「スマホトラブルは与えた親の責任」「大人でも使いこなせないのに」 子どものスマホとどう向き合うべきか…親側・先生側の意見は?

宮前 晶子 宮前 晶子

「あらためて。 うちの子の中学校。スマホトラブル講習会後の質疑応答でキッパリ。 「スマホを買い与えたのもゲームを許可したのも家庭の責任です。学校ではありません。トラブルは警察に連絡してください」 場はシンとしたけど、誰も反論はしなかった。文句もでなかった。」

「友だちがみんな持っているから」「塾や習い事などにひとりで行くから連絡手段として」などスマートフォンを子どもに持たせる理由はさまざまです。不安を抱えたり、気を揉んだりしつつ子どもに持たせている保護者も多いからか、スマホについてのある投稿が大きな反響となりました。投稿したOhhappydaysさん(@Ohhappydays6)と、教員であるめがね旦那@小学校の先生さん(@megane654321 以下めがね旦那さん)についてスマートフォンへの思いを聞きました。

親の責任という言葉に対して、
「当然のこと。スマホを持たせるなら、家庭でルールを決め、保護者の責任の下で使わせる」
「親が対処すべきことを学校に求める人が多すぎ。 家庭のことは家庭で解決」
「トラブったら警察と聞いたら、子どもたちも悪ふざけの延長のいじめトラブルはスマホでは起こらないかも…!?」
「大事になるからこそ、加害者の保護者もしっかり対応すると思う」
「子供の世界は家庭と学校がほとんど。スマホを買い与えたのは親の責任でも、切り離すのは難しくないですか?」など多くの意見が飛び交いました。

この投稿やスマホについてOhhappydaysさんに詳細を伺いました。

「今後なくなることのないツールだから、親も考えないと」

――いいねは4.5万件。コメント欄も、学校の先生、保護者がそれぞれの立場で議論していました。

「講習会で見聞きした事実をつぶやいただけで…。先生サイドからの共感やそれに対する攻撃的な反論がありました。反論する方は、学校に強い嫌悪感を抱いているのに、解決はしてほしい、つまり信頼もしているんだなと感じました。“学校は教育する所であって、家庭での親の責任を肩代わりする所じゃないですね”というコメントは共感も多かったです」

――スマホトラブル講習会で、先生が言ったのはなぜなんでしょう?

「スマホトラブル講習会は講師さんが来て、動画でいろんなトラブルの例を見ました。その後の質疑応答で、保護者の方が“このようなトラブルが起きたときは学校に相談して良いのですか?”と聞いたら、生徒指導担当の教師が、あのようにビシッと答えました。実際に、深刻なトラブルが起きていて、学校が苦労して疲弊していること、本来子どもたちに行いたいことが手薄になる状態に憤っていることがヒシヒシと伝わりました」

――スマホによる子ども同士のトラブル、いじめは多いです。でも、子どもにとって良い面もあるから、みんな欲しがるのかな?とも。

「とても便利なツールだなと思います。特にコロナ禍で、最初の緊急事態宣言が出たときはこれで孤独を感じなかった子もいるのでは。

ゲームのボイスチャットをしながらのテスト勉強会や、数人でLINEで通話しっぱなしでの勉強会などを、うちの子たちはやっていて面白いなと思いました。無言だけど、繋がっている感覚があり、わからないところはわかっている子に質問して、教えてもらっていましたね。

YouTubeやMinecraftなどは楽しいし学びもある、と大人の私も思います。私は学校支援員として働いているのですが、「YouTubeなに見てる?」とか「フォートナイトやってるの?」などの声かけで距離が縮むこともあるんですよね」

――だからこそ、大人もスマホのこと、子どものことを考えないといけない?

「スマホは今後なくなることは絶対にないツールですよね。使わせないという選択肢はもうないです。だからこそ大人が一緒に使っていくのが大事です。家庭で、小さなトライ&エラーを繰り返しながら学んで、取り返しのつかないトラブルに発展させないのが大切かと思います」

「大人でも使いこなせないのに子どもに使いこなせる?」

学校で子どもたちと向き合う先生は、スマホについて何を思うのでしょうか? 小学校教員で、『クラスに、「叱る」は必要ない!』『その指導は、しない』などの著書を持つめがね旦那@小学校の先生さん(@megane654321 以下めがね旦那さん)は、こうつぶやいています。

「大人が使いこなせていないスマホを「便利だから」という理由で子どもに与えてしまうことは危険だ。日本中の大人が「スマホの虜囚」になっているのに、子どもたちがそうならないはずがない。 「便利」には「中毒性」があり「他のスキルが育たなくなる」という面をもっと考えるべきである。」

めがね旦那さんは、「調べものをしたい時、書店に行かなくても情報を得られるなどスマホによって助かる面もあります」と肯定しつつも、「ただ、枝葉的に他のことを調べたり、動画を見てしまったり、気がつけば1時間過ぎてしまったってこと、大人でもあるでしょう?大人でもこうなってしまうのだから、自己管理が未熟な子どもたちに持たせていいのかな?と非常に不安を感じています」と話します。

めがね旦那さん自身、スマホを持ったがゆえの子どもたちのトラブルに対応したことも。「親は“まさか、うちの子が”と思うのでしょうが、出会い系のアプリで簡単に知らない大人とつながってしまうこともあります」。

気づかないうちに、社会とつながってしまうことへの危機感が大人に欠けていることを危惧し、「子どもたちをどう育てていくのか、を考えた上で、スマホを与えなくてはいけない。その部分を大人がサボると、結局子どもたちの成長に影響を与えるんです」と説明します。

今後できる対策のひとつとしてどんなことができるのかを訊ねると、「いっそのこと、スマホを学校内で使うことをOKにしてみたらどうなるか?を考えたこともあります。使用OKにすることで、どんな問題が出てくるか、その問題をどう捉え、どのように解決していくのかを子どもたち自身に考えてもらうんです。それこそが学校で行える教育じゃないかな、と」、考えを教えてくれました。

とは言うものの、教員同士で、あるいは職員室で子どもたちのスマホについて日頃から話し合うことは少ないそう。スマホ=トラブルのもとだから、禁止で良いという考えが大勢だから、と言います。

◇  ◇

最近では修学旅行でのスマホ所持を禁じられた高校生が「飛行機だからスマホの持ち込み禁止」と投稿したのも話題になりました。「飛行機だとスマホの何がダメなの?」「機内モードあるのに?」という意見も多く、学生の方は「修学旅行に持っていけず、みんな残念がっていました。交渉したのですが無理でがっかりしました」と言います。それでも、最終的には、「観光や班行動が楽しみです」と前向きな姿勢になっていました。

修学旅行でのスマホ禁止については、「旅先でなくすやつ1人2人いそう」「以前やらかした生徒のせいな可能性」と一部ながらも同意する声もあり、スマホ=トラブルに結びつくという考えが大人側・学校側にやはりあるからかもしれません。

Ohhappydaysさんも話すように、スマホはこれからも生活に大きく関わってくるツールです。わが子に与える親をはじめとする大人たちが、子どものために何が最善なのかを真剣に考えて、議論を深めていく必要があるのではないでしょうか。

■OhhappydaysさんTwitter https://twitter.com/Ohhappydays6

■めがね旦那@小学校の先生さん https://twitter.com/megane654321

■めがね旦那@小学校の先生さん著書「クラスに「叱る」は必要ない」「その指導は、しない」

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