フラミンゴの赤ちゃん誕生に立ち会える-。約200羽のフラミンゴを入園ゲート真ん前の“一等地”で披露する兵庫県の神戸市立王子動物園。毎年6月ごろからのベビーラッシュを前に、今年初めて登場したのが、産卵日と孵化予定日を明記し、抱卵している位置も分かりやすく紹介した見取図です。
ヒナ誕生の時期を恒例行事のように楽しみにしている熱心なファンは多く、この見取図情報を頼りにじーっと見守ってさえいれば、新たな命誕生の瞬間に立ち会えるなんて、かなりありがたい掲示です。でも、予定日がずれたり、途中で残念な結果になることもあるかも。あえて見取図を設置した理由、フラミンゴの観察ポイントを担当飼育員の兼光さんに聞きました。
--卵の位置と孵化予定日。分かりやすいです。
「せっかくフラミンゴが卵を抱いていても、ヒナが生まれていても、気付かれないのはもったいないなと思い、設置しました。また、卵を見つけて『いつごろ生まれますか』とか、『ヒナは何羽生まれていますか』と関心を持って聞いてくださるお客さまも多くいらっしゃるので、その際に説明しやすくなりました」
--観察のポイントは?
「フラミンゴは、オスとメスが交代で卵を温めますので、その交代のタイミングに卵の様子を観察して、変化を見たり、生まれたてのヒナが見えることがあります。フラミンゴミルクをオスもメスもヒナに与える姿も貴重だと思います」
--土を盛り上げた巣がいくつも。飼育員さんが?
「3月始めから土を新しく入れ替えて、それをフラミンゴが巣に仕上げていきます。そうです、フラミンゴが自分でするんですよ」
--せっかく産卵しても取り上げられることも…。
「当園ではベニイロフラミンゴとヨーロッパフラミンゴの2種類を飼育しています。違う種類同士がカップルになることもあり、仕方なく、こっそり取り上げています。種の保存のためです。かわいそうですが…」
--フラミンゴの寿命はどれくらい?
「はっきり言うのは難しいですが、当園では40歳以上になる個体もおります」
--狭いところにたくさん、かわいそうと言う声も。
「今、約200羽おります。このフラミンゴ池の広さならもう少しいてもいいくらいなんですよ。彼らは『ギュウギュウ』なのがいいんです。天敵に襲われないために野生でも密集して暮らしています」
孵化予定日の少し前から卵に穴が開くことが多く、じっとじっとじっと待ちさえすれば、ヒナが誕生する瞬間に本当に立ち会える“かも”。羽が濡れた状態で最初は弱々しくも見えますが、巣から出て親と一緒に池のあちこちで過ごす姿はどんどんたくましくなり、あっという間に「灰色のフラミンゴいるね」状態になるのです。
「ヒナは毎年10羽ほどが誕生しています」と兼光さん。見取図通りだと、今年はあと数羽は生まれたてのヒナが見られそうです。