税金でもない燃費でもない 昭和を愛する「旧車ファン」が最も恐れることってなーんだ?

小嶋 あきら 小嶋 あきら

そもそも「部品交換会」とは?

 古いクルマはエコじゃないから新しいのに買い換えなさい、いつまでも乗ってると税金高くしますよ、なんて国を挙げてというか世の中の流れというか、新しいクルマがもてはやされる今日この頃です。確かに新しいモデルは静かで燃費もよくて、自動ブレーキとか安全サポート機能も充実していて、人にも環境にも優しいのでしょう。しかし、それでも、あえて「旧いクルマがいい」「昭和のクルマが大好き」という人は少なくなくて、ここ最近では昭和の国産車の値段が高騰していたりしますよね。

 いわゆる「旧車ファン」という人たちですが。彼らが一番怖れているのは何かというと、税金が高くなることでも、燃費が高くつくことでも(もちろんそれらもこわいんでしょうけど)ありません。それは「部品がなくなること」です。

 言うまでもなくクルマというのは機械ですから、走れば走るだけ消耗します。タイヤが減るのなんかは当然として、エンジンもサスペンションもボディも全てが消耗し、劣化していくのですね。なので乗り続けるためには適切なタイミングで、いろいろ部品を交換しないといけないわけです。

 一方、メーカーとしては次々に新しい機種を開発していかないと売れません。モデルチェンジするといろいろな部品も新型になって、旧いクルマとは互換性がなくなることがあります。

 クルマは耐久消費財、生産が中止になってもそれ相応の期間乗り続けられるものです。なので旧いクルマ用の部品も一定の期間造り続けなければならないのですが、メーカーは工場の広さも作り手の人数も限りがありますから、そのうちそれも生産終了ということになってしまうのですね。

 いま乗ってるクルマの性能を維持するために必要な部品が手に入らなくなる。つまりそれはそのクルマにもう乗れなくなってしまうということです。クルマに単なる道具以上の愛着を持つ人達には、とてもつらいことです。

 なので、そうならないように彼らは日頃から部品を探してストックしています。ちょっとした消耗品は言うまでもなく、中には予備のエンジンをキープしていたり、部品を取り外して使うためにもう一台丸々そのクルマを持っていたり、そういう人もごく普通に居ます。そしてそういう愛好家達が手持ちの部品を持ち寄って物々交換する交換会(スワップミート)、さらに販売もするフリーマーケットというものが各地で行われるようになりました。

「部品交換会」という名前の素敵なフリーマーケット

 大阪の舞洲で定期的に行われている「なにわ旧車部品交換会」は、旧車の部品だけに留まらず様々なものが出品される大きなフリーマーケットです。3月27日に開催されたこのイベントを訪ねてみました。

 舞洲の「空の広場」は、もともと軽飛行機の飛行場だった場所で、とにかくだだっ広い「広場」です。この広い場所にフリーマーケットのスペースと、十分な台数の駐車場と駐輪場が確保されています。入場料は一人300円、駐車料金は一台1,000円、バイクの駐輪は無料です。

 朝6時にオープン、正午にはクローズされるという早起きなイベントで、筆者が着いた8時半にはもう佳境というか少しピークを過ぎた感じでした。

 旧車部品交換会、という名前の通り、旧いクルマやバイクの部品が多く売られていて、さらにバイクは部品だけでなく中古車も並んでいます。乗るためには少し整備が必要そうなものがほとんどですが、値札を見ると原付スクーターなんかは二万円くらいからあります。

 雑多に並べられた部品には、いったい何に使われていたものかとかそういう説明があるわけでもなく、とにかく「これ使えそう」とか「これ自分のクルマに合うやつや」とか、買い手側に相応のスキルが要求されそうです。いや、これこそが本来の部品交換会なんでしょう。

 一方で、そういうものとはあまり関係のないものもたくさん売られています。クルマ好きだとたいてい好きそうなミニカーなどのおもちゃとか、機械好きだったらこういうのも、って感じの家電、水回り、さらにサウナといった大物など。またこういうイベントが好きそうな年代(筆者くらいの?)を狙い撃ちするような万博グッズなど昭和レトロを扱う店、なぜかわからないけど激安のベルトや財布をたくさん並べて売ってる店など、本当に様々です。

 あちらこちらと心に引っかかるものを冷やかしたり、ついつい買ってしまったりしながらゆっくり見て回って約2時間。10時半過ぎになる頃にはぼちぼち店じまいするところも出てきて、徐々に人も少なくなってきました。

 クルマ好きはもちろん、そうでない人もきっと楽しめる雑多なフリーマーケット。次回の開催は5月15日の日曜日だそうです。季候のよい時期です。ぜひお出かけください。

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