転職の際、資格があったほうが選考で有利になる業種や職種があります。特に専門的な知識や技術が求められる業界・職種では、どのような資格を取得しているかが重要視されます。一方で資格がなくても、資格が必須とされない業界・業種であれば、転職できる可能性は十分にあります。
資格なしで転職を検討している場合は、資格なしで転職しやすい業界・職種を把握しておくことが大切です。本記事では、資格なしで転職しやすい業界・職種や、企業が選考で重視する点を解説します。
資格なしの転職は不利になる?
職種によっては、国家資格がないと働けない場合があります。たとえば、医師や看護師、航空管制官などです。
一方、民間資格は民間団体や企業が独自に定めた基準に基づいて、個人の能力や知識を認定する資格です。民間資格を取得することで特定の能力や知識を証明できますが、必ずしも採用につながるわけではありません。
業界や職種によっては、民間資格が応募条件に含まれることがありますが、一般的にはそれほど多くありません。国家資格のように必須資格でない限り、資格がないことが転職において不利になるとは限りません。
資格がなくても、経験やスキル、ポテンシャルをアピールすることで、転職成功のチャンスはあります。
企業が中途採用の選考で重視する点
厚生労働省の「令和5年若年者雇用実態調査の概況」によると、若年正社員の採用選考をした事業所のうち、資格や経験よりも次のようなポイントを重視したことがわかっています。
<仕事に対する意識や意欲>
厚生労働省の調査によると、企業が正社員を採用する際に重視するポイントとして、最も多かったのは「職業意識・勤労意欲・チャレンジ精神」です。これは、中途採用で即戦力が求められるためです。
仕事に対する意識が高く、意欲的で新しい環境に適応できる人材は、即戦力として活躍できると期待されます。
意欲的に長く働く意志をアピールできれば、資格がなくても転職できる可能性は十分にあります。
<コミュニケーション能力>
厚生労働省の調査によると、企業が正社員を採用する際に重視する点で、二番目に多かったのは「コミュニケーション能力」です。
企業は中途採用者に即戦力としての活躍を期待しており、既存のチームにスムーズに溶け込み、メンバーと円滑に連携することを求めています。適切な情報共有や意思疎通には、コミュニケーション能力が欠かせません。そのため、中途採用者には特にこのスキルが重要です。
コミュニケーション能力が高い人材は、チームの雰囲気を良くし、協力体制を強化できます。また、顧客対応の場面でも信頼関係を築くために必要なスキルとなります。
<マナーや社会常識>
マナーや社会常識は、採用活動において重要な判断基準の一つです。
一般的に企業は書類選考と面接を通じて人材を採用しますが、履歴書や面接だけで求職者の人柄を判断するのは難しい場合があります。
そのため、面接官は求職者の人柄を把握するために、マナーや社会常識をチェックします。具体的には、挨拶がきちんとできるか、人の目を見て話せるか、身だしなみが整っているかなどです。
マナーや社会常識は、社会人としての基礎力であり、職場での円滑なコミュニケーションや信頼関係の構築に欠かせない要素です。これらが不足していると、同僚や顧客との関係に悪影響を及ぼす可能性があるため、多くの企業で重視されています。
資格なしでも転職しやすい業種・職種
資格なしでも転職しやすい業種や職種は、次のとおりです。
・飲食業
・建設業
・営業職
・介護職
・ITエンジニア
それでは、各業種や職種を詳しく見ていきましょう。
<飲食業>
飲食業はニーズが高い一方で、常に人手が不足している業界です。ほかの業界に比べて求人数が多く、特定の資格を求められることもほとんどありません。
飲食業は人と接する機会が多いため、コミュニケーション能力が重視される傾向にあります。調理補助や配膳など、未経験でも比較的始めやすい作業が多く、経験を積むことでスキルアップも可能です。将来的には店長やエリアマネージャーに昇進し、経営スキルを身に付けることで、独立もできます。
<建築業>
近年、建設業では高齢化が進み、熟練工の引退による人手不足が深刻化しています。さらに、離職率も高い傾向にあり、新しい人材の確保が急務となっています。
建設業で働くには専門的な知識や技術が求められるため、資格が必須だと考える方がいるかもしれません。しかし、建設業には資格が不要な仕事も多くあります。
施工管理や設計など多様なキャリアパスが用意されているため、将来の目標に向けて意欲的に取り組める可能性があります。
<営業職>
営業職は、顧客に自社商品やサービスを紹介し、契約・購入につなげるのがおもな仕事です。特別な資格を必要としないため、幅広い人材が活躍できます。
営業職は企業の顔として、顧客と直接関わる重要な役割を担っています。そのため、コミュニケーション能力や問題解決力が非常に重要です。
