「こんなところにちぎりパン…?と思ったら休憩中の訓練犬でした」とツイートしたのは「関西盲導犬協会」(京都府亀岡市)。犬さんが柵にくっついて寝そべったところ、薄茶色の背中がまるできれいに4等分されたパンのような光景に―。
「美味しそー(笑)」「う~ん、見事なちぎりパン」「コンガリーナですね」「何斤分あるでしょう…?かわいくて食べられませんが」「健康的な毛並みと体型だなぁ」などの関心が寄せられています。この写真や盲導犬の育成環境について、同協会の担当者に教えてもらいました。
変わった格好で寝るのが好きなJちゃん
――こちらの犬さんと状況が気になります!
1歳9カ月のラブラドール・レトリーバーのJちゃんです。犬室の柵に顔や体を押し付けて変わった格好で寝るのが好きで、職員みんながよく「こんなかわいい顔してたよ」などと写真を撮っていました。そんな時にたまたま見かけた姿が、あまりにもこんがりと焼けたちぎりパンに見えたため、Twitterで皆さんに見てもらおうと思いまして。
――このように寝るのが好きなのですね。普段はどんな性格ですか?
盲導犬の候補犬として訓練を6カ月行いました。少しマイペースなところがありますが、訓練を進めていくにつれて、訓練士とのコミュニケーションがなめらかにとれるようになり、こちらの伝えることをくみ取ろうと頑張ってくれていました。
ただ、大きな物音が苦手で工事現場や駅に行った際に、それを怖がり、訓練を重ねても平常心を保つことができませんでした。そのためキャリアチェンジ(進路変更)になり、今は家庭犬として、オーナーさんご家族からたくさんの愛情を受けながら過ごしています。
――候補犬時代の思い出の写真だったのですね。
当協会で訓練を行う犬のうち盲導犬になるのは約30%です。性格や健康面などの理由で訓練士が「この子は、盲導犬にならないほうがいい」と判断した犬は、キャリアチェンジとなり、一般のご家庭にお譲りしてペット犬と同じように暮らしています。
盲導犬になるための訓練とは?
同協会の犬舎「木香テラス」には常時20頭前後の訓練犬がいて、ほぼ毎日が訓練日とのこと。担当訓練士の休日には、テラス職員やボランティアさんに手入れや散歩などをしてもらったりして、くつろいで過ごしているそうです。
――盲導犬になる過程についても教えてください。
繁殖から当協会で行っています。1歳になるまでは「パピーウォーカー」と呼ばれるボランティアさんご家族と生活して、盲導犬になる基礎を勉強します。1歳過ぎに当協会での訓練が始まり、訓練の期間は約8カ月~1年ですね。
――特にどんな犬が適しているのですか?
盲導犬に求められることは「健康であること」「盲導犬としてのお仕事を楽しんでできること」「様々な環境の変化にも落ち着いていられること」などですが、盲導犬を必要とする方の生活環境や行動範囲、年齢などによっても求められることに違いはあります。
――訓練では覚えることが多いのでしょうか?
当協会での訓練が始まってから6週間は「生活訓練」といって、木香テラスで過ごすためのルールや排泄、協会周辺の静かな環境での歩行など、目のご不自由な盲導犬ユーザーさんと暮らすための基礎を学びます。
その後は、閑静な住宅地から訓練をスタートさせ、繁華街や店内、公共交通機関での訓練も。最終段階では、実際にマッチングをおこなう盲導犬ユーザーさんの生活や歩行を想定した訓練になります。
――最後に、盲導犬の活動についてのメッセージをお願いします!
盲導犬は「犬のエリートで厳しい訓練を受けている」という印象をお持ちの方がまだまだおられると思いますが、当協会のSNSやYouTubeなどを見ていただき、おだやかな環境の中で、犬の個性に合わせてたくさん褒めながらのびのびと訓練をしている様子を知っていただけると嬉しいです。
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同協会では、見えない・見えにくい方への「体験歩行」や「視覚相談会」、一般の方には盲導犬訓練実演、木香テラス見学などの「施設見学会」も行っています。また街頭募金活動などでは、キャリアチェンジ犬のオーナーが、愛犬とともにサポートしてくれることもあるそう。活動詳細は公式サイトでご確認を。
「関西盲導犬協会」
■公式サイト https://kansai-guidedog.jp/
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