企業倒産の予兆…85%の経営者「1年以内」には感じていた!?「預金通帳残高の大幅減少」「大口得意先の倒産」など

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コロナ禍による景気の冷え込みに加えて、ウクライナ情勢が追い討ちとなり、2022年5月の全国の企業倒産件数は2ヶ月連続で増加しているといいます。倒産に追い込まれる理由はさまざまですが、実際はどのようなものなのでしょうか。直近10年以内に倒産経験がある全国の経営者(元経営者)1003人に「企業の倒産理由や原因」を聞いたところ、倒産の原因については、約半数の人が「販売・客足の低下」と回答したそうです。また、85%の経営者が、倒産の予兆を倒産前1年以内には感じていたといいます。

クラウド型経営支援ソフト『bixid(ビサイド)』を提供する株式会社YKプランニングが2022年6月に実施した調査です。

「倒産した時期」を聞いたところ、「コロナ前」(46.7%)、「コロナ後」(53.3%)と、ほぼ半々の結果となりました。また、「倒産した原因」については、「販売・客足の低下」(49.8%)が最も多く、以下、「原材料の高騰や供給不足」(19.7%)、「売掛金の回収不能」(18.2%)、「人手不足」(17.7%)、「怠慢経営のしわよせ」(14.3%)、「関連企業の倒産」(8.5%)、「不測の事態(病気や事故、天災など)」(8.4%)と続きました。

「どのくらい前に倒産の予兆を感じましたか」と聞いたところ、「~6ヶ月前」(28.8%)、「~3ヶ月前」(24.9%)、「~1年前」(17.1%)、「~それ以前」(15.0%)、「~2ヶ月前」(8.0%)、「1ヶ月前」(6.2%)という結果となり、倒産前1年以内には感じていたという回答が85%にのぼりました。

また、「予兆を感じた理由」については、「預金通帳残高の大幅減少」(29.7%)が最も多く、以下、「大口得意先の倒産」(15.0%)、「競合他社へ徐々に顧客を奪われる」(8.1%)、「顧問税理士からの示唆」(7.6%)、「エース・キーマンの退職」(7.0%)、「原材料の高騰や供給不足」(7.0%)といった回答が続いたそうです。

調査結果から同社は、「預金通帳残高の大幅減少や大口得意先の倒産、競合他社へ徐々に顧客を奪われるなど、さまざまな予兆があるようですが、これらを総括すると『キャッシュフロー(現金の流入と流出)の枯渇』に原因があるのかもしれません」と説明しています。

続いて、「倒産前(1年以内)に誰に相談していましたか」と聞いたところ、「顧問税理士・会計士」(40.0%)が最も多く、以下、「家族」(24.9%)、「経営者仲間」(21.1%)、「金融機関」(18.8%)、「社内従業員」(16.5%)、「取引先(12.4%)」と続いた一方で、10.6%の人が「誰(どこ)にも相談しなかった」と回答したそうです。

また、「倒産前(1年以内)に行った資金調達手段」については、「金融機関からの融資」(42.0%)、「補助金や助成金」(21.4%)、「会社資産の売却」(20.1%)、「親族・知人からの借入」(14.0%)、「法人ビジネスローン」(13.8%)、「増資」(12.4%)といった回答が上位に並びました。

さらに、「倒産を予兆した際、どのような対策を行いましたか」と聞いたところ、「新しい事業への転換」(24.6%)、「営業活動・マーケティング広告の拡大」(16.3%)、「追加の資金調達」(16.2%)、「従業員のリストラ」(15.8%)、「一般経費の削減・見直しによるコスト削減」(14.2%)、「不採算事業の縮小・撤退」(13.7%)、「既存事業の新市場への参入」(13.6%)といった回答が上位に並びました。

調査結果を踏まえて同社は、「倒産を予兆した際に取った行動として適切だったかまで判断することはできませんが、取った行動に『入念な計画があったのか』、それとも『勢いが先行していたのか』で大きな分かれ目を感じます」と述べています。

最後に、「経営者個人だけでは倒産を防ぐための具体的な対策を立てることは難しいと思いますか」と聞いたところ、「とても難しいと思う」(50.5%)、「やや難しいと思う」(37.6%)を合わせると、88.1%の人が「難しいと思う」と回答しました。

また、「“やっておけば良かった"あるいは"倒産を防ぐことができた”と思うこと」については、「不測の事態を考慮した内部留保(資金留保)」(38.5%)、「行き当たりばったり経営でなく計画的な事業の推進」(30.0%)、「経営戦略面での決断(新しい事業への転換、新市場への参入、不採算事業の撤退など)」(25.0%)、「顧問税理士・会計士に早めの事前相談」(12.2%)、「事業の一部売却による資金化」(12.0%)』と続きました。ちなみに、最も多かった「不測の事態を考慮した内部留保(資金留保)」を選択した人に、具体的な理由について聞いたところ、以下のようなコメントが寄せられたそうです。

▽内部留保がなければ不測の出費に対応できないため(30代男性/愛知県)
▽不祥事が起こるのは内部なので立て直す資金は別口で必要(30代女性/神奈川県)
▽キャッシュがないとコストカットするための施策も出来ない(50代男性/神奈川県)
▽内部留保を厚めにする事で経営的にも余裕が出来るため(50代男性/福岡県)

   ◇  ◇

調査を行なった同社は、「キャッシュが枯渇しなければ倒産するはことありません。倒産の予兆を感じた際、内部留保があれば、倒産までの時間を稼ぐことができます。会社の内部留保を増やすためには、日頃から『計画的な経営推進』による利益体質の経営が求められます。会社に体力がある時期にこそ、思いきった『経営戦略面での決断』を行なうことも必要になるでしょう」と述べています。

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