「生きてます」という奇妙なメッセージが、京都市中心部の街灯や電柱などに、相次いで書き込まれている。京都新聞社が調べたところ、少なくとも30カ所に上り、メッセージが記された物を管理する人たちは「何の意味があるのか。誰に宛てたメッセージなのか」と不思議がる。
メッセージは「生きてます」という言葉の後に、記入した年月日とみられる数字の羅列が続く。記者が4月上旬に調べたところ、上京区から中京区にかけての今出川通から丸太町通の堀川通沿いとその周辺に集中していた。ポストや電柱、橋の欄干、京都府警が管理する信号制御機に記されたものもあった。
メッセージは、黒色や白色のペン様のもので書かれているとみられる。縦書きも横書きもあり、文字の大きさや太さはまちまちだ。筆跡も異なっているように見え、複数の人物が書いている可能性もある。数字は「2021・03・18」から「2022・04・02」まであり、1年以上続いている可能性がある。
アーケードの柱6カ所にメッセージが残されている堀川商店街協同組合の乾雅智理事長(58)は1年ほど前に気づいた。「いろいろな所にあることは知っていて、何のメッセージかなと思っていた。今のところ金銭的被害があるわけではなく、実害が出れば対応を考える」と説明する。
メッセージの大半が点在する上京区を管轄する上京署によると、管理者らから被害申告があった場合、器物損壊罪に当たる恐れがあるという。
これらのメッセージは、SOSの可能性も考えられる。悩みを抱える人を支え、自死を防ぐ人材を育成するNPO法人「ゲートキーパー支援センター」(兵庫県伊丹市)の竹内志津香理事長は「いたずらかもしれないが、ぎりぎりの状態の人によるSOSの可能性も否定できない」とし、「行政や警察が書いている人を見つけても、頭ごなしにとがめず、『どうして書いているのか、よかったら聞かせてほしい』といったアプローチが望ましい」と話している。