元保護犬の女の子「くう」ちゃんは、今から3年前、Xユーザー・くうちゃんとリク(の姉ちゃん)さん(@ku_s_815)の家族になりました。その出会いの背景には、ある不思議な出来事があったといいます。
長年一緒に暮らした黒いラブラドール・レトリバーの「海(カイ)」くんを虹の橋に見送ったあと、飼い主さんの家族は新しい犬を迎えることができずにいました。そんなある日、転機となる出来事が起こります。
「母が夢を見たのです。1匹の犬が現れ、『この子、カイくんの従姉妹だからよろしくね』という声が聞こえたそうです。その出来事がきっかけで、母は『犬との縁があるのでは』と思い、保護犬について調べ始めました」
その後、近県で保護犬の譲渡会が開かれることを知り、家族で参加することに。そこで出会ったのが、生後1カ月だった「くう」ちゃんでした。
「父が一目惚れしました。黒色の被毛が海くんと似ていて、何か特別なつながりを感じたようです。最初は性別が男の子と表示されていましたが、スタッフさんの確認で女の子だと判明。それでも『この子がいい』と父は即決。私たち家族も同じ気持ちになりました」
こうして、2021年9月19日、くうちゃんは家族の一員となったのです。
「嫌だ」を克服すために…信頼を育んだ日々
お迎え当初のくうちゃんは、とても臆病で、時には「嫌だ」と感じた瞬間に攻撃的な態度を見せることもありました。特に、飼い主さんが外出する際には強い不安を感じ、噛みついてしまうことがあったといいます。
「仕事に出かけようとした際、本気で噛まれてしまい、流血するほどのケガを負いました。そこで、トレーナーさんに相談し、対策を考えることにしました」
トレーニングでは、外出をポジティブなものとして認識してもらう工夫がなされました。
「まずは私がドアに触れるとおやつがもらえる、というところからスタート。少しずつ『外出=ごほうび』と学んでもらい、今では私が出かける前にはおやつ入れの前で待機するようになりました(笑)」
また、くうちゃんは撫でられるのもあまり好まなかったといいます。
「頭を撫でようとすると避けるので、無理に触れるのをやめて、トレーナーさんに相談することに。『指でかくようにして、ちょこちょこと撫でる』『くうちゃんが体を寄せてきたときに撫でる』というアドバイスをいただき、実践しました」
すると、くうちゃんの態度に少しずつ変化が現れました。
「ある日、散歩中にすれ違いを上手にできたので褒めたんです。すると、後日、同じ状況になったとき、自ら足を止めて『えらかったでしょ? 撫でて』とアピール。撫でられることが“ごほうび”になっていたのです。とても感動しました」
今、飼い主さんが抱くくうちゃんへの思い
くうちゃんは現在3歳。性格をひと言で表すならば、「ツンデレ」なのだとか。
「抱っこも留守番も苦手。ベタベタされるのは嫌がるのに、夜の『くうちゃんだけをかまう時間』が少しでも遅れると、ガウガウと文句を言います。でも、撫でてあげると満足そうにお腹を見せてくれるんです。そのツンデレぶりには、思わず笑ってしまいますね(笑)」
くうちゃんとの暮らしは、これまでの犬との関係とは違い、試行錯誤の連続でした。しかし、だからこそ、飼い主さんの中に新たな学びも生まれたといいます。
「これまで一緒に暮らしてきた犬は『人間大好き!』でしたが、くうちゃんは違います。そのため、『これは好きかな?』『苦手かな?』と、くうちゃんの目線に立って考えるようになりました。お互いを尊重しながら暮らすことの大切さを、くうちゃんから教わりました」
最後に、お迎えから現在までを振り返り、くうちゃんへの思いについて飼い主さんは次のように語ってくれました。
「うちに来てくれたのがくうちゃんで良かったな、と日々思っています。今でも『こんなにかわいい子がうちにいる!』と感動することがあります。一緒に暮らすには工夫が必要なこともありますが、それすらも愛おしいです。これからも、くうちゃんが少しでも幸せに暮らせるよう、家族みんなで支えていきたいと思います」