「9ヶ月目にして、夫がめちゃくちゃ戦力化している。 ほぼワンオペスタートから、ここまで喧嘩することなく夫の育児スキルと認知を引き上げることに成功したので、メモ。 スタートとして、夫に主体性がない(ように見える)ことが1番の悩みだった。夫には悪意がなく、仕事との両立についても『既に頑張ってるのに、これ以上どうすれば?』という状態だった。というわけで、数年間の乳幼児育児期間の中ではたった数ヶ月と割り切って、完全に『部下・後輩育成モード』に振り切って夫に育児を覚えてもらうことにした!というのが前提」
ゆるさん(@yajuyo_m)の投稿が、育児に関わる人はもちろん部下の育成に悩む人にまで注目されました。
現在、夫婦ともに働きながら9ヶ月のお子さまを育てていますが、職場復帰に当たり、夫婦協同で育児を行っていくことは必須だと思ったとゆるさん。その過程についてお話を聞きました。
投稿では、
『「寝ない」「飲まない」ことに対してすぐ放棄しようとする』
『一人遊び中に目を離す』
など夫の育児に向き合う際の困った点を具体的に挙げながら、改善してもらうために
『同じことを何度言わせることになっても責めない、前に言ったと言わない』
『育児についての発見を夫にしてもらう』
『ミスしても改善策を考えるように促す』
『一歩先の行動まで伝える』
『言いたいことが出ても、一旦寝かせる』
などゆるさんが取った行動・言動を順序立てて紹介しています。
リプライ欄には、
「旦那側の人間ですが、旦那が不満に思うことを全て網羅して解決策を練って実行されていて、しかもその解決策が至極妥当」
「男性にはこういうOJT的な当たり方が性質に合ってそう」
と夫側の視点でのコメント、
「愚痴を言ってても人は変わらない、人を変えたいならまずは自分から」
「自己コントロール力が素晴らしい」とゆるさんの対応を称えるコメントがありました。
「マネジメントスキル高すぎ」
「部下指導の参考になりました...」
「育成スキルの高さと懐の広さに脱帽」
「こんな上司の下で働きたい」
と働く人視点の声や
「これは「夫」を「子ども」に変えても通用する素晴らしいプログラム」
「ゆるさんのやり方は後々、子供にも同じく使えます 様子を見ながら主体性を育てる事は大切」
と、子育てに活用できるというコメントも。
「夫を後輩だと思うことは盲点で目からウロコ」
SNSでは、「仕事では積極的に動けるのに、育児ではどうして受け身なの?」と悩む妻の声があふれていますが、ゆるさんは「よく、父親を同僚に例えて「なんで教えなきゃいけないのか」という話を聞くけど、実際0歳児育児は「違うプロジェクトやってた同僚が、自分のチームにjoinした」シーンが1番近くなる家庭が多いんじゃないかなと。 最初は当然引き継ぎ期間がいるから、割り切ってやった方が結果よくなることもあるかも」とも。「後輩だと思うことは盲点で目からウロコ」というコメントもありました。
「完全に【部下・後輩育成モード】に振り切って夫に育児を覚えてもらうことにした!というのが前提」とつぶやくゆるさんに、詳しくお話を聞きました。
育児は、夫婦同時スタートのようで、そうではない
――夫の戦力化についてのツイートが大反響です。
「旦那さんに言いたいことをどう伝えたらいいのか、と悩まれる方がTwitter上に多かったので、一例として参考になる部分があればと思いツイートしました。想像以上に反響があって、根深い問題なのかなあ、と改めて実感しましたが、男親VS女親のように対立化するのは私の意図しないところで残念に思う部分もあります…」
――育児中の保護者だけではなく、部下を持つ人からの声も多い印象を受けました。
「そうですね。“この考え方は育児だけでなく、どんなシーンのコミュニケーションでも使える”という趣旨のコメントは嬉しかったです。私が書いたことはそんなに大したことではなく、どんなシーンでも大切な、相互尊重しあえるコミュニケーション法かなと思うので」
――夫に対して、「部下・後輩育成モード」と考えたのは、何かきっかけが?
「自分が復職すれば、激務になることが予想されたためです。わかりやすく『部下・後輩育成モード』と表現していますが、『他者の経験値・スキルを引き上げる』ためには、アサーティブコミュニケーション(※一方的に自己主張するのではなく、相手の気持ちや考えを尊重しながら意見を交わすコミュニケーション)をはじめとした部下育成のノウハウがぴったりかなと思ったので、職場でのやり方をそのまま転用したというわけです」
――コメントにもありましたが、育てる側の自己コントロール力も求められる方法です。「育児スタートしたのは同じなのに?!」とイライラしたりすることはありませんでした?
「そういったイライラは全くなかったです。“育児スタートは同じ”という論調は目にしますし、私自身、妊娠中~出産直後までは「同じスタートだから、私と同じように頑張ってもらおう」と思っていました。でも、実際蓋を開けてみると、そうではないなと。育休中で100%育児に専念できる私と、仕事が激務で物理的に育児に100%で向き合えない夫では、『同じ』ではないことを段々感じるようになりました」
――それで、ゆる様が知っていることをしっかり伝える、理解して自分のものにしてもらうということになったのですね!
「はい。同じじゃない状況を経験したからこそ、ほぼ同じになってしまうと予測される私の復職に向けて、短期間で効率的にスキルアップしてもらおう!と考えたので、ネガティブな感情は湧きませんでした」
――ご本人は、ゆる様がこのように考えて、接していたことをご存知ですか?
「今回話題になったことで、意図を知ることになったようです(笑)。 “苦労かけちゃってごめんね”と言ってくれましたが、卑屈になることは全くなく、前向きに捉えてくれています。この辺りは夫の懐の広さもありますし、元々職場の仲間だったからかもしれませんね」
――育児に同じように向き合うことで、夫婦としての関係に変化はありました?
「今のところ、変化はあまり感じていません。でも、結婚するときに「こんな夫婦になりたい」と二人で話していた姿に近づいてきているんじゃないかな。引き続き並走しながらがんばりたいです」
◇ ◇
「ご夫婦でお互いに信頼関係や尊敬しあえる関係が築けていたお二人なんだろうなぁ」というコメントもありましたが、ゆるさんも一連のツイートを投稿後にこうつぶやいています。
「我が家で大切にしているのは「なんでも言い合える関係性」だったりします」