京都・祇園の歩道に出現した「タケノコーン」昇天 現場に辞世の句や戒名の貼り紙も、SNSでまた話題に

浅井 佳穂 浅井 佳穂

 大型連休中、京都・祇園の路上に突如出現し、ロードコーン(三角コーン)の替わりを担っていたタケノコ「タケノコーン」。SNS(会員制交流サイト)などで大きな話題となりましたが、5月中旬になって姿を消しました。その跡地に置かれたロードコーンに貼られていたのは「謹告 たけの子儀は五月十一日昇天致しました」に始まる一文です。タケノコの「最期」を記した丁寧な文章が「さすが京都」などとまた話題を呼んでいます。

 貼り紙はタケノコーンのあった場所にあり、文章は死亡通知の形式をもって書かれています。通常、死亡通知には黒い縁取りがありますが、タケノコらしく若竹色の枠が付けられており、さらには活躍していた当時の「遺影」も添えられています。

 文面を読んでいきます。「タケノコーンとして立派に仕事をやり遂げて、皆様から生前にいただきました御芳情を満身にしみ込ませての大往生でありました」と最期の様子がつづられています。

 さらに「遺志により告別式は近親者のみで執り行った」ことや、供花や香典も辞退せよとの「遺言」を残していたことがわかります。

 後半には「出でていなば我なき舗道(みち)となりぬとも皐月(さつき)の花よ石段に咲け」という辞世の一首が添えられているほか、「孟宗院雀誉朝堀竹林居士」と竹にちなんだ徳の高そうな戒名を贈られたことも分かります。文全体からは植物といえども慈しむ心や生命への愛が伝わってきます。

 そもそも、このタケノコは4月下旬、祇園のすし店「いづ重」の店主北村典生さん(53)が知人からもらったタケノコが大きかったため、ロードコーンの代わりに置いたものです。その様子をツイッターで紹介されると大きな話題となりました。

 前回同様、祇園の旅館支配人・正脇良平さん(66)がツイッターでこの貼り紙を紹介すると、またまた話題となりました。「戒名もらった竹の子って史上初だと思う」「さすが!京都らしい展開」「辞世の句、カッケェ」などのリプライが寄せられていました。正脇さんも「京都・祇園の奥深さが良く伝わる文面です」と話す内容です。では書いたのはだれでしょう。

 ひょっとすると、あの貼り紙も北村さんの筆によるものかと、すし店に電話しました。やはり北村さんでした。北村さんは「あれで終わり。(タケノコの大往生で)みなさんも納得しはると思います」と話しました。タケノコも多くの人に親しまれ、親切な人に見送られて幸せな「竹生」「筍生」だったのかもしれません。

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