。約14・6秒に1件の割合で出動している計算だ。このうち、四輪のパンクやバースト(破裂)、エアー不足といったタイヤトラブルは一般道と高速道路を合わせて約39万件に上り、約29万6千件だった2011年度と比べて10万件近く増えている。
とりわけ高速道路に限れば、約2万1千件(2021年度)と出動理由別で最多になっている。全体に占める割合も4割近くとなり、上昇傾向が続いているという。ちなみに2位は燃料切れで約11%、3位は事故で約8%となっている。
タイヤトラブルが増加している背景について、JAF京都支部の石田幸弘事業課長は「(自分で給油する)セルフ式のガソリンスタンドが増えたことで、タイヤを点検する機会が減っているのでは」と推察する。
実際、JAFがタイヤの点検頻度を尋ねた調査(2017年)によると、適正期間である「1カ月以内」と答えた人は全体の27%と、約4人に1人にとどまった。「2~3カ月」は33%、「4~6カ月」は約15%、「自分では気にしたことがない」との回答も1割ほどあった。
空気圧が低下した状態で運転するとタイヤがたわみやすくなり、そのまま走り続けばタイヤが損傷しかねない。特に高速道路ではタイヤへの負荷が大きく、発熱してバーストする恐れもある。
石田さんは「燃費向上のため、スペアタイヤの代わりに応急修理キットを積む車が増えた。ただ、ひとたびトラブルが起きればパニックになりやすく、キットを使いこなせない人が多いこともJAFの出動が増えている理由では」とも指摘する。
実際にパンクした場合は、急ブレーキを掛けるとスピンする場合があるので冷静に路肩に寄せる。高速道路では車内にとどまると非常に危険なため、三角表示板や発炎筒を設置した上で、速やかにガードレールの外で待機してほしい、という。
タイヤトラブルを防ぐため、点検する際は空気圧に加え、溝の残りが十分あるか、タイヤにひび割れやきずがないか調べることも大切だ。ハンドルを右や左に切っておくとタイヤがよく見えて点検しやすい。石田さんは「セルフ式のスタンドでも空気圧を計る機器を置いていることが多い」と話す。
京都市右京区のセルフ方式のガソリンスタンド「滋賀石油株式会社セルフ西大路店」にも機器が置いてあり、自由に使うことができるほか、スタッフに頼めば点検してもらえるという。
一般的に運転席のドアを開けた部分にシールが貼られ、適切な空気圧が記載されている。タイヤのバルブキャップを外し、機器の先端部を挿入すると空気圧が表示され、足りていなければ空気を充填する。
このスタンドでは常時3~4人のスタッフがおり、車の状態をチェックしたり、客に声掛けをしたりしているという。スタッフの宮里洸平さんは「タイヤの空気は自然に抜けていくもので、安全はもちろん、燃費にも関わってくる。月1度は点検が必要で、遠出や高速道路を走る前にもチェックしてほしい」と話す。