3本99円…豊作貧乏で長ネギ農家が悲鳴「今晩だけで良いから…食べて」

宮前 晶子 宮前 晶子

「長ネギ農家からお願いです!!! 長ネギ食べてーーーーーー!!! 長ネギ食べてーーーーーー!!! 長ネギ食べてーーーーーー!!! 昨日スーパー行ったら3本99円って安すぎ!!!ウチは収穫始まったばかりであと8割以上畑に残ってる。今晩だけで良いからお願い、長ネギ食べて」と、Twitterで投稿したのは、群馬県で長ネギなどを栽培するしん|野菜と人を育てるプロさん(@sinyasai)です。

長ネギ連呼のただならぬ気配に、約3.8万件のリツイート、約8.9万件のいいねがつきました。おすすめの長ネギレシピを紹介する人もいるこの反響について、しんさんご本人にお話を聞きました。

――心の叫び、ストレートすぎて、気になりました。

「僕の農園では農協経由で全国の市場に卸しているのですが、2週間くらい前から長ネギの値段が下落して、底値とも言えるくらいに。大変だと思っていたタイミングで、たまたま嫁とスーパーに出かけて発見したのが3本99円の長ネギ。びっくりしてツイートしました」

――今年の冬は、長ネギが豊作ゆえの値崩れということでしょうか?

「長ネギは春に植えて夏を乗り越えて冬に収穫します。春の作付は、通常、ここ数年の価格を見ながら行います。長ネギの価格は2、3年悪くなかったので、たくさん作付した農家が多かったんでしょうね。それに豊作も重なってしまったんだと思います」

――しんさんのツイートに対して、長ネギ愛にあふれたコメントが殺到しました

「長ネギ栽培は梅雨の病気対策、夏場の雑草対策は本当に大変です。特に夏場は草も勢いがあるためタイミングを1日でも逃すと取り返しのつかない事に。天候と睨めっこして毎日が真剣勝負です。一生懸命育てた長ネギのおすすめレシピを書き込んでいる人もいて、ありがたいです。

長ネギとコーンビーフのインパクトが大きく、サバ缶で同じように作ってみました。豚肉と白髪ネギのレシピも、お互いの甘みが絡み合ってとてもおいしそうに見えました」

リプライを見ていると、脳内が完全に「長ネギ食べたいモード」になるコメントの数々!

「マグロあらをそばつゆとみりんと酒の甘辛い汁で煮たら、10cmぐらいに切ったネギをわああっと入れる。ネギの鉄砲鍋。ネギであったまる」
「スタンディングネギ鍋 おいしいよ!」
「ネギ大好き。油たっぷりの肉と合う。鴨が鉄板だが豚肉でもいい」
「ねぎをいっぱい食べたくて、春雨と鶏の鍋にしました」
「時間があるときに刻んで保存。インスタントの味噌汁にドバッと入れて飲んでます。味噌汁にネギさいこうに美味しいです」
「熱を加えると 甘みも増す。ネギのクロックムッシュ…すごく美味しかった」
「うちの家族の大好物、ネギカレー」

――しんさんおすすめの長ネギ料理、教えていただけますか?

「長ネギをぶっこんだスープです。風邪気味の時やのどが痛い時におすすめ。Twitterでも紹介しているのですが、長ネギをこれでもかと言わんばかりに鍋にブチ込んで、味噌と昆布だしで煮込んだみそ汁を騙されたと思って1回食べてみてほしい。次の日、本当に楽になると思います」

――今の季節に持ってこいですね。おいしい長ネギを選ぶ際のポイントを教えていただけますか?

「肉厚で身が締まったものは甘みが強いですよ。緑と白い部分の境界線がくっきりしているネギは、生産者が上手に栽培管理している証拠。愛情たっぷりだから、おいしいはずです」

人生で経験した全てで向き合う農業って最高!

――農業歴8年と書いていらっしゃいますが、以前はどんなことをされていたのでしょう?

「東京でIT起業や八百屋を数年。実家が農業をしていて、マネジメント業務をする人材が必要となったので、帰省して農業を手伝うことになりました。やってみると、毎日、自然と触れ合いながら汗をかくのが最高に楽しくて!」

――スタッフは70名。農家にしては大所帯では?

「こんなに大きい規模は、僕も聞いたことがないですね。田舎なのにチームで大きなビジネスを回すというギャップが好きです。去年は新卒を2名採用しました。20代の女の子も入社してくれるなど、とてもフレッシュな環境で活気があります。長ネギ以外にも、ほうれん草、チンゲン菜、水菜、サラダ菜、パクチー、ズッキーニ、ゴーヤ、ナスを栽培しています」

――楽しそうにやっていること、作物への愛、誇りが、しんさんの言葉一つ一つににじみ出ています。

「農業って百姓なんです。百に及ぶいろんなことができないとダメ。栽培はもちろんだけど機械の整備やハウスを建てたり、基盤整備したり、ネットだってわからないと今はダメ。マネジメントスキルだって必須。人生で経験してきた全てを持って自然を相手にしなくちゃいけない。瞬間の判断力が問われるゲームのようなスリルが毎日あります。つまり毎日最高です」

コロナの影響で外国人の実習生が入国できないため、なんとか人材を確保したいという思いでしんさんはTwitterを始めたそう。一般の人が興味を持てるように、野菜を食べるメリットや野菜の作り方をわかりやすくつぶやいたところ、バズるように。野菜愛にあふれていて、しかも役に立つツイートを読めば、野菜をもりもり食べたくなってきます。

今晩だけと言わず、今年の冬はネギをいっぱい食べましょう!

■Twitter https://twitter.com/sinyasai

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