「本能寺の変」をモチーフにした防火ポスター 小6男子の発想に「戦国マニアに見せたら大爆笑」「説得力の塊」

宮前 晶子 宮前 晶子

「本人に許可とったので載せちゃいますが、長男氏が夏休みに描いてた防火ポスター、センスの塊じゃないですか??これを通す方もすごいと思いました」。小学6年生の長男が制作したポスター画像とともに消防署長賞受賞を知らせた母親・荻野眞弓さん(@mymejp 以下荻野さん)。詳しくお話を聞きました。

炎に包まれる織田信長、その様子を遠巻きに見つめる明智光秀、そのそばには大きな字で「するな放火」ゴォォ。

そんなインパクトあるビジュアルに、
「戦国マニアの息子(小5)に見せたら大爆笑」
「やば、じわじわ来すぎる...」
「優勝すぎる」と発想の妙を讃えるリプライや
「説得力の塊」
「彼は加害者と被害者の立場を知るひと、ひとことの重みが違います」
と歴史を踏まえた上での賞賛、
また
「『するな放火』の倒置法に文学的センスも」
「説明なしでも信長に見える(似ている)所が凄い」
「火つけたのは信長で光秀は消火しようとしてるんだよね扇から水出してる」
と画力の素晴らしさを褒める言葉も。

歴史上最も有名な火災シーンである本能寺の変を描き、放火を警告するポスターが描かれたのは、実は昨年の夏。夏休み終了間近の今、そのアイデアに改めて注目が集まっています。当時の制作秘話について荻野さんに伺いました。

「防火、ぼうか、ほうか…、信長!」このひらめきが傑作誕生のきっかけ

――絵を見た瞬間に、「まさに!」「目の付け所がすごい!」と感心しました。 絵から、ノリノリで描いている感じが伝わってきます。

「当時小学6年生の長男が夏休みの課題で制作しました。制作は計4日間。内訳はアイデア1日、下書きと主線で1日、色塗り1日、細かいところの色塗りなど仕上げ1日です」

――信長起用という着眼点が素晴らしいです。

「長男によると、“防火ポスター、防火、ぼうか、ほうか、ほうか……火付け……本能寺の変!?” と。素直に織田信長が出てきたようです」

――なるほど!歴史好きじゃないと、その連想はなかなか…。

「戦国時代と三国志がピンポイントで好きですね。山科けいすけさんの4コマ漫画『SENGOKU』と 白井恵理子さんの4コマ漫画『STOP劉備くん‼︎』は彼の愛読書です」

――「これ描いてる途中で本人飽きて放置してたんですけど、完成させて提出して結果を出すという経験を積めてよかったなぁと思います」と母親の気持ちをツイートしていらっしゃいますが、放置期間中、声がけは?

「 “アイデアとてもいいよ、おもしろい” “せっかくここまで描いたんだから完成させて提出しようよ”“宿題を締め切りまでに提出するという姿勢が大事”“先生驚かそうよ”など、あれやこれや、言いましたね。自分が好きなことには寝食を忘れて集中しますが、誰かに言われたことや義務的なものには興味がないようで、本人には一切響きませんでした。 父がひとこと何か言ったらしく、そこから完成することができました。 何を言ったかは教えてもらえませんでした」

――消防署長賞受賞の一報を聞いた時はどんな気持ち?

「息子は“マジか”でしたね」

――「消防士さんたち、“見てこれすっご!”“うわ信長!”とか言って選んだんですかね~」「見れば見るほど味がありますよね。これを選んだ、消防署長のセンスもいいです(笑)」とリプライ欄にも。

「 “ずいぶんユーモアがわかる署長だな、そもそも学校がよく推薦したなぁ”と私も思いました。リプにも、“選考の様子知りたいですよね。そもそも学校代表として出してくれた担任や校長も……”と返しました」

――34.1万いいねの大きな反響を生んだツイートに対して、息子さんはどんな反応でした?

「“わあーすごーい(棒読み) ”と平常心で言ってましたが、どこまで伸びた? 万バズ??すっごー!と恥ずかしがりながらも喜んでいました。 褒めてくれているコメントは全て読んでいました。

ポスターを制作して、1年経ちますが、賞状と共に額装して自宅の廊下に飾っております。 嫌がらないところをみるとよい思い出になっているようです」

――この夏には、キーホルダーやTシャツなどのグッズ化も。

「はい。私の夫、つまり長男の父親が諸用で商標など関係ないTシャツを探していまして、長男が描いたものなら問題ないだろう、記念にもなるからTシャツにしようという流れで作りました。応募作ということで消防署に電話して許可を得ています。

でも、Tシャツが完成するタイミングを念頭に入れずに制作依頼してしまって、結局Tシャツが出来上がらないうちに父の用事は終わりました(笑)。 ひとつ売れるごとに100円のマージンが長男に入ることになっていますが 今のところ自家用分しか出ておりません」

中学1年生になった今年は、宿題のドリルをやったり、妹や弟とゲームしたり、充実の夏休み。交通安全ポスターの課題制作で歴史を題材にしよう、と構想していたものの、課題のテーマが変更になったらしく意気消沈しているそう。

母親の荻野さんは、取材の最後をこんな言葉で締めくくりました。

「長男には発達障害があります。好きなことには集中しますが、それ以外のことはなかなか興味を持てません。授業中は教室を飛び出て一日中虫取りをしていたこともありました。同級生と衝突することも多く、度々学校の先生方にはお世話になりました。担任の勧めで医療機関にかかり、心理検査を受けたところ、とても高い知能を持つこと、それと同時に困難も多いことがわかりました。小学生の時に情緒の通級を希望しておりましたが、知能が高いため問題はないと判断され公的支援に繋がれませんでした。

最近文科省が特定分野に特異な才能がある児童生徒に対する指導を考える方向であるという発表を見ました。 うちの子たちは長男含め、普段の生活では特異な才能よりも自分の中の凹凸と上手く付き合えない困難さのほうが目立ちます。 高知能+発達障害のある子供達にも支援が広がればいいなと思っております」

■荻野眞弓さんTwitter  @mymejp

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