ロシア軍が2月24日、ウクライナに侵攻し、首都キエフや各地の軍事施設をミサイルで空爆した。「夜回り先生」こと教育家の水谷修氏は国家の覇権争いの中、子どもたちをはじめ、多くの市民が犠牲になる可能性を懸念し、最悪の事態を避けるための策について私見をつづった。
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2月24日、ロシア軍がウクライナに攻撃を始めたという報道が、一斉に始まりました。この背景にあるのは、ウクライナのゼレンスキー政権が、西側、つまりNATOに加入し、ロシアに対抗し、その拠点となることを抑止することがあります。
私は、現在の状況を見て、かつての「プラハの春」を思い起こします。1968年、チェコスロバキアは、ドプチェク第一書記のもとで、「人間の顔をした社会主義」をと、言論の自由化や自由経済の導入をはかりました。当時のソ連ブレジネフ政権は、20万人の軍隊をチェコスロバキアに送り、それを弾圧しました。
ウクライナが、西側に入ることを阻止するために軍を侵攻させる。まさに同じです。当然、ウクライナ軍が、強大なロシア軍に勝てるわけがありません。この戦争には3つの道しかないでしょう。
1つは、早急にゼンレンスキー・ウクライナ大統領が、国民の命を守るためと、国外に亡命し、ウクライナに親ロシア派の政権が誕生すること。こうなれば、ロシア軍は撤退し、多くの人たちの命は守られます。
2つ目は、ゼレンスキー・ウクライナ大統領が、徹底抗戦を宣言し、首都キエフにロシア軍が侵攻し、多くの都市で市街戦が繰り広げられること。こうなれば、数十万以上の子どもたちや市民の命が失われます。当然ロシア軍も多くの命を失います。こうなれば、国際社会は、反ロシアでまとまり、世界的ロシア制裁が強化され、ロシアのプーチン政権は崩壊するでしょう。
3つ目は、アメリカをはじめヨーロッパ各国、また日本、そして国連の活動の中で、ロシアが妥協し、ウクライナの一部地域の親ロシア派政権独立を世界に認めさせること。
私から見て、ロシアのプーチン政権が望んでいるのは、1つ目か3つ目でしょう。でも、忘れてはいけないことがあります。今回のウクライナ情勢で、一番得をしているのはどこかと言うことです。間違いなく、アメリカでしょう。原油価格の上昇、これがアメリカ経済を潤しています。
私は、戦争を憎みます。いつも犠牲になるのは、権力者や金持ちではなく、弱い人たち、子どもたちが犠牲となります。何としても、それは、防がなくてはなりません。子どもたちをはじめ、多くの市民が犠牲になることを回避するため、最善の策を探って欲しいです。