奈良・春日大社の「藤まもり」授与が大人気 その理由は…『鬼滅の刃』ブームが後押し、藤の聖地も見頃に

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世界遺産・春日大社(奈良県奈良市)のシンボルである藤が例年より約1週間早く、見頃を迎えつつある。そして、藤の開花時期にあわせ、季節限定の「藤まもり」(800円)の授与が数量限定で4月13日から始まり、今年も大人気だ。

2021年は、SNSで注目を集めたことから、あっという間に授与が終了してしまったこのお守り。今年も春日大社の公式SNSで「ただただ、これ美しいなぁ」「奈良に行きたい」「えっ…キレイ…!!!ほしい」などの声とともにたくさんの反響があった。

社紋が『下り藤』とあって藤とゆかりが深い春日大社。藤原氏の氏神様をおまつりしているため、藤は藤原氏のゆかりとして大切にされ、御巫(みかんこ/巫女)の簪(かんざし)や毎年12月に行われる摂社・若宮の例大祭「春日若宮おん祭」の「日使(ひのつかい)」の冠にも藤の造花が使われている。

そういった背景から、「藤まもり」は約15年前から授与がスタートしており、知る人ぞ知るお守りだった。しかし、ここ数年で急に注目を集めるように。一体なぜなのだろうか?

「当社は古くからの藤の名所であり、藤は春日のシンボルですので、通常の季節限定の授与品として、今まで特別に意識はしておりませんでした。近年の『鬼滅の刃』ブームで当社の藤も注目を集め、その流れで『藤まもり』も人気になったのだと思います」と、春日大社広報担当の秋田真吾さんは説明する。少年ジャンプの人気漫画『鬼滅の刃』(集英社/著・吾峠呼世晴)には、主人公たちの敵である鬼の結界として1年中藤の花が狂い咲きする藤襲山が登場する。

その藤を目的に訪れるファンが増え、SNS上ではキャラクターのグッズとともに藤まもりを公開している人も多い。それに伴いSNSで拡散され、一見するとお守りと分からない美しいビジュアルが幅広い世代に話題となり、授与された「藤まもり」を藤の花と一緒に撮影する人が続出している。

SNSで授与開始を知ったという奈良市在住の50代女性は、「今まで藤を見に来たことはありましたが、(お守りの)授与期間中に来ることができなかったので、嬉しい」と顔をほころばせた。

藤が美しく咲き誇る境内

同大社の境内では、20品種、約200本の藤が楽しめる春日大社「萬葉植物園(まんようしょくぶつえん)」内の回遊式庭園「藤の園」や御本社(大宮)の樹齢700年以上の名木「砂ずりの藤」など、例年4月下旬から5月上旬にかけて、至る所で藤が咲き誇る。萬葉植物園の藤は、一般的な棚造りではなく、『立ち木造』で、見上げずに目線と同じくらいの高さで花が観賞できる点が特徴だ。

秋田さんは、「全国各地に藤の名所は沢山ありますが、841年に神体山の春日山(御蓋山)が入山禁止され、狩猟と伐採も禁止されて以来、神域として護られてきたことから、野生の藤を沢山見ることができるのは本当に珍しいと思います。まさに『藤の聖地』。また、樹木信仰が盛んだったため、珍しい植物を神に献じて願いを叶えてもらおうと古くから献木がおこなわれてきました。花房が1メートル以上にも延びて砂にすれるということから『砂ずりの藤』と呼ばれる名木も近衛家からの献木だと伝えられています」と境内の藤の魅力を語った。

藤は品種によって早咲き、中咲き、遅咲きがあり、5月上旬頃まではいつ訪れても楽しめるが、GW前半が一番の見頃でおススメの時期になるという。17日の取材時では、萬葉植物園内の早咲きの白野田(しろのだ)藤、白甲比丹(シロカピタン)藤などの白い藤やピンク色が美しい緋ちりめん藤などの品種が見頃を迎え、中咲きの黒龍藤や九尺藤も咲き始めており、白、ピンク、紫色の藤のグラデーションが広がる園内で、多くの人が撮影を楽しむ様子が見られた。

「藤まもり」の授与は、藤の花が終わり次第終了とのこと(数に限りあり、2021年時は4月25日に終了)。その他、萬葉植物園にて、昨年開花した春日大社の藤から抽出した色素で染め上げた枚数限定のシルクスカーフ「藤波染御帛(ふじなみそめおんはく)」(5000円)の特別授与が行われている。萬葉植物園は、大人400円、小中学生200円。9時~16時30分(17時閉門)。

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▽春日大社
https://www.kasugataisha.or.jp/

(まいどなニュース/Lmaga.jpニュース特約・いずみゆか)

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