高いコミュニケーション能力があれば、顧客との良好な信頼関係を築くことができ、業績の向上につながります。また、問題解決力が優れていれば、顧客の抱える課題やニーズを正確に理解し、適切な解決策を提案することが可能です。
<介護職>
日本の少子高齢化は深刻な状況にあります。今後、介護職へのニーズも一層高まる見込みです。
介護職の現場では、おもに介護を必要とする方の身の回りのサポートを担当します。具体的には食事介助や入浴介助、移乗介助などです。働く場所によっては、利用者の自宅に訪問して身の回りのサポートをすることもあります。
介護職は人手不足が深刻で、常に多くの求人が出ています。そのため、無資格や未経験でも採用を行っている企業が多くなっています。また、介護職にはさまざまな資格があり、働きながら資格を取得することも可能です。
<ITエンジニア>
現代では、仕事や生活にIT技術が欠かせません。IT技術の発展は著しく、需要も高いため、多くの企業が人材を求めています。
IT業界の仕事は専門的な知識や技術が必要とされるため、資格が必須と思われがちですが、資格なしでも転職できる職種は多くあります。
その一例がITエンジニアです。ITエンジニアに必要な知識は独学や、未経験で入社して企業の研修や業務を通じて習得することが可能です。
実際、IT業界ではエンジニア不足が深刻化しており、未経験者を積極的に採用し、自社の研修制度で育成しようとする企業も多くあります。
資格なしでも転職を有利に進めるためのポイント
ここからは、資格なしでも転職を有利に進めるためのポイントを解説するので、ぜひ参考にしてください。
<資格以外の自分の強みをアピールする>
資格なしで転職を目指す際は、資格以外の要素をしっかりアピールすることが重要です。
たとえば、自分の強みを具体的に示すことで、企業側に「自分が入社することでどのように貢献できるか」を明確にイメージしてもらえます。
もし自分の強みを把握できていない場合は、キャリアの棚卸しから始めてみましょう。キャリアの棚卸しとは、これまでの自分の経験を振り返り、身に付けたスキルを整理して客観的に分析することです。過去の経験を振り返ることで、自分の強みを理解できます。
たとえば、営業職の場合はコミュニケーション能力や交渉力、事務職であればパソコンスキルがあげられます。
書類選考や面接で自分の強みを具体的に説明できれば、資格なしでも転職成功の可能性が高まるでしょう。
<応募書類にスキルを具体的に記載する>
転職では、書類選考を経て面接に進むのが一般的です。書類選考通過の可能性を高めるためには、応募書類に自分が持つスキルを具体的に記載することが大切です。
たとえば営業職の場合、SFAツール(営業支援ツール)やCRMツール(顧客管理ツール)など、これまでに使用したツールを記載するのもよいでしょう。話せる言語やTOEICのスコアを記載するのも効果的です。
また、履歴書はすべての項目に記入するのが基本です。資格がない場合は、空欄にせず「特になし」と書くようにしましょう。空欄だと記入漏れと見なされ、雑な印象を与える可能性があります。もし資格取得に向けて勉強しているなら「〇〇資格取得に向け勉強中」と記載すると、前向きな姿勢をアピールできます。
<面接では働く意欲や前向きな姿勢を示す>
資格なしでの転職を有利に進めるためには、働く意欲や前向きな姿勢をしっかりアピールすることが重要です。
未経験でも応募できる求人では、スキルや経験よりもポテンシャルが重視される傾向にあります。新しいことに挑戦する意欲や、積極的に学ぶ姿勢があると、高いポテンシャルを示す材料になるでしょう。
転職が一般的となった現代、企業は長く働ける人材を求めています。面接で企業に貢献する意欲を伝え、成長できる人材と評価されれば、転職成功のチャンスが広がるでしょう。
<転職サービスを積極的に活用する>
中途採用は転職活動が長期化しやすく、転職するまでに時間がかかりやすい側面があります。より効率的に転職活動を進めたい場合は、転職サービスの活用を検討してみましょう。
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資格以外をアピールして転職を成功させよう
業界や職種によっては、特定の資格が応募条件に含まれているケースがあります。しかし、資格を必須としない求人も多く存在します。必須資格でない限り、資格がないことで転職が不利になるとは限りません。
資格なしでの転職を有利に進めるには、書類選考や面接で、仕事に対する意識や意欲、コミュニケーション能力、マナー・社会常識をしっかりとアピールすることが大切です。
より効果的にアピールしたい場合は、Re就活エージェントの活用がおすすめです。キャリアアドバイザーがアドバイスしてくれるため、資格なしでも転職できる可能性が高まります。
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