コロナ禍から2年、飲食店の「人手不足問題」はその後どうなった!?解決されぬままとにかく営業

松田 義人 松田 義人

コロナ禍から2年が経過しました。この間、緊急事態宣言、まん延等重点措置、時短営業の制限などがあり、飲食店が大打撃を受けていることは各種報道の通りです。「客足が遠のいている」「営業に制限がかかっている」ということにおける飲食店の収入減は想像できますが、これらによってもう一つ大きな問題があります。それは「飲食店の人手不足」。

営業状況が不安定になり、不特定多数が集う飲食店であれば、なり手が少なくなることはなんとなく想像できますし、この「人手不足問題」もまた報道で散見されるものです。しかし、その中身として、どれだけの数の飲食店が「人手不足問題」に対し厳しい状況に立たされ、どんな課題を強いられているかなど、突っ込んだところまでに迫った報道は、これまでごく限られていたように思います。

そんな中、企業や飲食店など向けの顧客満足度向上プラットフォームとしてサービスを実施している「ファンくる」では「コロナ禍における人手不足についての意識調査」を今年実施・発表しました。

今回はこの調査結果をもとに、前述のような飲食店における「人手不足問題」の今を推測しご紹介したいと思います。

今の飲食店が抱える問題は「材料などの原価が高い」に次いで「従業員の人手が足りていない」

 

 

まず、「現在、ご自身の飲食店はコロナの影響を受けていると思いますか?」の設問の結果を見てみましょう。「非常にそう思う」が67%、「そう思う」が17%で合計84%の飲食店がコロナ禍における、なんらかの影響を受けながら営業を続けていることがわかります。

次に、その「影響」の中身についての設問「現状で困っていることを教えてください」のアンサーを見ていきます。複数回答をして良い設問ですが、「材料などの原価が高い」の60%に次いで、「従業員の人手が足りていない」が56%と半数以上を占める結果になりました。

飲食店の定義は、「料理を提供する」「お酒を提供する」といったものである一方、「家庭などでは実現できない『場』を提供する」「サービスを提供する」といったことも重要です。その担い手となる「人手不足問題」はやはり、材料費高騰などと同様に重大な問題であることが如実に伝わってくる結果となりました。

 

 

このような「人手不足問題」の重大性をさらに裏付ける結果が「現在、人手は足りていますか?」の設問と、「人手不足によってどんなお悩みを抱えていますか?」の設問。

「現在、人手は足りていますか?」では「足りていない」が55%となり、その上での主な理由について問う「人手不足によってどんなお悩みを抱えていますか?」ではやはり「接客を手厚くできない」が50%ともっとも多い結果に。

飲食店における従業員は、やはり物理作業を行うだけでなく「サービスを提供する」という重要な役割を果たすもの。誤解を恐れずにいえば、「その店の料理や酒の『味』と同等、あるいはそれ以上の存在」と言っても良い従業員が確保しにくい今の状況は、やはり厳しいことが伝わってきます。

採用活動を熱心に取り組むも、様々な事情で半数以上が「うまくいっていない」

 

 

では、飲食店にとって欠かすことができない従業員の確保についての設問を見ていきましょう。「現在、採用活動は行っていますか?」の設問に対し「はい」と答えた飲食店は85%という結果になり、とにかく「良い人材を確保しよう」と各店が日々努力していることがうかがい知れます。

しかし、一方の「現在の採用活動における状況について教えてください」の設問に対しては、58%がうまくいっていない結果となりました。内訳は「応募が来ない/少ない」が25%、「応募は来るが良い人材に出会えない」が26%、「良い人材に出会えたが辞退された」が7%という結果に。かなり厳しい状況が、この数字から伝わってくるように思いました。

 

ただし、飲食店の多くが現状を悲観するだけでなく、なんらかの形で解決しようと前向きに取り組んでいることがわかる結果も。「人材不足において、何か解決策など考えていますか?」の設問に対しては、78%の飲食店が「はい」と回答しており、この点は実に頼もしく思える結果でした。

半数以上の飲食店が、「悩みごと解決」の見通しがないままとにかく営業を続けている

 

しかし、飲食店の前向きな姿勢をもってしても、抜本的な問題解決には至らないことを表す結果も。「お悩みごとはいつ頃解決する見通しですか?」に対しては「未定」と答えた飲食店が56%となり、半数以上の飲食店が依然として問題を抱えたまま、具体的な解決策を見出せないまま営業を続けていることが伝わってきました。

 

今回ご紹介した「ファンくる」の調査結果からは、各飲食店が抱える今の厳しい状況を感じることができました。筆者個人的には、外食産業は日本の文化の一つであり、多くの人々を癒してくれる、生活に欠かすことができない貴重な場だと思っています。特に資本提携などを持たない個人経営の飲食店には、「世界中どこを探しても、その店にしかない味と魅力がある」もので、だからこそ近年、「町中華」などを筆頭としたこういった店の再評価が高まっているのではないかと思っています。

素人の筆者が各飲食店が抱える「人手不足問題」に助言するようなことはできませんが、どうかこの苦境を乗り越え、1日も早く元通りの営業ができる日がくることを祈るばかりです。

【調査概要】
調査方法:インターネット調査
調査対象:飲食店
回答者:「ファンくる」を導入している飲食店
回答数:19店舗(業態不問)
調査時期:2022 年1月18日~2月8日
ファンくる
https://www.fancrew.jp/

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